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  • カプコン
  • 発売日:2016/06/09
  • 価格:パッケージ版 5800円+税
    ダウンロード版 2769円+税
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「逆転裁判6」はシリーズの魅力を詰め込んだ集大成に。江城元秀氏と山﨑 剛氏が語る,最新作の見どころとこだわりとは
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印刷2016/06/08 14:00

インタビュー

「逆転裁判6」はシリーズの魅力を詰め込んだ集大成に。江城元秀氏と山﨑 剛氏が語る,最新作の見どころとこだわりとは

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「逆転裁判6」はシリーズの魅力を詰め込んだ集大成に。江城元秀氏と山﨑 剛氏が語る,最新作の見どころとこだわりとは
 カプコンは2016年6月9日,ニンテンドー3DS用ソフト「逆転裁判6」を発売する。本作は,10月に15周年を迎える「逆転裁判」シリーズの最新ナンバリングタイトルで,おなじみの成歩堂龍一王泥喜法介がダブル主人公として登場。それぞれがクライン王国と日本を舞台に“真実”を探し求めることになる。

 ゲームの基本的な流れは,「探偵パート」で証拠品や情報を集め,「法廷パート」で証言のウソやムジュンを暴いていく。そして,逆転無罪を勝ち取るという従来どおりのものだが,新たに「霊媒ビジョン」が登場し,「カガク捜査」「みぬく」「ココロスコープ」といったシリーズ作品のシステムも進化を遂げている。
 今回4Gamerでは,「逆転裁判6」のプロデューサーを務めるカプコンの江城元秀氏と,同じくディレクターの山﨑 剛氏にインタビューを実施し,作品の見どころに迫った。

「逆転裁判6」プロデューサー 江城元秀氏(左),同ディレクター 山﨑 剛氏(右)
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「逆転裁判6」公式サイト



ゲームの規模拡大に合わせ,新体制で臨んだ「逆転裁判6」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 「逆転裁判6」は前作(「逆転裁判5」)から約3年ぶりとなるナンバリング最新作ですが,開発チームの体制に変更はありましたか。

江城元秀氏(以下,江城氏):
 コアメンバーは前作から引き続き参加していますが,まったく一緒というわけではなく,新たに参加したメンバーもいます。

山﨑 剛氏(以下,山﨑氏):
 大きい変更点としては,僕がディレクターになったことですね。前作ではシナリオ制作に集中できるように,シナリオディレクターという立場でした。もちろん,今回もシナリオを担当していますが,もっとゲーム全般に目を配るようになりました。
 さらに「逆転裁判6」では,布施がCoディレクター(共同ディレクター)を務めています。Coディレクター制の採用は,「逆転裁判」シリーズで初めてのことです。

※カプコンの布施拓郎氏。前作ではアートディレクターを担当している。

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江城氏:
 山﨑がディレクターとして大きな方針を立てて,布施はその下のレイヤーで判断しつつ開発現場を回すという体制ですね。今回はゲームの規模が大きく,かつチームの人数もそれなりになっていたので,権限を分散して効率よく作業を進める必要があったんです。

4Gamer:
 開発体制を刷新したことで,どのようなメリットがありましたか。

山﨑氏:
 布施がチームの運営面をしっかり見てくれたので,僕はシナリオやゲームの内容に注力でき,非常に助かりました。

江城氏:
 前作と同じく複数のシナリオライターがいるのですが,山﨑は自らシナリオを書きつつ,全体の流れや展開を調整する役割もあったんです。

山﨑氏:
 シナリオ全体を通して,いろいろな仕掛けを用意していくわけですが,今回はより細かく丁寧にできたと思います。

江城氏:
 今回は舞台が2つの国に分かれているので,山﨑が全体を見ることに集中できたのは大きかったです。
 また,布施は絵が描けて,かつゲームの仕組みや演出面も分かる貴重な人材です。ゲームの手触りや感覚的に気になる部分があれば,その都度,山﨑に相談できますし,絵の部分でもデザインするだけでなく,その動きや演出のジャッジもこなしていました。
 とくに新システムは,新しい絵を作る必要がありましたから,結果的にうまくいったと捉えています。クライン王国の舞台設定やビジュアルについても,布施と山﨑,そして現場のデザイナーとでスムーズに話を進められました。

