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[CEDEC 2009]すでに次世代ゲーム機対応に動き出しているCrytekの見据えるもの
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印刷2009/09/03 09:40

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[CEDEC 2009]すでに次世代ゲーム機対応に動き出しているCrytekの見据えるもの

Crytek Carl Jones氏
画像集#001のサムネイル/[CEDEC 2009]すでに次世代ゲーム機対応に動き出しているCrytekの見据えるもの
 CEDEC2日めに,CrytekのCarl Jones氏による「Crytek社ゲームグラフィックスの将来に向けて! Future of Gaming Graphics」と題する講演が行われた。Crytekといえば,CryENGINE 2やCrysisで知られている。Crysisの映像はいまだにさまざまな意味で最先端を走っており,グラフィックスが,この水準まで達しているゲームがほかにあるかと考えるとちょっと思いつかない。
 普通のグラフィックスだけでも並ぶモノがなさそうなのだが,高精細で描かれたゲーム内のオブジェクトが任意に破壊できたりと,ゲームシステムも只者ではなく,こう考えると,ますます独走で未来を突っ走っている感がある。そんなゲームを支えているのがCryENGINE 2で,さらに発展させたCryENGINE 3を同社は開発中だ。
 さて,現状のハードウェアで可能そうな部分はほとんど実現してしまっている同社は,すでに次世代ハードウェアに向けた開発を開始しており,それがどのような方向性を持ったものなのかを示すのが本セッションとなる。

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 講演は,そんなCrytekがどのように立ち上がってきたかから始まり,FarCryそしてCryENGINE 1のリリースなど,同社の取り組みが語られた。なお,CryENGINE 1は,最近ではAIONに使用されて話題になっているエンジンだ。
 FarCryを作っている間にも,次世代のハードウェアを対象にした新エンジンの開発は進められており,それはCrysisとCryENGINE 2として世に出ることになる。Crysisでは,フォトリアリスティックとインタラクティビティという二つの相反する要素が要求され,どのようなバランスのデザインにするかが問題になったようだが,社長はあくまで「両方だ」と突っ撥ねたため,実際に高いレベルで両立した作品ができあがったとのこと。フォトリアリスティックなゲーム画面を実現するには,単に技術だけでなく,アーティストの仕事も非常に重要だったという。

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左が実写で右がCryENGINE 2によるもの
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 続いて最新世代のCryENGINE 3の機能紹介なども行われたのだが,ここでは割愛する。CryENGINE 3の開発では,とにかく性能がスケーラブルに向上するようにすることを重視し,マルチコアでの最適化などに力を入れているという。かなり以前からサポートされているものも含まれているが,概要については,以下のスクリーンショットを参考にしてほしい。

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 さて,本題は,やはり今後のグラフィックスはどうなるとCrytekは考えているのかという部分だろう。
 同社は,あと3年は現在のレベルから大きな進展はないだろうと予測している。現在のゲームエンジンは性能のピークに達しており,現状のハードウェアでは,もうこれ以上扱えるものはないという。今後数年は,ゲーム内物理シミュレーションやAIといった方向でならゲームを差別化していくことができるだろうとのこと。

 ゲームグラフィックスで「ルネサンス」すなわち大きな変革がくるのは,おそらく2012年か2013年と予測している。ちなみに,2008年の取材では,ルネサンスは2011年くらいとされていたのだが,ちょっと先送りになってきているようだ。
 汎用化が進むGPUとマルチコア化が進むCPUは,ともに並列処理を指向しており,将来的にはぶつかることになるかもしれないとJones氏は語る。
 2012年までは,ゲームは固定解像度(とはいっても1920×1080のフルHDだが)に留まり,キャラクターは「不気味の谷」のリスクも超えられないだろうという。

 ルネサンス以降,すなわち次世代では,キャラクターはBrievableで,ゲームは現在のCG映画の画質になると断言している。そのためには,ラスタライズの改善も必須であるという。
 現在のグラフィックスハードウェアは,三角形のポリゴンをベースとしてラスタライズを行う方式のものが進化を重ねた結果の製品である。しかし,それも限界に近づいており,次世代に向けて,Crytekでも新たな方式を模索しているようだ。ちなみに,Crytekのいう「次世代」とは,Crysisの3〜5倍の量のアセットが滑らかに動くレベルのものだとのこと。

 次世代の描画方式として,Jones氏が挙げていたのは,

  Point Base Rendering(ポイントベースレンダリング)
  Ray Tracing(レイトレーシング)
  Rasterization(ラスタライゼーション)
  Sparse Voxel Octree(スパースボクセルオクトリー:SVO)


