「Intel Arc G3 Extreme」搭載の携帯ゲームPCの実力を検証。Ryzen超えのパワーは本物だった
MSI Claw 8 Ex AI+
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Arc G3 Extremeの詳細については,西川善司氏の記事を参照してもらいたいが,はたして満足できるゲーム性能を有するのだろうか。そこで,実機を用いてその実力を確かめてみたい。
Intelの新CPU「Core Ultra Series 3」の「Xe3 GPU」は,なぜ理論性能値を覆すほど高性能なのか? 実機でもRadeon 890Mを上回る
CES 2026の会期中,Intelは,新型CPU「Core Ultra Series 3」が内蔵する新GPUのゲーム性能をアピールするテストの機会を提供していた。それだけ性能に自信があると言うことなのだろう。本稿では,Core Ultra Series 3の内蔵GPUの概要と,テスト機によるインプレションをレポートする。
なお,本稿で使用したClaw 8 Exは開発中のサンプルであり,製品版とは異なる可能性があることをお断りしておく。製品版の国内発売予定は,本稿執筆時点で明らかになっていない。
14コアCPUと12コアGPUを統合したArc G3 Extreme
テストに入る前にClaw 8 Exの仕様について説明しておきたい。
搭載SoCは,冒頭でも触れたとおり,Intelが携帯型ゲームPC向けに用意したArc G3 Extremeだ。統合されたGPU機能「Intel Arc B390」が,どの程度の性能を有しているかが,ゲームを快適にプレイするうえで重要になる。
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Claw 8 ExにはWindows 11 Homeが搭載されており,全画面ユーザーインタフェースである「XBOXモード」も利用可能だ。ゲームのインストールや起動,さらに「Steam」などの実行も,ゲームパッドで操作できる全画面UIから行える。
もちろん,通常のWindowsデスクトップに切り替えて,普通のWindows PCとして扱うことも可能だ。
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本機は非常にシンプルな構成で,HDMI出力やUSB Type-Aポートは備えていない。その代わり,本体上側面には2基のThunderbolt 4ポートがあるので,ここにUSBハブやThunderboltドックを接続すれば,一般的なUSB Type-A接続のUSB機器や,外付けディスプレイへの映像出力,有線LANなども利用可能だ。
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さらにClaw 8 Exには,Windows 11の「XBOX Game Bar」から呼び出せる「MSI Center M」という独自の設定ツールがあり,そこから「MSI Quick Settings」の項目で,「AIエンジン」「耐久性」「手動」という3つの動作モードを切り替えられる。工場出荷時設定はAIエンジンだ。
MSIの説明によると,AIエンジンモードは,電源管理を含むシステム設定を自動的に最適化した設定とのこと。さらに同モードでは,「XeSS 3」によるマルチフレーム生成に対応するゲームの実行時は,同機能が自動的に適用されるという。
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耐久性は,バッテリーによる長時間駆動を重視した低消費電力モード。手動は,TDPの設定と内蔵空冷ファンの速度設定を自由にカスタマイズできるモードだ。
Claw 8 Exは,冷却用に2基のファンを内蔵しており,その間を2本のヒートパイプで結んだ「Cooler Boost Hyper Flow+」と呼ばれる冷却機構を採用している。
MSIによると,ファンによるエアフローの一部が内部のほかのデバイスの冷却にも使用され,より長時間,安定したゲームプレイを実現するという。
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そんなClaw 8 Exの主な仕様を,比較対象として用意した「KONKR FIT」とともにまとめたものを表に示す。
| 製品名 | Claw 8 Ex AI+ | KONKR FIT |
|---|---|---|
| メーカー | MSI | AYANEO |
| CPU | Intel Arc G3 Extreme | Ryzen AI 9 HX 470 |
| ディスプレイ | 8インチIPS液晶, |
7インチ有機EL, |
| メインメモリ | LPDDR5x-8533 |
LPDDR5x-8533 |
| GPU | Intel Arc B390 | Radeon 890M |
| ストレージ | PCIe 4.0 |
PCIe 4.0 |
| ネットワーク | Wi-Fi 7, |
Wi-Fi(詳細未公開), |
| バッテリー | 80Whr | 80.85Wh |
| 公称本体サイズ | 321(W)×130(D)×48(H)mm | 270.8(W)×100.4(D)×25.1(H)mm |
| 公称本体重量 | 約785g | 約738g |
| OS | Windows 11 Home/XBOX Mode | Windows 11 Home |
| グラフィックスドライバ | Intel Arc |
AMD Software |
2つの動作モードでテストを実施
今回のテストでは,Claw 8 Exの比較対象として,AYANEO製の携帯型ゲームPC「KONKR FIT」を用意した。
KONKR FITは,SoCとしてAMD最新の「Ryzen AI 9 HX 470」を採用しているので,Intel対AMDの最新SoCによる対決となった格好だ。
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AYANEOサブブランド「KONKR」,初となるWindows搭載の携帯型ゲーム機「KONKR FIT」の予約受付開始