舞台の1つ「クライン王国」
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4Gamer:
 なるほど。
 シナリオ制作はどのように作業を進めたのでしょうか。

山﨑氏:
 担当のシナリオライターがいる話については,各話のコンセプトを一緒に立てるところから始めます。プロット制作や執筆中も,つねに内容を確認させてもらって,相談しながら進めていきました。話によっては,ある段階に入ったら僕が引き取って書くということもありましたね。

江城氏:
 それぞれの話の個性やキャラクターの特色については,担当のシナリオライターに任せつつも,最終的には全話で一つの物語になるわけですから,そこでの違和感や齟齬が出ないように山﨑がチェックしているということですね。

山﨑氏:
 今回もかなり細かいところまで確認して,いろいろとお願いしました。みんな大変だったと思います(笑)。


「逆転裁判5」で寄せられた不満や要望に応えつつ,新要素を盛り込む


4Gamer:
 「逆転裁判6」の開発がスタートした時期はいつ頃でしたか。

江城氏:
 前作の開発が終わった2か月後くらいには,僕と山﨑,布施で「次はどうしよう?」と話し合っています。
 これは機会があるごとに話しているのですが,前作の「逆転裁判5」では6年ぶりの復活にあたって,さまざまな新要素を取り入れました。それらに対するプレイヤーの反応は,当然ですが,良いものもあれば不満や要望もありました。
 そこで「逆転裁判6」では最初に,前作の不満や要望にしっかり応えようと決めたんです。

4Gamer:
 その具体的な内容を教えてください。

江城氏:
 最も大きいものは,「調べる」コマンドで何かを調べたときのメッセージを大幅に追加したことですね。前作は探偵パートでいろんな場所に行けるようになり,かつ3Dグラフィックスによって対象が動いたり,異なる角度から調べたりできました。
 ただ,実際に調べられるところは限られていたため,「もっと調べたい」という不満が多く寄せられました。

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4Gamer:
 確かに,何かを調べたときの登場人物のやり取りは,シリーズの大きな魅力です。

江城氏:
 しかし,前作の調べられるところの数は,それまでのシリーズ作品から減っておらず,ほぼ同じくらい。つまり,調べられる箇所を3D探偵パートに集約した結果,通常の背景を「調べたくても調べられない」という不満につながってしまったようです。
 とはいえ,調べられるところが増えても「ここには何もないようだ」と表示されるだけでは面白くない。そこで,しっかりとセリフの掛け合いなどを仕込んでいくことに決めました。現場からは「工数やコストが大幅に増えます」と指摘されましたが,皆さんに望まれている部分ですから,そこは増えてもきちんとやろうじゃないかと。
 また,これは繰り返し遊べる要素の1つになっていて,ゲームクリア後にあらためてプレイし直して調べると,「ああ,なるほど」と思わせるようなテキストもあります。

4Gamer:
 探偵パートが楽しみになってきました。

江城氏:
 その次が難易度です。前作では間口を広げようと,ヒントを少し直接的に出していました。シリーズを初めてプレイされるユーザーさんへの配慮だったのですが,以前からシリーズをプレイしている皆さんからは「簡単すぎる」「答えを言われているようだ」といった感想をいただきました。選択を2回間違えたら「相談する」コマンドが登場する「パートナーアシスト」にも,「この難易度なら必要ない」という意見が寄せられました。
 そこで,「逆転裁判6」は難易度を見直し,パートナーアシストもオン/オフを選べるようにしています。

山﨑氏:
 だからと言って,今回は不親切になったということではないですよ。ヒントにしても婉曲的な言い回しにして,遊んでいる皆さんが「ひらめいた!」という快感を得られるように工夫しました。

綾里真宵
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江城氏:
 やはり,そこがアドベンチャーゲームの醍醐味ですからね。
 あと,多かった要望は「マヨイちゃん(綾里真宵)を出してほしい」「カガク捜査をしたい」の2つです。ただ単に真宵が帰ってくるだけでは面白くないですから,久しぶりの復帰にふさわしい舞台と設定を考えた結果,新システム「霊媒ビジョン」やクライン王国の設定が生まれたんです。

