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「ウイイレ」で国をまたいだアジアカップ!――突如KONAMI社内に出来た「esportsメディア推進室」とは何をする部署なのか,室長に根掘り葉掘り聞いてみよう
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印刷2017/10/11 19:37

インタビュー

「ウイイレ」で国をまたいだアジアカップ!――突如KONAMI社内に出来た「esportsメディア推進室」とは何をする部署なのか,室長に根掘り葉掘り聞いてみよう

画像集 No.004のサムネイル画像 / 「ウイイレ」で国をまたいだアジアカップ!――突如KONAMI社内に出来た「esportsメディア推進室」とは何をする部署なのか,室長に根掘り葉掘り聞いてみよう
 ずいぶん古い話になってしまって恐縮だが――遡ること3か月近く前の7月。2017年7月13日からラスベガスで開催されていた「Evolution 2017」(以下,EVO)で,メディア用のパスをもらおうと列に並んでいるとき,目の前の日本人が「KONAMIの○○ですが」といってパスをもらっていた。

 EVOには日本のメーカーの人も多く視察に来るが,やはりメインは「格闘ゲームをラインナップに持っている会社」や「ゲーミングデバイスの会社」「e-Sports関係者」などであって,格闘ゲームをラインナップとして持っていないKONAMIの人が,一体何の用だろう?
 ちょっとした軽い疑問解消のつもりで話しかけたら,実はその人はKONAMIの「esportsメディア推進室」の室長だとのことで,ますます謎。KONAMIって,そんなに“e-Sports”に熱心だったっけ?

 そのままの流れでインタビューさせてほしいとお願いしたら,最終日の午前中ならばと快諾いただき,このインタビューとなった。実は始める前は「記事になるような話が聞けるのかなぁ」とちょっと疑問だったのだが,いざ始めてみると,「ウイニングイレブン」の世界大会「PES LEAGUE」の今後の展開や,国をまたいだ「アジアリーグ」構想など,新しい情報が出るわ出るわ。割と興味深い話になったので,ここにその全文を公開しよう。

コナミデジタルエンタテインメント esportsメディア推進室 室長 猿楽一成氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「ウイイレ」で国をまたいだアジアカップ!――突如KONAMI社内に出来た「esportsメディア推進室」とは何をする部署なのか,室長に根掘り葉掘り聞いてみよう

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4Gamer:
 さて,こんなところでお時間いただけてありがとうございます。先日は突然話しかけちゃってすみませんでした。

猿楽一成氏(以下,猿楽氏):
 いえいえ。まさか遠くアメリカで4Gamerさんに話しかけられるとは思いませんでした(笑)。

4Gamer:
 聞きたいことは,実は1つしかないんです。「格闘ゲーム大会」であるEVOに,格闘ゲームタイトルを持っていないKONAMIが,どういう理由で来てるんでしょうか?
 ……と聞こうと思ってたんですが,先ほどいただいた名刺を見ると「事業推進本部 esportsメディア推進室 室長」と書いてありますね。
 eportsメディア推進室って……?

猿楽氏:
 やっぱりそこですよね。まぁ普通そう思いますよね(笑)。
 実は弊社は,昨年(2016年)からe-Sportsイベントなんかをいくつかやるようになってるんです。これまでは欧州を中心に小さなコミュニティで行っていた「ウイニングイレブン」シリーズの「PES LEAGUE」(ウイイレの海外名称:PES=Pro Evolution Soccer)も,今年はグローバルに展開しました。
 で,その1年間を通して思ったことが,「オフラインイベントの集客ってすごく難しいな」ということなんです。

4Gamer:
 PES LEAGUEでもそうなんですね。

猿楽氏:
 PES LEAGUEも含めて,ですね。Web配信で視聴していただけるお客様はグローバルでかなりいるのですが,会場まで足を運んでもらうとなるとハードルが上がるんですよ。

4Gamer:
 なるほど。

猿楽氏:
 そこで,視聴と集客の間にあるこの壁って一体何だろうと考えていまして。僕も去年あたりからe-Sports展開について動き出していて,社内でずっと「コミュニティが大事ですよ」という話をしていたんです。
 ただ,僕自身もその時はどう大事なのかを分からずに「大事だ! 大事だ!」とだけ言っていたんですけど(笑)。

4Gamer:
 なんか分かります(笑)。

猿楽氏:
 そんな中,今年の2月に市場調査目的で東南アジアをぐるっと旅行したんですが,現地ではユーザーコミュニティらしきものができていると聞いて,その人達に片っ端から会ってみようという話になったんです。

4Gamer:
 PES LEAGUEのコミュニティに?

猿楽氏:
 ええ。そこでそのコミュニティの人達と会って話したあとで「あなたの親しい人を教えて」と聞いて,さらにまた違うコミュニティの親しい人を紹介してもらい,またそこで話を聞いて次のコミュニティを紹介してもらう……ということを繰り返しながら,タイ,ベトナム,インドネシアをぐるぐる回っていったんですよ。

4Gamer:
 楽しそうですねえ。意外に泥臭い作業ですけど……。

猿楽氏:
 確かにそうですね。しかしそうやって,実際に彼らコミュニティが本拠地としているネットカフェなどに行ってみたら,会場はもうギュウギュウ詰めで,すごく盛り上がっているんですよ。「ここまでの熱気って日本にはないなぁ……」と思って話を聞いたら,コミュニティ同士でオフラインで集まってチームを作っていて,イベントも独自にいろいろやっているし,配信もガンガンやってるっていうんです。

4Gamer:
 愛されてますねえ。

猿楽氏:
 そうなんです。それを見て「あ,コミュニティってこういうことなんだ」と。別にメーカーが何かしなくても,勝手に集まって自分達がやりたいようにやって楽しんでいる状況こそが「コミュニティ」なんだなと思ったんですよね。
 それで彼らにいろいろ話を聞いてみたら,実はいろいろ困ってるんだと言うんです。コミュニティが盛り上がっていくと,それに合わせて箱(会場)も大きいものが必要となるんだけど,それを借りるお金がないと。

4Gamer:
 なるほど,確かにそうでしょうね。

猿楽氏:
 スポンサーも集めようとしているけど,なかなか難しい。そんな流れで,彼らからKONAMIに対してあんなことをしてほしい,こんなことをしてほしいというリクエストが山ほど出てきたんです。
 その中にはいくつか僕らにできることもあったので,じゃあそれはやろうという話になりました。そこで,「ああ,コミュニティのサポートってこういうことか」と,肌で分かったんですよね。

