セガのドライビングアクション「クレイジータクシー」シリーズ最新作となる「クレイジータクシー:ワールドツアー」(PC / Nintendo Switch 2 / PS5 / Xbox Series X|S)が,Summer Game Fest 2026会期中に行われたXBOX Games Showcaseで発表された。
2023年12月に開発中であることが正式に明かされていたが(関連記事),この瞬間がついに! しかもウエスト・コーストにいるときに,ハンズオフプレゼンテーションが開かれるだと!(シスコではないけど)
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Summer Game Fest 2026会期中のロサンゼルスで開催されたメディア向けイベント「Summer Game Fest Play Days」で取材中だった筆者は,「そりゃあ駆けつけるに決まってる!」とタクシーを飛ばし,クレイジーにダッシュとドリフトを豪快に決めつつ,「キャー!」と悲鳴をあげる人混みを突き抜けてセガのブースに乗りこんだ。
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本作はタクシーを運転して街中の客を拾い,目的地まで送り届けるドライビングアクションゲームだ。
基本となるアーケードモードの目的はシンプルで,客を乗せたら,制限時間内に目的地へできるだけ早く到着すること。その道中で交通ルールをきっちり守る必要はない。対向車線を突っ走り,歩道に乗り上げ,急坂をジャンプし,ほかの車のすれすれを抜けながら(または吹っ飛ばしながら),とにかく派手に街を駆け抜ける。
決められたコースを美しく走るのではなく,街そのものを舞台に,いかに速く,いかに無茶に,いかに気持ちよくクルマを走らせるか。そこに「クレイジータクシー」らしさがある。
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初代は1999年にアーケードで登場し,以降はドリームキャストをはじめとする家庭用ゲーム機にも展開された。2000年前後のセガを象徴するタイトルの1つとして,記憶に残っている読者も多いだろう。家庭用向けの本格的な新作として見ると,2002年にXboxで発売された「クレイジータクシー3 ハイローラー」以来となる。
そんなシリーズがどのように生まれ,そして「ワールドツアー」としてどこへ向かおうとしているのか。それを語るためにプレゼンテーションに登壇したのが,初代「クレイジータクシー」のディレクター兼ゲームデザイナーであり,シリーズのプロデューサーも務めてきた菅野顕二氏だ。
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初代の開発当時,菅野氏はクルマが好きだったものの,その頃のレースゲームにはあまり刺激を感じていなかったという。もっとこのジャンルでできることがあるのではないか。そう考えていたときにヒントになったのが,映画のカーチェイスシーンだった。
映画のなかでは,クルマが街を猛スピードで駆け抜け,ほかのクルマをかいくぐり,派手なアクションを見せる。菅野氏は,そうしたシーンをゲームにできるのではないかと考えたそうだ。
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ただし,「クレイジータクシー」は最初からタクシーのゲームとして企画されたわけではなかった。菅野氏が最初に作りたかったのは,街中を自由に走り回り,暴れられるドライビングゲームだったという。
では,それをどのように面白く見せるのか。そう考えていたとき,後輩の1人が冗談めかして「タクシーにすればいいんじゃないですか」と言った。その“タクシー”という言葉が,菅野氏の頭に強く残る。
とはいえ,チーム内の反応は最初から好意的だったわけではない。タクシーはダサい。なぜタクシーのゲームを作るのか。そうした声もあったという。
菅野氏はそこで,「プロのゲームクリエイターなら,世間でダサいと思われているものでも格好良くできるはずだ」とチームに伝えた。そうして生まれたのが「クレイジータクシー」だった。
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菅野氏は,開発当時にはいろいろな苦労があったとしながらも,今では多くの人が「クレイジータクシーが好きだ」「クレイジータクシーを知っている」と言ってくれることに触れ,「本当に作ってよかった」と語る。
そして「昔話はもういいよって感じで,新作が見たいですよね」と言って,ついに披露されたのが「クレイジータクシー:ワールドツアー」だ。
菅野氏によると,かつての「クレイジータクシー」はアーケードゲームとして,限られたコンテンツの中で遊びを組み立てた作品だった。一方,現代のゲームとなる新作は,キャラクターたちがどのようなバックグラウンドを持っているのか,そして「クレイジータクシー」の世界そのものをどのように広げるのか,そこにも踏み込むゲームになるという。