山﨑氏:
 真宵が登場するなら,霊媒を掘り下げよう。だったら新システムを作ろうということですね。

江城氏:
 カガク捜査も,それなら宝月 茜も出さないと。正式な科学捜査官として再登場してもらいましょうという話になりました。

4Gamer:
 茜は久しぶりの登場ですね。懐かしさを覚えました。

山﨑氏:
 前作を遊んだ皆さんの声にできる限り応えつつ,開発の「これをやってみたい」というものも実現した,欲張りな作品だと思います。

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江城氏:
 前作の経験があったことで,「逆転裁判6」には“こなれてる”感がありますね。

山﨑氏:
 ええ,前作を制作する過程でお互いの理解が深まり,チームワークができていた状態でスタートを切ることができました。

江城氏:
 古参のコアメンバーが新規のメンバーにいろいろと伝える一方で,新規のメンバーからは新しいアプローチも生まれる。今回はそういった化学反応が非常に良い形になったと思います。

4Gamer:
 それでは,現在配信中の体験版から得られたフィードバックはどのように生かされていますか。

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江城氏:
 霊媒ビジョンの触り心地や分かりにくかった部分を改善しました。実際,“攻めた”システムではあるので,どんな反応があるかは注目していたんです。
 たとえば,昨年の東京ゲームショウでも体験版を出展しましたが,ブースには開発チームのメンバーもいました。試遊している来場者の様子を見たり,レクチャーしたりしながら,「つまずくポイント」をチェックしていたんです。

4Gamer:
 自分も斬新なシステムに少し戸惑った1人です。逆にスムーズにクリアしていく人も少なくはなかったように見えました。

江城氏:
 そうした個人差がある状況は,あまり良くないんですよ。それが不満につながってしまいます。つまずいた人のフォローについては,法廷パートの尋問と同じく,霊媒ビジョンで2回間違えるとヒントが登場するパートナーアシストを採用しました。
 霊媒ビジョンは,託宣を決めて,映像とのムジュンを指摘するというものです。アシスト機能では「この託宣があやしい」というヒントを出しますが,それが映像のどこかは示しません。プレイヤーが考えやすいようにポイントを絞ることで,正解にたどり着きやすい形にしているわけです。

4Gamer:
 そこでもまた,自分で解いた感覚が得られると。

江城氏:
 そういうことです。また,被害者が抱く感覚(文字)の見せ方や演出を工夫し,出題の意図が伝わるような調整を施しています。


成長しきった成歩堂には,スーパー弁護士ならではの腕の見せどころを用意した


4Gamer:
 続いて,「逆転裁判6」では成歩堂龍一と王泥喜法介のダブル主人公にした狙いを教えてください。

成歩堂龍一(左)と王泥喜法介(右)
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山﨑氏:
 前作は,成歩堂が真の主人公,王泥喜が影の主人公という位置づけでしたが,王泥喜もかなり活躍できたので,もう1人の主人公に格上げしても大丈夫かなと。
 また,2人の物語を対比的に描くことで,それぞれの存在がより際立つのではないかとも考えました。

4Gamer:
 どんな物語が展開するのでしょうか。

山﨑氏:
 王泥喜は弁護士になってからまだ3年程度ですから,彼の成長物語を描いています。
 一方,成歩堂には極めてアウェイな設定を用意しました。スーパー弁護士となった彼でなければ描けない戦いが待っていて,その中では大ピンチに陥ることもありますが,いかにして切り抜けるのかというところが見どころです。

4Gamer:
 10月にシリーズ15周年を迎えますから,成歩堂は相当な大物になっていますね。

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江城氏:
 ええ,国内ではほぼ無敵,伝説の弁護士ですよ(笑)。

山﨑氏:
 ですから,成歩堂の成長物語を描くのは無理なんです(笑)。成歩堂のストーリーでは,成長しきったヒーローにいかに困難を与えるかがポイントになります。そこで,弁護士が嫌われている国で,弁護士がいない霊媒裁判を勝たなければいけないという設定ができました。