4Gamer:
 コミュニティってメーカーが作るものじゃないですしね。ちなみに,どんなことをやってほしいと言われたんですか。

猿楽氏:
 イベントをやる場所っていろいろあると思うんですけど,KONAMIが間に入って,ディストリビューターさん……つまり売っている店舗とマッチングしてほしいとか,スポンサーになってほしいとか。でも実はお金の問題ではなくて,彼らとしてはイベントに「KONAMI Official」って書きたいということが本質にあるんですよね。

4Gamer:
 でしょうねえ。すごく分かります。自分達が認められた感がほしいといいますか。

猿楽氏:
 そうなんです。KONAMIの人が絡んでくれるだけでいいし,なんなら現場に見にきてくれるだけでもいい。そういうことを彼らから言われて,「そんなことでいいんだったらいくつかやりますよ」という約束をあちこちでしてきたわけです。

4Gamer:
 約束しちゃうあたり,フットワーク軽いですね。

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猿楽氏:
 そこから帰ってきたあとで,よく一緒に飲みに行く業界関係者の知人から「EVOっていう格闘ゲーム大会はまさにコミュニティが作っているイベントなんだよ」という話を聞いたんです。
 コミュニティの大事さや,それをどう扱うべきなのか,先ほどお話しました東南アジアの市場調査で若干なりとも肌で感じていたので,コミュニティが巨大な規模のイベントをやっているというEVOを1回見に行かなきゃいけないなという話になったんです。

4Gamer:
 なるほど。単なるお偉方の視察旅行ではなかったんですね。失礼しました。

猿楽氏:
 気持ちは分かります(笑)。
 それで,そのことを社長(コナミデジタルエンタテインメント代表取締役社長 早川英樹氏)に話をしたんですが,最初は「そういうイベントもあるんだね」ぐらいの反応だったんですね。
 それがある日,社長から「EVOっていつあるの?」と聞かれたので「7月です」と答えたら「視察してきてください」と言われまして。そうして,現地に来て“コミュニティの力がどれくらいあるのか”とか,“どんなことをしているのか”を見るために,今回主だった人達でEVOに来ることになったんです。

4Gamer:
 なるほど,そういう背景が。

猿楽氏:
 東南アジアの件で小さいサポートはできることが分かったんですが,じゃあそのコミュニティの活動をどうやって大きくしていくのかと考えると,そこには大きな壁があるわけです。
 その壁を,EVOは何年もかけて突破してきたわけで,ならそこはEVOに学ぶしかないだろうということで,現地でEVOの人達と話をしたりしました。あとは日本にも「EVO Japan」という波が来ているので,ちょうどいいタイミングだろうと。

4Gamer:
 確かにEVOは,ゲーセンの大会が何年もかけてここまで来たわけですしねえ。

猿楽氏:
 「行って肌で感じるしかないですよ」と皆さんから聞いてましたし。

4Gamer:
 日本にはあまりない独特の空気もあります。


コミュニティ主導であることの素晴らしさとは


4Gamer:
 それで,実際こちらに来てみてどうでした?

猿楽氏:
 いや,もう想像以上というか……。僕,1日目と2日目って,「なんか小さい部屋でそれぞれやってるのかな」みたいな,もう少しこぢんまりしてるものだと思ってたんです。
 でもスケール感があまりにも違って。そもそもこれ,日本だと幕張メッセのホール3つ分ぐらい使ってるじゃないですか。いやもっとかな?

4Gamer:
 もうちょっとある気がしますね。

猿楽氏:
 こんなに大きな規模で予選をやっていることも驚きですし,トッププレイヤーと記念参加で来ている人達の距離の近さにもびっくりですよ。

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4Gamer:
 シードとかないですし。誰でもイコールコンディションでのスタート。

猿楽氏:
 はい,予選から有名プレイヤーと一般プレイヤーがガチで戦ってるのがすごいなと思いました。あと,試合もホントに間近で見られますし。

4Gamer:
 予選はホントに目の前ですね。手を伸ばせば触れる距離。

猿楽氏:
 あと驚いたのが,ブラウン管テレビが大量に持ち込まれてるという……。

4Gamer:
 スマブラ(※)ですね(笑)。

(※)EVO2017には,「大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U」(Wii U),「大乱闘スマッシュブラザーズ DX」(GC)の2タイトルがメインの種目として選出されていた

猿楽氏:
 ドリームキャストもありましたし。そういったいろんな機材を自分達で持ち込んでるんですよね,これ。メーカーからのサポートは受けていないらしいですし。

4Gamer:
 確かスマブラのブラウン管テレビは,みんなコミュニティが揃えてるはずです。

猿楽氏:
 やっぱりそうですよねえ……。彼らは,あれが好きなんですよね。誰からもサポートされなくても勝手に自分達のためにやっている。たぶんですけど,あの「好きでやってるんだぞオレ達は」っていうのが,EVOのベースなんでしょうね。

4Gamer:
 それは感じますね。そのテンションとモチベーションが,そのまま大会全体の空気となって出ているわけでしょうし。

猿楽氏:
 コミュニティを育てていこうと思ったときに,サポートして,大きくして,最終的な目標は大きいイベントへ……となるわけじゃないですか。その一連のものが,あの大きな会場の中に全部入っているのだと思うと,感慨深いですね。

4Gamer:
 なるほど,確かにそうですね。その視点はなかったです。

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猿楽氏:
 Wiiやドリームキャストで盛り上がってるところがあって,その横では大きめのスクリーンで50人ぐらい……トップ8決定戦なんかでは,もっとたくさんの人達が集まってきて遊んでるわけです。そして最終的には決勝を巨大なホールでやるじゃないですか。
 予選と決勝の2つの会場には,EVOが15年かけて培ってきた流れが凝縮されてるんですよね。あれを見ると肌感覚としてこういう風にコミュニティが育っていくというのが分かるので,業界の皆さんも見ておいた方がいいと思いますね。

4Gamer:
 e-Sportsという,ちょっとしたバズワードみたいな言葉が出来るもっと前から,彼らはそれを,コミュニティ主導でやってきたわけです。しかも,オフライン中心で。

猿楽氏:
 オフライン中心。そう,そこなんですよね。
 もちろん距離の問題はありますけど,現地に足を運ぶ人ってたぶん「試合が見たいから」というよりは,この空気感を感じたり,有名プレイヤーに会いたかったり,そういう理由で来てくれてると思うんですよね。

4Gamer:
 なるほど。

猿楽氏:
 なので僕は,どうやって有名プレイヤーにファンがつくようになるのかをずっと考えていたんです。EVOは,有名プレイヤーと間近で一緒にプレイできて,終わったあとはシェイクハンドまでしてくれるわけですよ。そりゃファンになりますよね。