AYANEOのサブブランド「KONKR」は,同ブランドでは初となるWindows搭載の携帯ゲーム機「KONKR FIT」の予約受付を開始した。7インチのOLEDパネルを採用し,CPUには「AMD Ryzen AI 9 HX 470/370」を搭載。価格は6999元(約15万円)からだが,日本での展開は発表されていないようだ。
Claw 8 Exのテストに使用したドライバソフトは,「Intel Arc Graphicsドライバー 32.0.101.8826」で,これはIntelがClaw 8 Exのレビュー用に配布したものだ。
一方のKONKR FITは,「AMD Software Adrenalin Edition 26.6.1」で,これはテスト時点でRyzen AI 9 HX 470用の最新版である。
Claw 8 Exには,先述したようにAIエンジンと耐久性の2つの動作モードがあるので,それぞれでテストを実施した。以下では動作モードを区別するために,「Claw 8 Ex:AI」「Claw 8 Ex:耐久性」と表記する。
テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション32に準拠し,プリセットはローエンド環境向けを選択した。また,XeSSが利用できるタイトルでは,基本的にXeSSを適用してテストを行っている。
ただし,「Call of Duty: Black Ops 7」は,Claw 8 ExのBIOS設定からSecure Bootを有効にしても,ゲーム起動時に毎回BIOSの更新を促されて正常に動作しなかったので,今回は割愛している。
そのほかに,フレームレートの測定ツールには,従来の「CapFrameX」(Version 1.8.6)ではなく,NVIDIAのフレームレート計測ツール「FrameView」(Version 1.8.1)を使用した。
Claw 8 Exの画面解像度は1920×1200ドットだが,比較のためにKONKR FITと揃える形で,1920×1080ドットとした。ただ,「Battlefield 6」(以下,BF6)だけは,KONKR FITでうまくSecure Bootを有効にできずに起動できなかったため,標準解像度である1920×1200ドットでテストを実施している。
またClaw 8 Exのみ,1920×1200ドットより一回り小さくなる1680×1050ドットでもテストを行っている。よって,この解像度におけるKONKR FITの結果はない。
KONKR FITとは圧倒的な性能差。ゲーム次第でバラツキもある
それでは,「3DMark」(Version 2.32.8874)の結果から見ていこう。グラフ1は,描画負荷が比較的軽いDirectX 11ベースの「Fire Strike」の結果をまとめたものだ。
ただ,KONKR FITではエラーが起きてしまい,正常に実行できなかったので,Claw 8 Exの結果だけ見ていく。
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Claw 8 Ex:AIは,Fire Strike“無印”で1万を超えている点は評価できよう。Claw 8 Ex:耐久性はスコアが低下するものの,それでも80〜84%程度に留まっており,大きな性能低下は見られない印象だ。
グラフ2は,古い世代のDirectX 12テストである「Time Spy」の結果だ。
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Claw 8 Ex:AIはKONKR FITに56〜58%程度も上回り,格の違いを見せつけている。Claw 8 Ex:耐久性でも,KONKR FITとの差は約19%もあり,Claw 8 Ex:AIの描画性能はかなり期待できそうだ。
DirectX 12 Ultimateベースのグラフィックス性能を検証する「Steel Nomad」「Speed Way」「Port Royal」の結果をグラフ3にまとめた。
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Claw 8 Ex:AIはKONKR FITに対して,Steel Nomadで約89%,Speed Wayで約70%もの差を付けている。とくにPort Royalの場合,Claw 8 Ex:AIのスコアはKONKR FITのほぼ2倍に達しており,レイトレーシング性能も比較対象より秀でていると言っていい。
では,実際のゲームではどの程度のフレームレートが出るのだろうか。BF6の結果がグラフ4,5だ。
先述のとおり,KONKR FITでは動作しなかったので,Claw 8 Exの結果だけ見ていく。
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Claw 8 Ex:AIの平均フレームレートは,1920×1200ドットで40fpsを超えるのがやっとといったところ。1680×1050ドットでようやく,50fpsを超えてくるものの,満足のいく性能とは言い難い。どうやら,うまくフレーム生成が効いていないのではないだろうか。
次に,「モンスターハンターワイルズ」の結果をグラフ6,7にまとめた。
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1920×1080ドットの平均フレームレートに注目すると,KONKR FITがClaw 8 Ex:AIを18%ほど逆転している。ただ,1パーセンタイルフレームレートになると,Claw 8 Ex:AIがKONKR FITを約8%上回っている点は興味深い。
1680×1050ドットの結果を見ると,Claw 8 Ex:AIとClaw 8 Ex:耐久性の差はわずかで,TDP(Thermal Design Power,
グラフ8,9の「Fortnite」では,これまでとは異なり,かなり良好な結果が得られた。
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1920×1080ドットにおけるClaw 8 Ex:AIの平均フレームレートは120fpsを上回り,KONKR FITの2倍以上にも達している。これなら,リフレッシュレート120Hz対応ディスプレイも生かせる性能といっていい。
