［プレイレポ］「Fit Boxing 北斗の拳 〜お前はもう痩せている〜」を紹介。ケンシロウになりきって戦い，運動不足を解消だ！

　イマジニアは2022年12月22日に「Fit Boxing 北斗の拳 〜お前はもう痩せている〜」を発売する。本作は，ケンシロウやレイといった世紀末拳士たちがインストラクターを務めるフィットネスゲームだ。本稿で詳しいプレイレポートをお届けしよう。


　なお，YouTubeの4GamerSPチャンネルには，しろくろちゃんねるのちゅうにーさんによる本作の体験動画を掲載している。こちらも合わせて確認してほしい。


※2022年12月21日18：00ごろ，体験動画へのリンクを追加しました。

世はエクササイズが支配する時代。愛（健康）を取り戻せ！

　ボクシングで運動する「Fit Boxing」シリーズと，荒廃した世界で男たちが戦う人気漫画「北斗の拳」，両者がコラボを果たしたのが本作「Fit Boxing 北斗の拳 〜お前はもう痩せている〜」だ。
　「北斗の拳」といえば，最終戦争で秩序が崩壊し，暴力がすべてを支配する時代が舞台だ。しかし，本作では「エクササイズが支配する時代」という設定になっており，血なまぐさい描写は存在しない。レーティングもCERO Bで，敵を倒しても悲鳴とともに白いしぶきが飛ぶだけなので安心だ。

世は暴力ではなく，エクササイズが支配する時代になった

　ゲームの基本システムは「Fit Boxing」と同様で，“画面をタップする代わりに，パンチを放つリズムゲーム”といえば分かりやすいだろうか。
　まずは取り外したJoy-Conを両手に握り込みストラップをしっかり締めたうえで，Switchの前で構える。パンチの種類を指示するアイコンが音楽とともに流れてくるので，タイミング良くパンチを放ってエクササイズを行っていく。

　プレイを進めると，より高度なメニューが追加されていくのも面白いところだ。最初はジャブとストレートだけだったコンビネーションにアッパーやフックなど多彩なパンチが加わり，ダッキングやウィービング，ステップといった防御テクニックも要求されるようになる。最初のうちこそ戸惑うかもしれないが，慣れてくると難なくこなせるようになっていく。単にメニューをこなすだけでなく，よりスムーズに，より高い負荷を求めて努力している自分に気づくだろう。

条件を満たせば，マミヤをはじめとしたさまざまなキャラクターをインストラクターにできる

　今はフィットネス動画を見ながら運動するという選択肢もあるが，本作にはゲームならではのインタラクティブ性が存在するのがポイントだ。パンチのタイミングに応じた成績判定が行われるのに加え，パンチの回数や推定消費カロリーといったデータが計測され，運動能力の尺度になる「カラダ年齢」が算出される。そして，トレーニングを続ければ「Fitポイント」が貯まり，インストラクターやコスチューム，楽曲と交換できる。つまり，モチベーションをアップする仕組みと，自分の努力に応じたごほうびがあるというわけで，ゲームならではといえる。

「Fitポイント」で交換できるのは現代風の衣装が多い。レイの「てめぇらの血はパーカー」は，あの名台詞が英語で書かれている。髪が白いのは秘孔・心霊台を突かれた際の再現か

パンチの成功率や消費カロリーが記録されていく。ゲームならではのインタラクティブ性だ

ホーム画面には，その日に繰り出したパンチの数，消費カロリー，運動時間，これまで運動をした日とそうでない日が記録されている

　トレーニングには，ゲーム側がメニューを決めてくれる「日課修練」と，好みのものをプレイできる「自由組手」があり，自由組手ではケンシロウやレイ，マミヤといったお馴染みのキャラクターたちがインストラクターとなって指導してくれる。
　これまでにも「北斗の拳」のゲームは多かったが，彼らと一緒に運動できるというのはありそうでなかった体験。トレーニング中に原作の名シーンを思わせる台詞で励ましてくれ，なかなか新鮮だ。インストラクターは後述する「激闘」モードをクリアすることで増えていく。運動中のBGMには「愛をとりもどせ！」「TOUGH BOY」といったアニメ版でお馴染みの曲のインスト版が流れるため，テンションも上がる。

強敵とのバトルを楽しめる「激闘」モードで，ひと味違ったフィットネス体験を

　本作の目玉が「激闘」モードだ。プレイヤーはケンシロウになりきり，シン，レイ，ジャギ，サウザー，ラオウといった強敵（とも）たちと戦うことができる。雑魚戦のステージをすべて制すれば，強敵に挑戦することが可能。シンならストレート＆フック，ジャギはダッキングなど，それぞれテーマに基づいたコンビネーションが要求される。