4Gamer:
 確かに。

猿楽氏:
 「ああ,こういうことをやっていけばファンって作られるんだぁ……」って。有名プレイヤーと絡む機会をオフラインイベントで作ってあげるとか,そういうのもいいなと思いました。

4Gamer:
 人気プレイヤー,有名プレイヤーって,最初はどうやって作られるんでしょうね。

猿楽氏:
 うーん……発端はなんなんでしょうね。身近で一緒にプレイした人が「良い人だった」とか「メチャ強かった」とか「プレイがイカす」とかそういう話を広めて,それを聞いたほかの人が現地に集まる……という,そういう繰り返しなんだと思います。

4Gamer:
 それって,恐らくかつての日本でゲームセンターが担っていた役目ですよね。

猿楽氏:
 そうですね。あのときのコミュニティが巨大になったものが,EVOの会場で作られているわけですよ。弊社の「DanceDanceRevolution」も置かれていましたし(笑)。

4Gamer:
 ありましたねえ。入ってすぐのところに。しかしどこから誰が持ってきたんだろうアレ。

猿楽氏:
 自分達でトラックとかで運んでるんでしょうねえ。そういえば,昨日ダウンタウンに行ったら,「イー・アル・カンフー」のアーケード版が,筐体ごと1600ドルで売っていましたよ。しかも普通のおもちゃ屋さんで(笑)。

4Gamer:
 おっ,筐体ごとですか。

猿楽氏:
 ええ,稼働している筐体が。

4Gamer:
 そこは猿楽さんが買って帰らないと。

猿楽氏:
 いや,さすがちょっと筐体は持って帰れないんで(笑)。でも意外と流通してるんですねえ。

4Gamer:
 「イー・アル・カンフー」いいですねえ。久々に名前を聞きました。

猿楽氏:
 あとこっちにも,大きなゲームのコミュニティがあるんですね。話に聞いてはいましたけど,実際に見るとちょっと感動します。昨日ダウンタウンまで,Esports Arenaを見に行ったんですけど,結構大きめの映画館を改装したやつがあって。

4Gamer:
 へえ,それは結構大きいですね。さすがアメリカ。

猿楽氏:
 ラスベガスって,このあたり(=会場があるMandalay Bayとその周辺の目抜き通り)だけを見ているとディズニーランドみたいな町ですけど,ダウンタウンに行くとちゃんと人もたくさん住んでいて,e-Sportsカフェなんかもあってワイワイやってるんですよね。

4Gamer:
 僕も去年初めて来たんですが,「ラスベガスってこんなに人住んでるんだ」って思いました。60万人住んでいるって,知ってました? そもそも人が住んでいるイメージがあまりなかったですよね。

猿楽氏:
 なかったです(笑)。東南アジアに行ったときも,学生街と郊外のショッピングセンター,飲み屋街,あとネットカフェがある秋葉原みたいなところを4か所くらい回ってようやくその街が見えてきたので,今回もいろいろ見られてよかったです。

4Gamer:
 表面だけなぞって見てもしょうがないですしね。

猿楽氏:
 EVOの予選で,テーブルを囲んでワイワイやっている感じが,ちょうど東南アジアにあるネットカフェで盛り上がっているのと同じくらいのイメージなんです。それがタイやベトナムだと20〜30件くらいあるので,うまくサポートしてあげれば,もっと大きい規模のイベントぐらいはできそうなんですよね。まずそこからかな。

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4Gamer:
 ウイイレでやる予定ですか。

猿楽氏:
 まずウイイレでやりたいですね。なにせコミュニティがすでに出来上がっているので。何もないところから始めると,あそこの小さなテーブルでやっているような熱量を,最初から作り上げなければいけないんですよね。メーカーにとって,それがまず難しい。

4Gamer:
 意図的に作ろうと思ったら難しいでしょうねえ。

猿楽氏:
 ゼロを1にするのは凄く難しいと思うんですけど,1を10や20にしていくのはなんとかできるんじゃないかと。まずはそのあたりをサポートしてあげられればと思っています。
 なので,僕らが今からやらなきゃいけないことが,このコンベンションセンターの中にパーツとしていろいろ散らばっていた感じなんですよね。すごく勉強になりました。


「esportsメディア推進室」は

何を目的に作られた部署なのか


4Gamer:
 今まで言ってきたようなことをするために「esportsメディア推進室」が立ち上がった?

猿楽氏:
 あっ,そういえばそれを説明してなかったですね。
 「esportsメディア推進室」は,去年(2016年)8月に社長直下の組織として出来ました。当時は4人だったんですが,ミッションが凄いですよ。「e-Sportsの推進をしなさい」(笑)。

4Gamer:
 名は体を表してますね(笑)。

猿楽氏:
 とは言っても一応やることはあって,まずいろんなところに入っていって,e-Sportsのノウハウを蓄積して社内で横展開してくださいと。2つめに,会社としてIPがバラバラだと困るので,全体的なサポートをしてくださいと。そして3つめに,実際にイベントを実施するときに必要な,システム的な部分を開発してくださいと。

4Gamer:
 いやいや「3つ」っておっしゃいますけど,それって結構なものですよ。

猿楽氏:
 まあ,大体入ってる感じですよね(笑)。それを進めていく中で,先ほどあったコミュニティの話が出てきたんです。

4Gamer:
 あとから出てきた要素なんですね。

猿楽氏:
 ええ。今年の2,3月あたりでやらなきゃいけないことは分かっていて,小さい草の根的な部分でやれることもだんだん見えてきていたんです。
 それを実際に動かしてみようとした時に話に出たのが「コミュニティってサポートしすぎても難しいよね」ということで。

4Gamer:
 そうですねえ……。その加減は確かに難しそうです。あまり1つのコミュニティとメーカーがべったりくっつくわけにもいきませんしね。

猿楽氏:
 それもありますが,サポートし過ぎると自立してくれないし,コミュニティがメーカーに甘え過ぎてしまうという話も聞いていたんです。
 コミュニティとの距離をどうやって測ればいいのかにも悩んでいまして。こういうのって,普通は落とし穴に落ちて失敗しながら学んでいくと思うんですけど,僕らには,失敗している時間はなさそうで(笑)。

4Gamer:
 なるほど(笑)。

猿楽氏:
 「できれば落とし穴の場所が分かっている人が欲しい!」と思っていた矢先,うちのサッカーゲームのプロデューサーと,e-Sportsタイトルのコミュニティ戦略をやっていた人が知り合いで,お会いする機会があったんです。それで話してみると,何となく僕が困っているところを全部知っている感じだったんです。