1680×1050ドットでは,Claw 8 Ex:AIの1パーセンタイルフレームレートも100fpsを超えており,かなり快適にプレイできる。
一方でClaw 8 Ex:耐久性の結果は,平均フレームレート,1パーセンタイルフレームレートともに通常時の66〜70%程度にとどまり,3DMarkよりも落ち込みが大きい。
グラフ10に,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめた。
FFXIV黄金のレガシー ベンチは,XeSSをサポートしていないため,FSR無効と,FSR有効で「3Dグラフィックス解像度スケール」67%,同50%の3パターンで比較する。
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スクウェア・エニックスの指標では,スコア1万5000以上が最高評価にあたるわけだが,Claw 8 Ex:AIは,FSR 50%でそれを満たした。
KONKR FITと比べると2.1〜2.2倍程度のスコアを叩き出しており,その差は明らかだ。
Claw 8 Ex:耐久性は,Claw 8 Ex:AIの69〜87%程度ほどで,アップスケーリングの度合いを大きくすればするほど,スコアの低下が目立つ。
グラフ11〜13には,FFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめている。
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平均フレームレートは総合スコアを踏襲しているが,Claw 8 Ex:AIはFSR無効でも60fpsを超え,FSR 50%で120fpsに迫っている点は評価できる。
ただ,FSR 50%でも最小フレームレートは50fps弱に留まっており,CPUがボトルネックとなって,思いのほか伸びていない印象だ。
グラフ14,15が「F1 25」の結果だが,ここでもClaw 8 Ex:AIの結果は良好だ。
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Claw 8 Ex:AIは,1920×1080ドットの平均フレームレートで120fpsを超えており,1680×1050ドットでは150fpsに達している。このあたりは,マルチフレーム生成がうまく機能した印象だ。
KONKR FITとの比較では,Claw 8 Ex:AIは平均フレームレートで約69%も引き離す一方,最小フレームレートでは約42%も差を付けられて逆転されている。
Claw 8 Ex:耐久性の平均フレームレートは,Claw 8 Ex:AIの66〜67%程度で,最小フレームレートは82〜87%程度に留まった。
「Cities: Skylines II」の結果をまとめたのがグラフ16,17だ。
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Claw 8 Ex:AIは,1920×1080ドットで平均フレームレートが2倍以上に達しているものの,1パーセンタイルフレームレートは10fpsを下回っており,快適にプレイできるとは言いがたい。
1680×1050ドットでも,平均フレームレートはようやく20fpsを超える程度で,1パーセンタイルフレームレートは10fpsに届かない。Cities: Skylines IIをプレイするには物足りない性能だ。
Claw 8 Exの消費電力は60W前後
Claw 8 Exの消費電力はどの程度なのだろうか。消費電力はバッテリーの持ちに直結するため,気になる読者も多いはずだ。
そこで,ログ取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測した。
テスト条件としては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定し,ゲーム用途を想定して無操作時にもディスプレイ出力が切れないよう指定している。各ベンチマーク実行中にもっとも高い消費電力を記録した時点をタイトルごとの「実行時」,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」として記録した。
なお,Claw 8 ExとKONKR FITともに,フル充電した状態でACアダプタをWatts up? PROに接続しているため,充電による消費電力の増加はないものと判断している。
その結果が,グラフ18だ。
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各テスト実行時におけるClaw 8 Exの消費電力は60W前後で,KONKR FITよりも11〜15W低い。
ただ,Claw 8 Ex:AIの消費電力に大きなばらつきが見られないことを考えると,Claw 8 Ex:AIは60W付近でTDPの制限をかけている可能性がある。
Claw 8 Ex:耐久性では,Claw 8 Ex:AIより消費電力が21〜25W程度低くなり,約35Wに収まっている。消費電力が明確に減っていることを確認できた。
ゲーム機として一定水準の性能を持つが,XeSS 3の普及がネック
以上のテスト結果を踏まえると,Claw 8 Exの性能は,統合GPUであるArc B390から想定できるとおりといったところだ。
IntelがアピールするXeSS 3によるマルチフレーム生成は,ゲーム側の対応が必須なので,すべてのゲームを無条件に快適にプレイできるわけではない。
しかし,現時点で最新のRyzen AIシリーズを搭載するKONKR FITを,性能で大きく上回ったことは評価できる。消費電力を抑えている点も好印象だ。
採用する液晶ディスプレイは,解像度を柔軟に変更できるといったWindows PCらしい利点がある。一方で,画質や輝度は,有機ELパネルを採用したKONKR FITに見劣りする点も指摘しておきたい。
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携帯型ゲームPCとして見たClaw 8 Exは,画質などで妥協が必要なものの,十分にゲームをプレイできる製品といっていい。Intelには,ゲーム開発者に対して,XeSS 3の普及を積極的に推し進めてほしいところだ。














