　バトルの基本部分は「日課修練」と同様で，音楽に乗って流れてくるアイコンの指示に従い，パンチや防御をこなしていく。雑魚戦では，一連のコンビネーションを決めれば雑魚を1人撃破できるので，ステージが終了するまでに規定数を撃破すればいい。撃破数のノルマが存在するところが面白いところで，「日課修練」とはひと味違った感覚を味わえる。
　ノルマを達成してもステージが終わるまでは記録を伸ばせるので，1人でも多く倒そうと，ついつい力が入ってしまう。コンビネーションに成功すれば「あべし」「たわば」「ひでぶ」といった超メジャーな断末魔とともに敵が倒れるので気分爽快だ。

パンチのタイミングが合わないと，攻撃が外れてしまう

「北斗の拳」を知らなくても聞いたことがあるくらいに超メジャーな断末魔とともに雑魚が倒れる。破裂しないので安心

　強敵との戦いでは，HPのような「闘気」ゲージと奥義を使うのに必要な「奥義」ゲージといった要素が登場し，ケンシロウと強敵が互いに行動するという，ターン制っぽいアレンジルールとなる。
　まずはケンシロウのターンで，コンビネーションを決めれば攻撃成功となり，強敵の「闘気」を減らすことができる。次に強敵が攻撃してくるので，先と同じようにコンビネーションを成功させれば，防御が成立し「奥義」ゲージが増加。失敗すればケンシロウの「闘気」が減っていく。こうして攻撃と防御を繰り返し，先に「闘気」が尽きた方が負けとなる。

　使うコンビネーション自体は攻撃と防御で同じだ。つまりは攻撃と防御で動きを変える必要はなく，要求される運動そのものはいつもの「日課修練」に近い。しかし，攻撃して強敵の「闘気」を減らし，防御で自分の「闘気」を減らさないというアレンジによって緊張感は増している。
　強敵の「闘気」がゼロになった時点で「奥義」ゲージが満タンになっていれば，「北斗百裂拳」を使用可能だ。ケンシロウになりきって無数のパンチを繰り出すのがなりきり遊びとして楽しく，達成感も抜群。その日の運動を終えた際，パンチでカレンダーに印を付ける「スタンプ」も「Fit Boxing」から続投している。今回はパンチだけでなく，雑魚の頭を北斗残悔拳のように親指で秘孔を突くパターンもあって面白い。

ケンシロウのターンでコンビネーションに成功すると，相手の「闘気」が減る

強敵のターンでは，相手の攻撃に合わせて，指定されたコンビネーションを決める

時には強敵が「奥義」を使ってくることも。激しいパンチで応戦だ

「奥義」ゲージを溜めておけば，最後に「北斗百裂拳」を使える

雑魚の秘孔を親指で突き，カレンダーにスタンプを押す

　基本的なシステムは「Fit Boxing」の時点で完成しており，「Fit Boxing2」で追加された「液晶ディスプレイの遅延調整」「ステップ系など，任意のメニューについては身体を動かさなくても自動で成功扱いにする」といった便利設定は本作にも引き継がれているので，遊びやすい仕上がりになっている。
　「激闘」の撃破ノルマや「闘気」「奥義」ゲージといったアレンジで，「Fit Boxing」「Fit Boxing2」とはひと味違ったプレイ感を楽しめるのが本作ならではのポイントだ。

　要求される運動自体は良い意味でいつもと同じ。バトルルールだからといって，複雑なルールや奇をてらったアクションをしなくて良いのが嬉しいところだ。そして何より，バトルというテーマはプレイヤーの心を揺さぶってくれる。「北斗の拳」の雑魚や強敵たちが出てきて，自分の拳で戦えるというのは，原作を知っている人間なら無条件で嬉しい。原作からは考えられない愉快な衣装を着せられるのも，公式から「北斗の拳 イチゴ味」「北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝」といったパロディコミックが出ている現代ならではのアレンジといえる。バイオレンス描写も控えめなので，「濃い目のイケメンたちが戦うゲーム」としてお茶の間でプレイしても大丈夫だろう。

原作のコマを使ったカットシーンもファンには嬉しいところ

　個人的には雑魚やボス，断末魔にもっとバリエーションが欲しいところだ。ハート様，フォックス，ジャッカル，デビルリバース，アミバ，ライガとフウガ，でかいババァ，狗法眼ガルフ，ユダ，コマク，「汚物は消毒だ〜!!」の人，無抵抗村の村長など味のあるキャラクターはたくさんいると思うので，この辺りはアップデートなりDLCなりで追加されることを期待したい。

　なお，4Gamerでは「Fit Boxing」発売時にインタビューを行っている。運動と休養に関する考え方や，同作でキャラクターのモーションキャプチャを行った一般社団法人フィットボクシングジャパン 代表理事 武藤直樹氏の実演動画などは，本作を遊ぶ際にも参考になるので，興味のある人は一読されたい。

「Fit Boxing 北斗の拳 お前はもう痩せている」公式サイト