4Gamer:
 これは幸い。

猿楽氏:
 そうなんです(笑)。その後チームに参加していただけるということになりまして。それで先ほどの3つの課題も含めて,ようやく道筋が見えてきたというところです。
 グローバルでも展開していかなければいけないということで,今は海外系のことをやっている部署と連携して進めているといったところですね。

4Gamer:
 KONAMIとしても,会社を挙げてe-Sports……といいますか,ゲーム大会のような方向に舵を切りつつあるということでしょうか。

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猿楽氏:
 親和性の高いIPに関しては進めてみよう,というところですね。
 ずっと僕らはゲームを作ってきたので,「ゲームを作って売る会社」というイメージがあると思うんです。でも,コナミグループの企業理念は「価値ある時間の創造」であって,決してゲームを作って売るだけではないんですよね。

4Gamer:
 すみません,ゲーム会社だと思ってました……。

猿楽氏:
 まず,お客様に実際にプレイして楽しんでいただくために,ゲームを作ってきました。そのあとに,ゲームを作るだけではなく,運営して楽しませるということが必要になってきた。そしてゲームをスポーツとしてプレイしたり,観戦したりしている人も大勢いると分かったので,その人達に楽しい時間を提供する必要がある。
 そういった部分を全部含めてKONAMIのサービスなんです。なので,会社の中でも「舵を切った」という感じはなくて,“お客様が楽しんでいただけているのであればやってみよう”というだけの話で,当たり前の流れなのかなと考えています。

4Gamer:
 言われてみれば,KONAMIはピュアなゲーム会社じゃないですしねえ。

猿楽氏:
 そうなんです。僕もこれまで,ゲームを作って売るだけが仕事だと思ってやってきてはいないので,「e-Sports部門を任せた」と言われたときにも「なるほど」と思っただけで,とくに抵抗はありませんでした。
 「イベントをやってみて」とか,「配信もしてほしい」といった話もあったんですが,「やったことないけど,まぁ,じゃあとりあえずやってみます」と。


室長猿楽氏の「なんでも屋」度合いが素晴らしい


4Gamer:
 しかし,それだけあれこれ注文をもらってしまう猿楽さんは,今まで何をしてきた人なんですか? 結構な経験がないとそんな注文はされないのでは。

猿楽氏:
 まぁいろいろとやってきているんですけど……。

4Gamer:
 KONAMIに勤めて何年目になるんですか?

猿楽氏:
 1995年入社なので,えーっと……今年で22年めですね。ちなみに初代ウイイレは1995年発売で僕と同じ年です。

4Gamer:
 おや,けっこう時間が経ってますね。

猿楽氏:
 こういう仕事を任されてるから,「もとから対戦ゲームが好きな人なんだな」って思われるかもしれないんですが,でも実は入社したときには全然好きじゃなかったんです(笑)。好きなゲームといえば,RPGとかシミュレーションとか,反射神経が必要ないものばっかりでした。

4Gamer:
 なんか凄くシンパシーを感じます(笑)。

猿楽氏:
 まさかこんな風になるとは思わなかったんですけどね。入社したときには,PS向けのRPG「幻想水滸伝」を作っていました。「II」と「III」にも携わっていましたね。

4Gamer:
 名作……!

猿楽氏:
 いやいや……“隠れた”名作かな(笑)。

4Gamer:
 昔からのゲーマーなら皆知っていますよ。そんな名作に関わっていた人だったとは。

猿楽氏:
 そういうことにしておいてください(笑)。
 「幻想水滸伝」は1タイトル2年くらいかけてゲームを制作していたんですが,当時はROMを焼く時間というのがあって,マスターアップしてから焼くまでに1〜2時間くらいかかるんですよね。その間はみんなで「ストリートファイターII」をやったりなんかして。

4Gamer:
 ウイイレじゃないんだ(笑)。

猿楽氏:
 はい(笑)。1試合が短くてキリがいいんですよね。待ち時間にひたすら皆でやってました。
 そのあとは,「ウイイレのチームで人を探しているので合流する」という道と,「SNSを作るプロジェクトに参加する」という2つの道をオファーされて,なんとなくSNSのプロジェクトに行ったんです。

4Gamer:
 それって何年くらいの話ですか。

猿楽氏:
 2006年ぐらい……かな。そこで,SNSとかレトロゲームのダウンロードサイトを作る業務を大体3年ぐらいやりまして。その後にモバイル向けのゲームサービスの立上げに携わりました。

4Gamer:
 けっこう激しい遍歴ですね。

猿楽氏:
 しかもまだ終わらないんです(笑)。その後プロモーションや自社メディアの制作を2〜3年やっていたんですが,違う部署で「スマホ向けのサービスを作るぞ」っていう話があって,そちらに呼ばれました。何かと新しいサービスを立ち上げる際に呼ばれるんです。今回もその一環かな。

4Gamer:
 それはそれですごい経歴ですね。「立ち上げ屋」ですか。

猿楽氏:
 うちが何かを立ち上げるときって,大抵はゲームに関係した“何か”なので,ゲーム開発を知っている人の方が良いということになるんです。
 それに加えて,Webサービスの開発も知ってた方が良いとなって,しかもうちの会社は,各所に知り合いがいた方がプロジェクトがスムーズに動くという部分があるので,いろいろやってる人間で勤続年数が長い人となると……。

4Gamer:
 その条件を満たしてるのが猿楽さんである,と。

猿楽氏:
 そうなるみたいです。開発から離れてプロモーションをしていたころも,これはこれで楽しいなと思ってやっていたんですが,おととし(2015年)の11月ぐらいに会社の集まりで「e-Sportsに関するレポートをしてください」という話があったんですね。
 勉強会というわけではないんですけど,「なんかe-Sportsが盛り上がってきているらしいから,一度会社内でちゃんと話そう」みたいな。そんなこと一体誰が調べるんだと思っていたら,私がたまたま選ばれまして。

4Gamer:
 ……それ“たまたま”なんですか?

猿楽氏:
 たまたまです! それで,Wikipediaでe-Sportsのページを見るところから始めました。

4Gamer:
 そこから!?

猿楽氏:
 はい,そこからです(笑)。
 その後,いろんなe-Sportsイベントにも足を運びましたね。一番最初に行ったのが,専門学校で開催されていた「Hearthstone」の日韓戦だったんですが(関連記事),そこでは担当者の方と“この学校はe-Sports学科がある”みたいなお話しをしました。
 そんな風にいろいろと調べていく中で,「あ,e-Sportsって面白いかも」と思ったんです。

4Gamer:
 逆に言うと,その時点までは全然知らなかったんですか?