といった技術だ。

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 ポイントベースという単語を聞き慣れない人も多いと思う。例えば,オブジェクトモデルの精度が上がって,ポリゴン(三角形)の大きさが画面の1ピクセルよりも小さいような高精細データの場合,いちいちポリゴン描画処理を行うのはかなり効率が悪い。これを単なる点として処理するのがポイントベースレンダリングである。データは非常に精密かつ膨大なものとなるが,描画方式自体は非常に単純なので,ポイントベース専用のGPUを作るなら,ポリゴン処理に特化した現在のGPUハードウェアよりもかなり単純化できるだろう。データをどうやって持つのかなどの課題は残るが,テッセレーションの技術のように,ある程度細かい部分は動的に生成すればよいだろうから,そう非現実的な話でもない。現状のGPUで実行するのは効率が悪いかもしれないが,次世代ということであれば十分可能性のある方式だ。

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 レイトレーシングは,光線の動きを視点側から逆に追うことで映像を作るアルゴリズムで,陰影表現が自然にできるほか,画質的に多くのメリットがあるものの計算負荷は非常に高い。とはいえ,並列化が進む現在のトレンドではかなり自然な回答の一つで,インテルAMDなどを中心にリアルタイムレイトレーシングのアルゴリズムが改善されており,もはや夢物語ではなくなりつつある。

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 そして,単なるラスタライゼーション,つまり従来方式でもまだ伸びシロがまったくないわけではない。現状の延長のGPUで処理するなら,とにかく速いことは間違いない。新しいデータ構造を取り入れたり,パイプラインを改善することでまだ生き延びる可能性はある。しかし,三角形ポリゴンというのは,CGでの最適解であるとは限らないという。

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 SVOは,Voxel(厚みを持った立体的な描画単位)による空間分割の応用形だ。基本的には,等間隔に分割された空間で,個々の立方体空間を縦・横・高さで半分にしていく(8個のサブVoxelに分割される)ことを繰り返すデータ構造のようだ。単純に考えると,十分な分解能にするためには膨大なメモリが必要になるのだが,なにも入ってない部分は圧縮するなどの工夫は提案されている模様。すでにCryENGINE 3のデータ構造として,一部使用されているとのこと。これによってレンダリングを行う手法もあるのだが,Crytekでは,ほかの方式と組み合わせるなど,主にデータ構造として有用だと考えているようだ。


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 次世代を担うのは,どれかの方式のみとは限らず,部分的にレイトレーシングを使ったり,SVOを使ったりといった組み合わせも有効だろうと氏は語っていた。ポイントベースなどにはかなり期待している感じではあったが,まだちゃんと世に出てきている方式ではないため,モデリングデータを作るツールなども存在せず,課題も多いとしている。
 これらの解説において「残念ながらムービーは持ってこれなかった」と語っていたので,おそらくCrytek社内では,ムービーが撮れるくらいにはこれらのレンダリング手法の評価段階には入っているものと思われる。

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 もう一つ,氏が強調していたのはプロシージャル処理の可能性と重要性だ。プロシージャル処理は,描画するオブジェクト自体を,実行時に自動的に作り出す技術で,Crysis Warheadでの霜の処理での実装例などを挙げつつ,いろいろなものをプロシージャルで作り出すことを「夢」として語っていた。
 
 現実感の湧かない話も多いかもしれないが,3年後には確実にゲームグラフィックスは一変する。5年後には,CG映画のクオリティがリアルタイムで再現できるという。PCはもちろん,PlayStation 4(?)やXbox 1080(?)といった次世代ゲーム機(これも2008年には「Xbox 720」といっていたので,もう1回転くらいしてほしいのかもしれない)が登場すれば,それにあわせたゲームはどうしても必要になってくるのだ。

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 最後に映示されたのは,Crysisのアセットを使ったCryENGINE 3のデモ映像である。非常に高解像度(フルHD?)でレンダリングされており,かつリアルタイムに録画されたものだ。これは「非常にハイパワーな次世代のPCのハードウェアのようなもの」を使ったリアルタイムデモであるとされている。途中の15秒だけ直撮りムービーでご覧いただきたい。
 この直撮りムービーの解像度では細部が分からないのであまり意味はないのだが,なんとなく遠くのボケ加減が違うような気がするとか,なんとなく高精細な気がするなどと妄想してみてほしい。

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