4Gamer:
 「弁護士が嫌われている国」という設定は,どこからアイデアが生まれたのでしょうか。

山﨑氏:
 最初にチームのメンバーとアイデアを出し合ったとき,「成歩堂の最大の武器を奪おう」と決めました。成歩堂の武器とは「被告人との信頼関係」。被告人との信頼は,彼がピンチに陥ったときの拠りどころになるものです。それなら,弁護士が忌み嫌われている世界に放り込もうと。第1話では,被告人に口を利いてもらえないところから始まります。
 その一方で,王泥喜は希月心音と共に日本に残ります。もちろん乗り越えるべき困難が用意されていて,成歩堂不在の事務所を守れるかという展開が待っています。

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4Gamer:
 それでは,成歩堂が赴くクライン王国について教えてください。最初に国名が発表されたときに,シリーズファンはいろいろと予想したと思います。

江城氏:
 シリーズを通して「倉院」という名前が出てきますからね(笑)。

山﨑氏:
 成歩堂が異国に赴くということで,たくさんのアイデアを出し合いました。その中には西洋という案もありましたが,すでに「大逆転裁判 −成歩堂龍ノ介の冒險−」に登場しているので,違う路線を探ることにしました。
 結果的にアジアの西方や中央付近のイメージに落ち着いたのですが,これは先ほど話した真宵の復帰,そして霊媒の話を展開すると考えたことに関係があります。「倉院流霊媒道」の源流にあたる総本山がアジアにあり,そこから日本に霊媒が伝播したという流れはどうだろうと。

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4Gamer:
 真宵の登場は,かなり早い段階で決まっていたんですね。

江城氏:
 はい。「マヨイちゃんを出してほしい」という声は本当に多くて,それこそ「逆転検事」シリーズにも寄せられていたくらいです。
 そこで,今回は最初に「真宵を出す」と決めてから,自然に復帰できるように設定を作ったという流れです。

山﨑氏:
 クライン王国のデザインについては,チベットやミャンマーなどのアジア諸国をモチーフにしていますが,特定の国に限定せず,さまざまな国の文化や風俗をミックスしています。

江城氏:
 探偵パートでクライン王国を調べると,人々がどんな生活を送っているのか,その一端を垣間見ることができますよ。

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山﨑氏:
 クライン王国では「蝶」をモチーフにしたデザインがあちこちで見られるのですが,これは「クライン蝶」と呼ばれる,この国にしか生息しない蝶です。「冥界へと魂を運ぶ」という言い伝えがあるのですが,そうした国の歴史に奥行きが感じられるように設定を積み重ねました。
 あとは倉院流霊媒道の源流となる国ですから,ずっとシリーズを遊んでいる人には「倉院の里」との共通点に気づかれるかもしれません。



歴代の人気キャラは自然に,かつ必然性を持ってストーリーに登場する


4Gamer:
 成歩堂は国内最強の弁護士,王泥喜は一回り成長した弁護士として描かれているそうですが,真宵はどんな成長を見せていますか。

山﨑氏:
 今回,彼女は28歳になっていますから,以前と同じデザインではちょっと……という感じですよね(笑)。とはいえ,まるっきり変わってしまうのはファンの皆さんも望んでいないでしょう。僕も嫌ですし。

江城氏:
 たとえば,姉である千尋に似てくるのか,あるいは衣装はどうするのか。もともと真宵が持っていた天真爛漫なところを残しつつ,その一方で確実に成長を感じさせる必要がありました。
 そもそも,彼女は倉院流の家元になるためにクライン王国を訪れたわけですから,かなりしっかりした発言をする場面も出てきます。

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山﨑氏:
 そのバランスには注意しましたね。

江城氏:
 その結果,衣装は母の舞子をモチーフにしました。さらに修行中は頭巾を被ったり,籠手を付けたりと,従来のイメージとは違った面が見られます。法廷ではきちんと顔が見えるので,懐かしさが感じられると思いますが。発売前に公開している真宵は,ほんの一部でしかないですよ。

4Gamer:
 真宵だけでなく茜や成歩堂みぬきも登場するということで,オールスターキャストといった印象があります。

江城氏:
 そうですね。歴代のキャラクターが集結しています。
 ただ,人気があるから,要望が多いから無理に出すのではなく,「こういう展開だから,このキャラが必要だ」「ここにこのキャラがいたら面白い」という形になるように意識しました。