猿楽氏:
 もちろん「そういうものがある」というのは知っていたんですけど,そもそも僕はスポーツゲームみたいな瞬発力を要するゲームが苦手だったので,任されるとはまったく思ってなかったんです。
 おととしの11月に会社で発表したあとに,なんとなく会社内で「e-Sportsのことは猿楽」みたいな空気ができて,いろいろ聞かれるようになったんですけど。

4Gamer:
 後付けで理由ができたという。

猿楽氏:
 「e-Sportsって何なんだ」と聞かれるから,こっちも知らなくちゃいけないと思うじゃないですか。なのでいろいろなことを調べて,イベントにも足を運んで……と接していくうちに,これは面白いなと思えてきて。

4Gamer:
 お,ここで室長としての片鱗が。

猿楽氏:
 ようやくです(笑)。
 ただ当時は,プロモーション系の仕事と兼務で,どうしてもそちらが忙しくてe-Sportsの調査はなかなか進まなかったんですよね。
 僕自身もアウトプットも出せなくて悶々としていた時に,社長から「今度e-Sportsの専門部署を作るからそこに入ってほしい」と言われました。それが2016年8月1日ですね。

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「ウイイレ」以外でe-Sports向きのタイトルは,

「遊戯王」「パワプロ」,そして「ボンバーマン」?


4Gamer:
 話をちょっと戻しちゃいますけど,esportsメディア推進室って,具体的に「EVOみたいな大会を開こう!」というような部署ではなくて,社内でのe-Sports全般を一手に引き受けている感じですか。

猿楽氏:
 「何でもやるところ」というのも付けくわえてください(笑)。
 先ほど,「ゲームはプレイするだけじゃなくて,観て楽しむ人がいる」という話をしたと思うんですけど,そこは凄く大きいポイントです。
 視聴サービスって,今まであまりやってこなかったことで,会社も面白いと思ってくれている部分です。実際にゲームを観て楽しむ人達にサービスを提供することで,ビジネスとして成立しているわけです。企業理念の話でいうと,視聴サービスを通じてお客様が楽しんでくれていて,そこに“価値ある時間”が生まれている,というところでしょうか。

4Gamer:
 なるほど,分かります。

猿楽氏:
 その“価値ある時間”をe-Sportsで……というのはちょっと大きい話ですけど,会社なので「新しい層のお客様に提供できるサービスをその中で作れればいいな」というのはあります。それはメディアなのかもしれないし,ほかのWebサービスなのかもしれない。どういう形になるのかは分からないですけどね。

4Gamer:
 配信はどうですか?

猿楽氏:
 配信は,もう世の中にたくさんのサービスがありますよね。あえてここでKONAMIが始めるとしたら,何をすればいいんだろう……というのは考えてます。ゲーム会社だからこそできる配信の形ってあると思いますし。
 お客様はテレビだと受動的に観ますけど,TwitchやYouTubeだともうちょっとインタラクティブに観るわけじゃないですか。

4Gamer:
 そうですね。

猿楽氏:
 そこは1つのキーかな,と思ってます。もう1つ考えているのは,高い熱量を持つお客様はもっと違うサービスを望むかもしれないということです。そういった人達に向けてウチがサービスを提供することはあってもいいんじゃないかという気はしますね。

4Gamer:
 例えばEVOで言うと,参加費を払ったり,決勝戦のチケットを買ったり,そもそもラスベガスまで来ている時点で,会場に足を運ぶ人は相当な熱量を持っているわけですよね。

猿楽氏:
 僕も山ほど買いましたけど,さらにグッズもたくさん買うわけです。いやホントに,お客様がお金を払ってもいいと思えるサービスをコミュニティが作っているEVOって凄いですよ。

4Gamer:
 この規模になってもなお,上層部は4人ですしねえ。

猿楽氏:
 そこが衝撃です。それを聞いちゃったので,僕らも「4人しかいないから無理ですよ〜」って言えなくなりました(笑)。

4Gamer:
 「EVOは4人でやってるらしいけど?」って(笑)。

猿楽氏:
 しかしまぁ真面目な話,4人で出来ることを着々と積み上げていかないとならないわけで……。サービスの話ばかりになりましたが,e-Sportsの競技として向いているKONAMIのタイトルだと,ウイイレ以外に「遊☆戯☆王」シリーズ,「実況パワフルプロ野球」シリーズあたりに可能性があると思ってます。

4Gamer:
 あと「ボンバーマン」も向いている気がしてます。

猿楽氏:
 確かにそうですね。今年3月のNintendo Switch発売に合わせて「スーパーボンバーマンR」を提供したばかりですし,味付け次第でかなりいけると思います。スーパープレイヤーも結構いらっしゃるので。

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4Gamer:
 そういう人を見たことないですけど,さぞ上手いんだろうなあ。

猿楽氏:
 何をやっているのか分からないくらい上手いですよ(笑)。ただ問題は,上手すぎる人同士がやると勝負がつかなくて,最後はプレッシャーブロックが勝っちゃうっていう……(笑)。

4Gamer:
 (笑)。格ゲーとは違ってそういうことになっちゃうんですね。

猿楽氏:
 そうなんです。まぁそこをどうしたらいいのかを提案するのも,僕らの仕事なんですけどね。KONAMIのメリットは「もっとゲームをこうしたらいいのに」ということを直に言えるということですし。


社内のe-Sports大会は,なんと参加者400人!


4Gamer:
 お話を聞いていると,日本のコミュニティが「オフライン大会をやりたい,KONAMIから誰か来てほしい」「KONAMIに○○をしてほしい」と思ったときに,交渉の余地ができるかもしれないという雰囲気もありますが。

猿楽氏:
 そうですね。当たり前のことではありますが,「コミュニティをサポートしたいと思ったときは,何を求めてるかをコミュニティに聞くしかない」ということが分かりましたから。
 なので,これからオフラインイベントをいろいろやっていくと思うんですけど,私を見かけたら遠慮なく話しかけて欲しいですね。対話をしてコミュニティをサポートしていきたい,という考えが基本としてありますので。

4Gamer:
 例えば大会の場所みたいな話になったらどうなんでしょう。そういえば,KONAMIさんって自社内に持っていませんでしたっけ? うろ覚えで恐縮ですが。

コナミ カードゲームステーションにある,大型モニターと液晶デュエルフィールドを備えた「デュエルステージ」
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猿楽氏:
 本社がある赤坂の東京ミッドタウン・イースト2階にある「コナミ カードゲームステーション」(※公式サイトはこちらですね。お客様に開放している「遊戯王オフィシャルカードゲーム」のプレイスペースなんですけど,そこにe-Sportsができる場所を用意しました。

4Gamer:
 配信台とかもあるんですか。

猿楽氏:
 カメラや照明もあるので,配信もできますよ。床も光ります(笑)。ちょっとしたe-Sportsイベントなら,ここで開催してそれを配信するという仕組みはできています。

4Gamer:
 結構凝ってた……。何人ぐらい入れるんですか。

猿楽氏:
 80人くらいですかね。

4Gamer:
 まぁまぁな規模ですねえ。

猿楽氏:
 もうちょっとイケるかもですが,パブリックビューイングに使うスペースを考えると,80人ぐらいがほど良いぐらいです。
 実はそもそもの発端として,去年の12月に会社内でのe-Sports大会をここを使って行ったというのがあるんです。

4Gamer:
 社内で!?

