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ガレゴス氏は「ゲーム開発者でありゲーマーでもある我々は,本質的にすべての作品で何らかの続編や発展形を作っている」と語り始めた。かつて「Diablo」や「Diablo II」を生み出したデイビッド・ブレヴィック氏らと共に「Marvel Heroes」を手掛けた経験を引き合いに出し,既存の成功体験を継承しつつ新たな価値を提示する「続編作りの課題」は,すべてのクリエイターが直面する永遠のテーマだと指摘した。
世界的な成功を収めた「サブノーティカ」の正統続編となる「サブノーティカ 2」の開発では,自由度の高さゆえの苦難があったという。前作の派生作「Subnautica: Below Zero」は拡張コンテンツとして出発した経緯があり,スタジオ内ではスピンオフとして位置づけられている。ファンが真に望んでいたのは,広大な未知の領域を探索できる正統な大型続編「サブノーティカ 2」だったのだ。
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開発の指針となった「3分の1の法則」と「続編病」の罠
KRAFTON傘下でありながら自社IPを自由にコントロールできる環境にあったからこそ,開発チームは「何でも作れる」という逆に難しい状況に陥っていた。そこでガレゴス氏らが提示したのが,続編の開発における明確な指針「3分の1の法則(Rule of Thirds)」だ。
この法則は,ゲーム全体の構造を3つの要素に均等に切り分けるアプローチである。
- 1/3は「同じ(The Same)」:プレイヤーが帰ってきたと感じられる「Subnautica」らしい手触りや核となる要素
- 1/3は「改善(Improved)」:グラフィックスの刷新や操作性,QoL(利便性)の向上などモダンな進化
- 1/3は「新しい要素(New)」:新規のストーリー,システム,バイオームなどチームの野心を注ぎ込む要素
しかし,開発の初期にチームは「新しい要素」へ過度に向かってしまう。ガレゴス氏はこれを「続編病(Sequelitis)」と表現した。
続編病とは「より違ったものへ(Make it different)」「より大きなものへ(Make it bigger)」「しかし親しみやすさは残す(Keep it familiar)」という相反する欲求が衝突し,開発の軸がぶれてしまう現象のことだ。
「以前とは違うものを作りたい」という衝動とUnreal Engineへの移行時期が重なり,開発陣は水上基地や飛行ビークル,無数の惑星を渡り歩く「No Man's Sky」風のシステムなど,シリーズの骨子を揺るがす過激なプロトタイプをいくつも試作している。
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捨て去られたプロトタイプ:エコシステムとヴォイド遠征
セッションでは,本編から削ぎ落とされた初公開のプロトタイプ映像も披露された。1つは「完全シミュレーションされた生態系システム」だ。海藻が胞子を撒き,それを食べるウニが発生し,さらにそれを狩る捕食者が現れる動的な生態系である。
しかし,テストの結果,プレイヤーの状況を把握するために膨大なUIやグラフが必要となり,「探索体験ではなく,経営シミュレーションになってしまった」として撤回。ただし,この失敗から「人間が環境に介入し,自然を再生させる」アプローチが抽出され,現在の「サブノーティカ 2」における菌類・植物の浄化メカニズムへと結実した。
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もう1つは,大型潜水艦によるマルチプレイプロトタイプ「ヴォイド遠征(Void Expeditions)」だ。前作では死の領域だった外縁部「ヴォイド」をメインコンテンツにし,巨大潜水艦で遠征・帰還を繰り返すループを試みた。
だが,これも「Sea of Thieves」のような体験に近づきすぎ,本作の真髄である「孤独な探索と発見」から離れたため見送られた。
ガレゴス氏は,スタジオ創始者チャーリー・クリーブランド氏の言葉「Ugly is Nimble(見苦しさは素早さだ)」を引き合いに出す。プロトタイプを作り込みすぎると,執着が生まれて捨てられなくなる。ひどい見た目のまま素早く検証し,失敗を認めて切り捨てることこそが,真のコアを見つけ出す最短ルートなのだ。
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ファンの要望への向き合い方と「Subnautica 2」の未来
チームが迷宮から抜け出すきっかけは,原点である初代「サブノーティカ」を全員でプレイし直すことだった。開発規模が100人近くまで拡大するなか,ベテランと新規メンバーの間に生じていた「作品の核」への認識のズレを正し,「同じ」「改善」に焦点を戻したことで開発は一気に加速したという。
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また,ガレゴス氏はアーリーアクセスにおけるコミュニティとの距離感についても言及し,「プレイヤーの声を聴くことは極めて重要だが,すべてを鵜呑みにしてはいけない」と語る。
テスト時に相次いだ「行き先が分からない」「クエストログを追加してほしい」という声に対し,過剰な誘導を設けることは「迷い,自ら発見する喜び」を奪う。ガレゴス氏は「フロム・ソフトウェアのゲームで『難しすぎる。簡単にして』という要望を聞き入れないのと同じように,IPの核を守るためには,時にはあえて不都合を残す勇気が必要だ」と強調した。
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変化への焦りを乗り越え,本来の魅力である未知への恐怖と発見の歓喜を磨き上げた「サブノーティカ 2」。セッションで明かされた泥臭い試行錯誤のプロセスは,大型IPの続編に挑むクリエイターにとって,極めて示唆に富む知見となったはずだ。



















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