山﨑氏:
 そこをうまく作らないと,キャラクターがかわいそうですから。

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江城氏:
 現場は現場で苦労がありましたが,僕は予算管理が大変だったんですよ。どんどん予算が膨らんで,「これ,どうすんの?」って(苦笑)。
 その意味でも「逆転裁判6」はギリギリまで攻めた作品です。手元に置いておきたい,と思っていただける仕上がりになったと思います。

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4Gamer:
 そのうえ,数量限定特典にはショートストーリー2本が収録されています。

江城氏:
 「逆転裁判6」の本編とは別に,ファンサービスを目的とした内容になっています。「このキャラが,こんな掛け合いをしたら面白いはず」というコンセプトです。クライン王国に綾里春美がやって来たり,日本の法廷に牙琉響也が登場したりと,特典でしか見られないシーンがたくさんありますよ。

山﨑氏:
 ゲームとしても物語としても,本編ではあり得ない内容ですね。

江城氏:
 ショートストーリーなので,それほど重くなく,肩の力を抜いて楽しんでいただけるようになっています。

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4Gamer:
 後日配信の予定がないそうですが?

江城氏:
 そうです。ぜひお早めにご購入いただければと思います

※パッケージ版は封入されるチラシにダウンロード番号が印字されている。また,ダウンロード版の特典付与は2016年6月16日までの期間限定。

4Gamer:
 6月30日から期間限定で無料配信される特別編「時を越える逆転」についてはいかがでしょう。

江城氏:
 前作でもDLC配信は実施していますが,今回は思い切って期間限定ながら無料配信にして,より多くの人に楽しんでいただけるようにしました。
 そもそもの発端は,矢張政志が被告人として法廷に立ち,成歩堂,真宵,御剣怜侍が顔を揃える。そんな「逆転裁判」(第1作)を彷彿とさせるシチュエーションを実現できないかと相談したことでした。実は同級生の3人(成歩堂,御剣,矢張)が同時に法廷に立つのは,これがシリーズ初なんです。「逆転裁判」の第1話では,亜内検事でしたから。

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山﨑氏:
 今回も特別編はガッツリ1話分のボリュームです。もちろん探偵パートも法廷パートも遊べます。
 ちなみにコンセプトの1つは「同窓会」。そして「タイムトラベル」と「結婚式」となっています。

4Gamer:
 3つのコンセプトの関連性が見えません(笑)。

山﨑氏:
 ですよね(笑)。

江城氏:
 「どうまとめんねん!」って(笑)。

山﨑氏:
 前作のインタビューでも話しましたが,まずはインパクトのあるアイデアを出して,「どうしよう……」と考えながらまとめていくんです。これは特別編に限らず,本編も同じですね。


グラフィックスやキャラクターの動きは,職人芸のこだわりに


4Gamer:
 それではグラフィックスについてお聞きします。今回,新たにキャラクターの3Dモデルを作り直したそうですね。

山﨑氏:
 はい。前作をプレイしている人なら,確実に違いが分かると思います。

江城氏:
 前作もニンテンドー3DS用ゲームでしたから,当然,主要キャラクターのモデルは流用するものと想定してたんです。そのうえで新規のキャラクターを追加で作ればいいと。
 プロデューサーとして,そのつもりで予算を組んでいたら,知らないうちに全キャラクターのモデルに手が入っていることが判明して……

山﨑氏:
 現場としては,よりきれいにしたいんです!

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江城氏:
 それは分かりますけどね(苦笑)。前作からの約3年で,メンバーは経験を積んでスキルが上がっていたんです。そこで新規キャラクターのレイファやボクトと,前作のモデルを流用した成歩堂を並べると,歴然とした差があると。そこまで差があるようには思えなかったんですが,「遊んだ人には分かってしまう」ということで,成歩堂も王泥喜も心音もすべて作り直すことにしました。

山﨑氏:
 前作は3Dグラフィックスに初めて挑戦したので,どうしてもやりきれなかった部分があったんです。それが今回で,ニンテンドー3DSの3Dグラフィックスを2Dっぽく見せる技術の到達点と言えるところまでたどり着いたと思います。
 序盤に作り始めたレイファやナユタといったキャラクターも,最終的にかなり細部まで作り込むことになりました。