猿楽氏:
 はい。まぁKONAMIですので,社内イベントといっても参加者が400人近くの規模となったわけです。ウイイレ部門,パワプロ部門を筆頭にその他2部門くらいで行ったんですが,運営会社を呼んで実際にステージを作ったり,社内向けに配信したりしました。

4Gamer:
 本物の大会みたいな規模ですね。

猿楽氏:
 そうですね,ちゃんとMCも呼んだりして。まぁその運営も僕らがやったんですけど(笑)。

4Gamer:
 ホントになんでもやっている(笑)。

猿楽氏:
 そうやって社内向けながらイベントを実際に行ってみて,設営ってけっこう大変だなと感じました。
 「イベントを開催するごとに設営するのも大変だから,もう最初から作っておいたほうがいいんじゃないか」となったんですよ。今後も社内大会をやって欲しいという声もありましたし,そもそもカードゲームステーションもお客様向けに開放してるんだから,e-Sports用の場所としてあってもいいだろうと。それで作っちゃいました。

4Gamer:
 割と軽いノリだ……。

猿楽氏:
 社長に「作っていいですか」と聞いたら「OK」と即答だったので(笑)。

4Gamer:
 フットワークが軽いなあ。

猿楽氏:
 今度8月13日に遊戯王の世界大会(関連記事)があって,アナログカードの大会とスマホ用対戦型カードゲーム「遊戯王 デュエルリンクス」iOS / Android)の大会を開催するんですけど,そのリハーサルとして社内向けの大会を行いました。社内向けにコメント機能付きの配信なんかもやりましたよ。

4Gamer:
 社内大会といっても,相当気合の入ったものなんですね。

猿楽氏:
 基本的には,お客様にお出しする前のリハとか,新しいシステムなどを試す場なんですよね。社内だからこその,容赦ないフィードバックももらえますし(笑)。
 でも実は,社員が「会社はこういうことがやりたいんだ」というのが分かるというのが最大のメリットとしてもあるんです。

4Gamer:
 なるほど,確かにそうですね。それは結構大きいなぁ。

猿楽氏:
 例えば「ウイイレ」や「パワプロ」の大会のときですが,開発者自らが参加していたんですけど,そんな彼らから「リプレイを飛ばせちゃうとつまんないね」という話が出てくるんです。

4Gamer:
 自らが参加することで体感で分かるわけですね。

(※)2〜3人で協力してチームを操作する「ウイニングイレブン 2018」の新機能「CO-OPモード」のこと。2017年9月には,同機能を使用したメディア対抗戦も行われた(関連記事
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猿楽氏:
 ええ。なのでe-Sportsのモードでは,今年からリプレイが飛ばせなくなったりとかして,専用の特別な仕様が勝手に入ってたりしました。あとは「チーム戦は面白いね」って話になって,実際にそれがゲームに実装されましたね(※)

4Gamer:
 なんだかちょっといい話です。

猿楽氏:
 選手として参加することで分かることがあるし,自分のゲームを視聴コンテンツとして見ることで「あれが足りないこれが足りない」「これは要らない」「このUIはちょっと良くないな」みたいに,いろいろ気付くことがあるんです。

4Gamer:
 聞くとやるとでは大違いですからね。

猿楽氏:
 セミナーを行ったり,社内向けに説明会を開いたりするよりも,こっちのほうがよっぽどいいんじゃないかと思いましたね。

4Gamer:
 実体験に勝るものはないですから。

猿楽氏:
 ただ唯一問題があるとすると,僕らが「あれをやってくれ,これをやってくれ」と言われることがとても増えたということでしょうか(笑)。

4Gamer:
 4人なのに(笑)。

猿楽氏:
 いや,おかげさまで今では増えました(笑)。でもまだ全然足りないし「どうしたものかな……」と思っているところです。


「好き」でやっているコミュニティの人達に

勝るものはない


4Gamer:
 どうしたものか……というのは,また何か新しいことを?

猿楽氏:
 コミュニティ主導の大会ができたら嬉しいなと思っているので,社内の有志が集まって企画をして大会を開く,という流れを作ってみようかと思っています。
 要は,お客様のコミュニティが自発的に大会をやる流れを,社内で1回やってみようという。

4Gamer:
 なるほど。

猿楽氏:
 お客様とやる前に流れが体験できるんです。社内を実験場として使っていますね(笑)。

4Gamer:
 大きい会社ならでは,ですね。

猿楽氏:
 でもやっぱり社長の号令があったのが大きいですよ。社内大会で400人なんて,普通は集まりませんから。

4Gamer:
 確かにそうですね。

猿楽氏:
 制作チームだけではなくて,経理やライセンス部,あとは法務とかいろいろなところが参加してくれたので面白かったですよ。

4Gamer:
 思っていたより楽しそうな会社ですよね,KONAMIさんって(笑)。

猿楽氏:
 とりあえず「まずは自分達で何かやってみよう」というのがあって。会社として,いきなり外にお願いするのは苦手なんですよね。そういう意味で,最初が大変なんですけど。
 夏あたりから始めたいと思うのですが,お客様の声を聞きながらいろいろなイベントをちょこちょこやろうと思っています。お客様にもいろんな面白さを提供したいですし,最終的にはコミュニティの方に会場をお貸しすることもやりたいですね。

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4Gamer:
 ほうほう。

猿楽氏:
 実はアーケードゲーム「クイズマジックアカデミー」のイベントで,コナミ カードゲームステーションを貸し出したことがあるんです。「クイズマジックアカデミー」のイベントはこれまでも継続的に行ってきているんですけど,1回のイベントで600人ぐらいの参加者が集まってくださるんですよ。

4Gamer:
 そんなに集まるんですか……。どんな感じでした?