新しいキャラクター,新しいロケーション,新しい遊び。それらを組み合わせて,「クレイジータクシー」を進化させる。そうして始まったのが「クレイジータクシー:ワールドツアー」なのだ。
実機プレイで最初に披露されたのは,旧作のWest Coastを再現したマップだった。旧作を好きだったプレイヤーが多いこともあり,本作ではWest Coastのコースをあらためて作り直しているとのことだ。
もちろん,昔のマップをそのまま現代のグラフィックスで再現しているだけではない。菅野氏は,アーケード版ではプレイヤーから見えない場所が作り込まれていないこともあったと話す。しかし現代のゲームとして作る以上,見える場所も,そうでない場所も含めて,街全体を作り込む必要がある。アート面にも力を入れているそうだ。
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新規プレイヤーにとっては新しい街として楽しめる。旧作を知るプレイヤーにとっては「ここはこんなふうに変わったのか」「ここはこうなっているのか」と発見できる。そうしたマップを目指しているのだろう。
また走行感については,旧作を遊んだプレイヤーの頭の中にある感覚を今風にアレンジしているという。実際の操作は旧作と異なる部分もあるが,感覚としては以前と同じように遊べるようにしているとのことだった。
ゲームプレイでは,まず客を拾って目的地まで送り届ける,基本となるアーケードモードのクラシックな「クレイジータクシー」の遊びが紹介された。客を乗せ,目的地を目指して街を走り,時間内に送り届ける。シリーズの基本となる遊びは新作でも変わらない。
そのうえで,本作には客から特別な依頼を受けてクリアするミッションも豊富に用意されているという。菅野氏は,それを“クレイジーミッション”と呼んでいた。
プレゼンテーションで披露されたのは,配達員が休暇中のため,代わりにピザを届けるというミッションだった。タワーのように積まれたピザをタクシーで走りながら配っていく。このバカバカしさを全力でやるところも「クレイジータクシー」らしさだろう。
菅野氏は,「クレイジータクシー」を知る人であれば,見た目にバカっぽいこと,クレイジーなことを期待するはずだからこそ,そこはしっかり意識して作っているという。
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一方で,菅野氏が強調していたのは,単に見た目が面白いだけのゲームにはしないということだ。
見た目のクレイジーさだけでなく,ゲームとしてしっかり面白いこと。遊んだときに手応えがあり,プレイヤーのスキルを表現できること。その両立を大事にしている。
そうした方向性は,続いて紹介されたライバルとの公道レースのミッションにも表れていた。
笑えるバカっぽいミッションだけではなく,シリアスで歯ごたえのあるレースミッションも用意されているという。おもしろと格好良さ,両方があってのバラエティ豊かなミッション構成を目指しているようだ。
操作面では,旧作でもおなじみのクレイジーダッシュやクレイジードリフトが登場。さらに本作では,新しい要素として,クレイジーブーストも用意されている。
いわゆるニトロのようなブーストらしいが,それをどう使えるようになるのか,どのように使うのかといった詳細は今後のお楽しみとのこと。旧作のテクニックを受け継ぎながら,新たな操作や成長要素がどのように加わるのかは楽しみにしたいところだ。
今回のプレゼンテーションで印象的だった要素の1つが,夜のWest Coastだ。
West Coastといえば,旧作の印象から昼間の街を思い浮かべる人が多いだろう。しかし本作では,時間の変化があり,夜の街も走れるという。
菅野氏は,初代を作っていた頃から,West Coastを昼だけでなく夜にも走ってみたいと思っていたと語った。それが26年,あるいは27年ほどの時間を経て,ようやく実現したというわけだ。
夜景の中をタクシーが走る映像は,旧作の記憶を残しながらも,現代のゲームとしての新しさを感じさせるものだった。ライトに照らされた道路,夜の街の空気感,そして豪快に駆け抜けるタクシー。昼のWest Coastとはまた違う表情が見られそうだ。
マップには,客から受けるミッションとは別に,アクティビティも配置されている。これはマップ上に隠れている遊びのようなもので,走っている最中に見つけられるという。
ただ目的地へ向かうだけでなく,景色を眺めながら走っていると,ふとアクティビティに出会う。そうした探索的な楽しさも,本作には用意されているようだ。
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菅野氏は,初代の頃から街そのものにこだわっていたと話す。人がいて,車が走っていて,街が生きていると感じられること。ほかのレースゲームにはない,動きのある画面を作ること。その意識は,本作にも引き継がれている。