江城氏:
 ただね,それを僕に黙って勝手にやっていたのが……。

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山﨑氏:
 言わなかったかなあ(笑)。

江城氏:
 ひととおり遊べるようになったと言うので,僕も触ってみたわけですよ。そこで「あれ,成歩堂が変わってない?」と聞いたら,「はい,変えました」と返ってきて。

山﨑氏:
 「江城さんも分かりましたか」と(笑)。

江城氏:
 分かるわ(笑)。そんな経緯はありましたが,時間をかけたおかげでキャラクターの表情の変化がスゴイですよ。とくにレイファは生き生きとしたアニメーションのような表現になっています。技術的には,細かいパーツを絶妙なタイミングで動かすプログラムを組んでいますが,「本当に3Dで動かしてるの?」と思われる仕上がりです。
 モーションキャプチャも採用していますが,そのデータをそのまま使うのではなく,かなり手を加えています。人間の動きをそのまま再現すると,どうしても「逆転裁判」のキャラクターが持つ,ある種の漫画チックな雰囲気が出なくなるんですよ。

山﨑氏:
 そのまま使うと動きが生々しくなってしまいますから。そこで,個々のキャラクターに合わせて,モーションキャプチャのデータから細かい部分を省略して,より緩急を付けられるようにしています。
 前作でも3Dのカットシーンを収録していますが,今回はカメラの動きがダイナミックになり,見た目の印象がかなり変わっています。

4Gamer:
 ダウンロード体験版に収録されているレイファの「奉納舞」には驚かされました。

山﨑氏:
 あのシーンは大変だったんですよ。

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江城氏:
 まずプロのダンサーに曲とイメージを伝えたうえで,振りを考えてもらい,それをモーションキャプチャで記録しました。でも,データをそのまま使っても,イメージどおりの雰囲気は出ないのでカメラワークが重要になる。そうなるとアングルによって,一番見栄えが良くなるようにデータを調整する必要が生まれます。

山﨑氏:
 水鏡から光が放たれるエフェクトも加えているので,その影響を考慮する必要がありました。また,衣装の布がヒラヒラ動くところはモーションキャプチャでは無理なので,全部手付けで作っています。計算でも試してみましたが,やはり生々しい動きになってしまうので,世界観に合いませんでした。
 そのほか,ナユタのフワフワしているところや数珠の動きなど,手付けで作っている部分はたくさんあります。

江城氏:
 「もう本当にどんだけやんねん」と(笑)。ただ,これがカプコンのゲームの作り方なんです。「ここまで誰が見るの?」という細かいところまで作ってしまう。そのおかげで,良いものになったことは間違いないですね。

4Gamer:
 製品版をプレイして確かめたいと思います。
 話は少し変わりますが,「逆転裁判」シリーズは10月に15周年を迎えます。何かしら予定はありますか。

figma 成歩堂龍一
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江城氏:
 まさに,いろいろ準備しているところです。せっかく節目の年ですから,これまでシリーズを支えてくれたファンの皆さん,あるいはアニメで「逆転裁判」を知ってくれた皆さんと一緒に盛り上がれる施策を考えています。
 たとえば,先日発表した「figma 成歩堂龍一」もその一つです。僕がずっとやりたかった企画で,ようやく実現できました。まだ準備段階のものが多いのですが,タイミングが来たら順次発表しますのでお待ちください。

4Gamer:
 分かりました。
 最後に4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします。

山﨑氏:
 「逆転裁判6」は,個々のチームメンバーが全力を出し切り,それが互いに化学反応を起こして,より高みに到達したタイトルだと感じています。シナリオも絵も,そしてゲームとしても「逆転裁判」の面白さの集大成となっていますので,ぜひ楽しんでください。

江城氏:
 先ほど言ったとおり,「5」で寄せられた皆さんのご意見ご要望にできる限り応えようというところから,「逆転裁判6」はスタートしています。こうして15周年を迎えられるのも,遊んでくれた皆さんがいてこそだからです。
 僕はプロデューサーなので,いかに多くの人にゲームの存在を伝え,ファンになってもらうかということを考えています。今回の数量限定特典やDLC配信もその一環で,開発チームが自信を持って作ったものを多くの皆さんに知っていただくために用意しました。
 まず公式サイトをチェックして,そのあと店頭やニンテンドーeショップで「逆転裁判6」を購入していただけると幸いです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

「逆転裁判6」公式サイト

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