猿楽氏:
 かなり盛り上がりましたよ。

4Gamer:
 とくに事故などもなく?

猿楽氏:
 はい,コミュニティの人達ってそのあたりが完璧なんですよ。言うならば,EVOの縮小版があるイメージでした。

4Gamer:
 そういうのって,コミュニティの人に任せるのが一番ですよね……。

猿楽氏:
 それというのは,絶対にコミュニティの人達が好きでやっているというのがあるからなんです。最後はそこに帰結する。その熱量を,組織の全員が持つのはとても難しいことですよね。

4Gamer:
 もちろんそうですね。

猿楽氏:
 でも,熱量のある人達と一緒に進めていくことで,だんだんと「浸透していくもの」というのがあります。

4Gamer:
 自分の中で色が塗り替えられていく感じ,ありますよね。

猿楽氏:
 ええ。e-Sportsイベントに携わることで組織も変わっていくんでしょうし,社内の人がコミュニティとしてゲーム大会をやって,それを皆が経験するとまたちょっとコミュニティに対する見方が変わってくるかもしれない。座学でレクチャーするよりも効果があると思っています。

4Gamer:
 コミュニティの人って一般ユーザーとは全然違いますからねえ。

猿楽氏:
 「ファン」ぐらいの人は大勢いますけど,あそこまで熱量の高い人っていないですね。
 僕が開発チームに説明するときには,「ファンだと思わずにサポーターだと考えれば分かりやすいですよ」って言うんです。ファンは,サッカーの試合をテレビで観て楽しむけど,毎週試合を観に行くとなると,また話が違ってきますよね。

4Gamer:
 そうですね。

猿楽氏:
 なのでコミュニティというのは「サポーターを作る」という考え方が近いんじゃないかなと思うんですよ。サッカーって,サポーターの応援まで含めてコンテンツですし,ファンとは違った見方をしないと多分コミュニティって作れないんですよね。

4Gamer:
 猿楽さんの部署は,そういうことをメインに今後やっていく?

猿楽氏:
 まずはKONAMIのコンテンツサポーターを作っていくところを頑張らないと,ですね。
 これは作ろうと思ってできるものではないので,熱量の高い人を探し出して「何が必要ですか?」と話を聞くことから進めていきたいです。


「ウイイレ 2018」で「アジアカップ」開催なるか?


4Gamer:
 それと並行して,何か大きい動きとかないんですか。

猿楽氏:
 今年度中に国をまたいだウイイレの大会ができたらなと思っています。あっ,これ言っていいのかな。

4Gamer:
 国をまたいだ……?

猿楽氏:
 東南アジアを回ったときに「小さい大会はできるけど,大きい大会は難しい」という話をたくさん聞きましたし,また日本の状況も,国内の大会だと顔見知りばかりの集まりになってしまうといったことがあるんです。
ロンドンで2017年6月に行われた「PES LEAGUE ROAD TO CARDIFF」世界大会
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 6月に「PES LEAGUE ROAD TO CARDIFF 世界大会」の決勝大会をロンドン(関連記事)で行ったときに,日本代表の人達が「南米の人達は全然プレイスタイルが違う。話をしていて凄く面白かったし,とてもいい機会だった」と言っていたんです。だったら,もっといろんな国の人達が集まる大会を用意できないかなと思いまして。

4Gamer:
 結構なものですね,それ。

猿楽氏:
 東南アジアの人達にいろいろやってほしいと言われて,僕らも軽い感じで「OK,OK! 任せとけ!」って言っちゃった手前,どうにかするしかないなというのもありますけど(笑)。
 場所はアジア全域を考えているので,調整に手間取りそうな感じはしますけど,今年度中にはどうにかしたいと思っています。

4Gamer:
 KONAMIオフィシャルで?

猿楽氏:
 KONAMIがどのように関わるかは調整が必要ですが,コミュニティと現地のオーガナイザーとでやっていただくスタイルになるかと思います。コミュニティはサポートをしてくれるところが欲しい,オーガナイザーは販促活動がやりたい。そこのマッチングをお手伝いさせてもらって,現地に沿ったやり方で進めていくイメージです。

4Gamer:
 しかし今年度内ってそんなにもう時間ないですよね。

猿楽氏:
 「ウイニングイレブン 2018」PS4/PS3)でやる予定なんですが,大変なんですよね……。現地のルールみたいな,気にしなきゃいけない所がいろいろと出てきますから。

4Gamer:
 そりゃそうですよね。国をまたぐと,とくに。

猿楽氏:
 でもとりあえずどうにかするか,と。

4Gamer:
 いいですねえ。ウイイレワールドカップ的な。

猿楽氏:
 ウイイレアジアカップ,かな。

4Gamer:
 あ,そうか。アジアか。

猿楽氏:
 アジアも広いんですけど,今年は8か国ぐらいでやりたいと思っています。国名を出すと「言ったのにやらないの!?」となっちゃうので,詳しくは言えませんが(笑)。「アジア」のイメージどおりだと思っていただければ大体合ってるかな? と。

4Gamer:
 残念。

猿楽氏:
 いきなりワールドワイドでやろうとすると「あんた誰?」となっちゃうかもしれないので,まずはアジアとか南米とか欧州とか,そういう形で1回コミュニティを混ぜよう……混ぜるというか,くっつけようと思っています。
 あの熱いコミュニティと日本の若者が触れ合ったときに,どんな化学反応が起こるんだろうってちょっと楽しみなんですよね。

4Gamer:
 ここまで長々と話してきましたけど,意外と大きいことを考えてたんですね。ルールなんかもだいぶ骨子は固まってるんですか?

猿楽氏:
 今は,2vs.2のチーム戦でやろうと思っています。「RAGE」(関連記事)でも2vs.2のルールでやってたんですけど,それを見ていてやっぱりチーム戦だなって思って。
 「なんで3vs.3じゃないの?」と思われるかもしれないんですが,ネット環境の問題で難しいんですよね。最終的には3vs.3もやりたいんですけど,今回はオフラインでもプレイできる2vs.2でやろうかと思います。

4Gamer:
 2vs.2だと友達を誘いやすくていいかも。

猿楽氏:
 ですよね。あと,東南アジアの人達も「2vs.2なら全然問題ない。俺らが勝つ」って宣言してましたし,面白くなるんじゃないかなあと思います。

4Gamer:
 大会といえば,PES LEAGUEってどうなるんですか? 冒頭でもちょっと触れましたけど,もちろん今回もグローバルに展開されるんですよね?