プレゼンテーションの終盤には,まだ開発中のコンテンツとして,車を使ったミニゲームも披露された。なんとタクシーで釣りをするという内容だ。サカナが食いついたらタイミングよくボタンを押し,バックでサカナを引き上げていく。ちらっとトレイラーにも映っているので,ぜひ確認してほしい。
このミニゲームはまだ完成していないものだというが,本作にはほかにもさまざまなミニゲームや遊びが用意されているという。ドライビングゲームでありながら,車を使ってどこまで変なことができるのか。そうした発想もまた,「クレイジータクシー」らしい部分だ。
プレゼンテーション後のQ&Aでは,まず「なぜ今,『クレイジータクシー』を復活させるのか」という質問が出た。
菅野氏は理由の1つとして,セガ全体としてレガシーIPを復活させる流れがあることを挙げた。そのうえで,個人的な思いとして,「クレイジータクシー」は遊ぶとポジティブな気持ちになれるゲームだと語る。
ゲームの中にネガティブなものがほとんどない。遊んでいると前向きな感情になれる。今の世界には,気持ちが沈むようなニュースも多い。だからこそ,新しい「クレイジータクシー」を世の中に出し,遊んだ人に笑顔になってほしい。菅野氏は,そうした思いを伝えていた。
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「ワールドツアー」というタイトルの意味についての質問もあった。
菅野氏によると,これは単に場所が広がっていくという意味ではない。本当に世界を飛び回るような体験を提供したい。いろいろな国,いろいろな場所へ行き,そこでタクシーを走らせる。そうした体験を目指す中で,「これはワールドツアーだ」とタイトルを決めたそうだ。
具体的なロケーション数は明かされなかったが,菅野氏は「世界には五大陸がある」として,各大陸を代表するような場所を楽しんでもらいたいと語った。West Coast以外にどのような街や地域が登場するのか,今後の発表に期待したい。
マルチプレイについても質問があった。
菅野氏は,詳細はまだ伝えられないとしつつ,本作にマルチプレイが用意されていることを明かしてくれた。初代が出た頃から,「友達と一緒に遊びたい」という声は非常に多かったという。しかし当時は,技術的に難しい部分もあった。
今回はマルチプレイの経験を持つスタッフも多く,実現に向けて作ることができたが,本作のメインはあくまでストーリーモードだと考えているとのことだ。
「クレイジータクシー:ワールドツアー」では,「クレイジータクシー」の世界観を広げ,その世界を楽しんでもらうことが重視されている。そのためにストーリーモードがあり,マルチプレイはエンドコンテンツとして用意される構成になるようだ。
また,なぜオリジナルに近いスタイルへ戻したのか,という質問も出た。
これに対して菅野氏は,原作にこだわったというより,開発チームの中で「アクセル(同作を象徴するドライバーの1人)をきちんと作るべきだ」「あのキャラクターたちを作るべきだ」という声が非常に多かったと回答した。
それは菅野氏自身はもちろん,若いスタッフたちもそう考えていたという。そうした思いもあり,昔の「クレイジータクシー」を新しい形で再現すること,過去のものをベースに進化させることが望まれていると感じたという。
菅野氏は,今回のプレゼンテーションでは少ししか見せられていないため分かりにくいかもしれないとしながらも,実際にプレイすれば「1999年の『クレイジータクシー』の感覚があるけれど,やっぱり違う」と感じてもらえるはずだと話した。
感覚は同じだが,ちゃんと違う。懐かしいだけではなく,現代のゲームとして進化している。そこが本作の目指すところなのだろう。
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最後に,楽曲の提供アーティストについても質問があった。
アナウンストレイラーを見た人であれば,「クレタクだ!」の瞬間にThe Offspringの「All I Want」が流れたことで「つまりゲームでも!」と安心したはず。プレゼンでも同作のサントラの象徴である,The OffspringとBad Religionの楽曲が収録されることは伝えられた。
「ほかのバンドは?」の質問に対し,菅野氏は「今日は怒られる人が出そうなので言えない」と笑いつつ,「期待は裏切らないと思う」「驚くと思いますよ」と答えてくれた。
旧作の手触りを大事にしながら,キャラクター,ロケーション,ミッション,マルチプレイ,そして世界そのものを広げようとしている「クレイジータクシー:ワールドツアー」。27年越しに実現した夜のWest Coastをはじめ,今回のプレゼンテーションからは,単なる懐かしさの復活ではなく,あの“クレイジー”なタクシーを現代のゲームとして走らせ直そうとする意志が感じられた。
発売は2027年の予定だ。今後,ゲームの新要素やロケーション,マルチプレイ,サウンドトラックなどの続報がどのように明かされていくのか,楽しみに待ちたい。ヤーヤーヤーヤーヤー!
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