猿楽氏:
 はい,引き続きUEFA Champions League公式となる2018年度のPES LEAGUEでは,大きく2点,進化させようかな,と。
 まず,従来の1vs.1のシングルモードの世界No.1を決めるほか,新たに3vs.3のCO-OPモードが加わり,世界一のチームを競うことになります。

4Gamer:
 PES LEAGUEでもチーム戦やるんですね。アジアリーグの2vs.2もだけど,3vs.3のチーム戦は盛り上がりそう。

猿楽氏:
 ですよね! ミスした時にフォローしあったり,点を入れた時にハイタッチしたりで凄く良いんですよ。そういったチーム内のやりとりがとてもe-Sportsっぽい。
 もう一つですが,これまで世界大会は,各地域で開催されるオフライン大会での成績上位者が進出するという形だったんですが,今回はポイント制度に変更しました。

4Gamer:
 勝ち抜き制ではなく,ポイント制になると。

猿楽氏:
 はい。各地域で実施するオフライン大会に参加し,好成績を残したプレイヤーにポイントを付与します。で,年間を通じてポイントをためていただき,その累計ポイント上位者が世界大会に進むと言う形式です。
 詳細はまだ明かせないのですが,日本のプレイヤーは,オフライン大会となるアジアラウンドで高成績を残すことで,世界大会の道が開ける……といったところでしょうか。

4Gamer:
 世界大会に進出するプレイヤーは,皆それぞれ各地域で行われるオフライン大会に一度は参加する形になるんですか。

猿楽氏:
 一概には言えませんが,恐らくそうなるかと思います。で,実はそこにも狙いがあるんですよ。

4Gamer:
 狙い?

猿楽氏:
 e-Sportsって,単純にハイレベルな戦いを“観る”という楽しみ方がありますが,EVOのように選手(プレイヤー)のファンになって,“応援する”という要素もあるんじゃないかなと思うんです。
 なので,PES LEAGUE視聴者の方には,まず初戦となるアジアラウンドで活躍したプレイヤーの中から応援するプレイヤーを見つけてもらい,次の南北アメリカラウンドでファンになってもらう。そして,欧州ラウンド,世界大会と進むごとにそんなファンが増えていき,応援する声も大きくなっていく……といった流れになれば,視聴者に“応援する”楽しみも提供できるんじゃないかなあ,と。

4Gamer:
 なるほど。先ほどちょっと話してもらった,ファンからサポーターにっていう話に近いですね。
 もしかしたら,すでに昨年度の大会で注目を集めているプレイヤーもいるかもしれない。

猿楽氏:
 僕らもそう思いまして,昨年度の上位プレイヤーには,アジアラウンドに出場していただく予定です。実績もありますしね。

4Gamer:
 プレイヤーとしてアジアラウンドに出場するには,どうしたらいいんですか?

猿楽氏:
 10月12日より,アジアラウンド出場者を選抜するオンライン大会「PES LEAGUE Online Championship 2018 Season 1」を開催します。ぜひこのオンライン大会で勝ち進み,ポイントを獲得してください!

4Gamer:
 Season 1ってことは,Season 2もあるんですか?

猿楽氏:
 2018年春に開催予定の南北アメリカラウンド前に,アジアラウンドのSeason 2を予定しています。なので,Season 1で思うような結果が出せなかったプレイヤーは,ぜひSeason 2に挑んでください! ……と,ここまで言っちゃって良かったのかな?

4Gamer:
 ここで言ったことは記事に載せますが,よいですか(笑)。

猿楽氏:
 では,載せていただいたら実現します!

4Gamer:
 では遠慮なく……。ところでアジアラウンドはいつ開催するんですか?

猿楽氏:
 まだ決まってないんですけど,年明け……かな?

本日(10月11日)発表されたとおり(関連記事),「PES LEAGUE WORLD TOUR 2018」は,2017年冬から2018年春までの期間,世界各地でオフライン大会が行われ,世界No.1を決める決勝大会が2018年夏に開催される予定だ(公式サイトはこちら
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4Gamer:
 先ほど話していたアジアリーグって,PES LEAGUEとなにかしらの形でつなげる予定はあるんですか?

猿楽氏:
 まだ確定していないのですが,アジアリーグの上位者をどこかのラウンドの選抜選手にできないかなぁと。
 ただ,先ほどお話したとおり,アジアリーグは2vs.2のチーム戦で行う予定なので,どういう形で3vs.3のPES LEAGUEにつなげられるかみたいな,詰めなきゃいけない部分は多いんですよね。あぁやっぱりコレは書かないでもらった方がいいかな……。

4Gamer:
 じゃあ載せますね。

猿楽氏:
 ええと,では載せていただいたら詰めます!

4Gamer:
 ……意図的に言ってませんか(笑)。

猿楽氏:
 バレました?(笑)

4Gamer:
 しかしアジアリーグにPES LEAGUE……恐らくそのあとの展開も,いろいろ考えてらっしゃるんですよね。

猿楽氏:
 そうですね。あちこちに熱量の高い地域があるんです。「遊戯王」だってグローバルですし,「ウイイレ」もいろんなところに熱量の高いコミュニティがある。それを混ぜていくのが日本を盛り上げる1つの方法かなと思っています。
 とにかく,日本のプレイヤーに海外の人と接する機会をどんどん増やしていく方向で活動していきたいということと,コミュニティの声を聞いてサポートしていきたいという,2つのことをまずやりたいですね。

4Gamer:
 なるほど。

猿楽氏:
 あとは面白い配信や,KONAMIならではのe-Sportsの見せ方を模索していきたいなと思ってます。もともとシステム屋なので,アイデアはどんどん出てくるので!

4Gamer:
 ……すごく失礼な言い方ですけど,KONAMIさんの「esportsメディア推進室」っていう名前から聞くより,はるかに楽しそうなことをやってるんですね。

猿楽氏:
 お堅いイメージを持ってました?

4Gamer:
 ええ。なんか視察とか行って夜は会食三昧で,あとで分厚いレポートを上長に提出してそうなイメージ(笑)。

猿楽氏:
 あー(笑)。でも僕がこういう人間なんで,それはないかな……。

4Gamer:
 人選は正しかったということですね。

猿楽氏:
 正しかったかどうかは微妙ですけど(笑),まあ,面白い方向には行くと思います。でも結局それは,お客様の声を聞いて決めることですから,そういう意味ではあまりコントロールできないんですよね。

4Gamer:
 さすがにもうお時間のようなので……。長い間ありがとうございました。ウイイレアジアカップと,それ以降の新しい動きを引き続き楽しみにしております!

猿楽氏:
 手ごたえを感じられるようがんばります!

――2017年7月16日収録

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「PES LEAGUE WORLD TOUR 2018」公式サイト

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