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[TGS 2016]ファミ通×電撃×4Gamerの編集長がリング上に集結。それぞれのスタンスや目指す方向性,ゲームメディアの裏側が語られたトークセッションをレポート
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印刷2016/09/20 13:30

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[TGS 2016]ファミ通×電撃×4Gamerの編集長がリング上に集結。それぞれのスタンスや目指す方向性,ゲームメディアの裏側が語られたトークセッションをレポート

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 東京ゲームショウ2016の最終日(2016年9月18日),4Gamerブースにおいて,週刊ファミ通の林 克彦氏,電撃プレイステーションの西岡美道氏,そして4Gamer.netの岡田和久Kazuhisa)によるトークセッションが行われた。それぞれのメディアで編集長を務める3人が,今後の目指す方向性やスタンス,さらにゲームメディアの裏側がぶっちゃけ気味に語られた。
 果たして,読者の皆さんが期待している(?)「ゴボウしばき合い対決」はあったのか。リング上の模様をまとめてみたい。

※アーカイブ映像は「こちら」

(左から)MCの山本一郎氏,林 克彦氏,西岡美道氏,岡田和久
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4Gamer「東京ゲームショウ2016」特設サイト


 今回のトークセッションは,山本一郎氏の進行により,事前にそれぞれのメディアの読者から寄せられた質問をいくつかピックアップして,3人の編集長がそれぞれの見解を語るというスタイルで行われた。

 最初のテーマは「ほかのメディアの羨ましいところ」
 まずは林氏が,電撃プレイステーションについて「PlayStationフォーマットに特化し,ファンに喜んでもらえるタイトルを重点的に掘る誌面づくりができている」と評した。総合情報誌を謳う週刊ファミ通では,現状難しいことなのだそう。
 一方,4Gamerに対しては「濃い」。紙媒体を持たない4Gamerは,2メディアとは出発点からして違い,「最初からWeb媒体に特化した記事づくりをしている」点を挙げた。

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 それを受けて西岡氏は,ファミ通は総合情報誌だからこそ,コンシューマ用ゲームに限らず,スマートフォンやPCタイトルも広く扱える点が羨ましいという。
 また,4Gamerに対しては,Webのゲームメディアとして「ブランドを確立している」と述べた。ここで西岡氏は,岡田が考える「4Gamerらしさ」とは何か,と質問を投げかける。

 岡田の回答は「アノニマスであること」。これは,もちろん,国際ハッカー集団のことでなく,匿名性を指す。つまり,できるだけ特定の色を持たないという意味である。
 しかし,西岡氏は「遠慮なくやる」,林氏は「喧嘩上等」と,それぞれが4Gamerの色だと感じているイメージを挙げた。実際,会場からは拍手も起きていたので,同意だった人もいるようだ。

 続いてのテーマは「ゲームメディアで働くにはどんな能力が必要か」
 まず,西岡氏は紙媒体で働く資質として「真面目か,面白いか,体が丈夫か。どれか一つでも当てはまれば,やっていける」と持論を披露した。一方,林氏は,「ゲームが好きであることは当たり前」としつつ,そのうえでほかのエンタメにどれだけ興味を持ち,吸収しているかが重要と語る。ゲームのみならず,複数の「引き出し」を持つべきであるということだ。
 対照的な回答だったのは,4Gamerの岡田である。4Gamerのスタッフに必要なものとして挙げたのが,「前向きな気持ち」「折れない心」。4Gamerの面接において,ゲームが好きかどうかはあまり聞かないし,そこまで重視していないと語る。まったくゲームと関係ない業種で,文章書きを仕事にしていない人でも,わりと好んで採用していると明かした(編注:事実そうです)。
 それぞれのメディアの特性を反映しているのか,見ているポイントが違う三者三様の回答となった。今後,ゲームメディアで働きたい人は参考してみるといいのではないだろうか。

ちなみに,林氏と西岡氏に今回の企画打診が行われたのは約1週間前のこと。MCが山本氏に決まったのは,イベント前日だったそう。普通,もっと早く調整するものだとは分かっているんですが……。ご協力ありがとうございます!
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 話題が「メディアが求められる役割」に及ぶと,まずは岡田が「まとめサイトやキュレーションメディアと,僕たちの立場の住み分けをどうするか」という焦点を提示した。とくに前者に対しては,山本氏を含む出演者一同,まったく相容れない存在であるという見解で一致していたが,その一方で需要があるから,高いPVを稼いでいるのも事実。それをちゃんと認識して,ゲームメディア側としても考え方を変えなくてはいけないという結論に達した。
 また,近年はメーカーが直接,プレイヤーに情報を発信できる環境が整ったことで,相対的にゲームメディアの存在感が落ちているという側面も考えなくてはならない課題だという。

 また昨今,急激な盛り上がりを見せる「VR」については,3人共,口を揃えて「体験を伝えることの難しさ」を語った。これまでのゲームと比べて,画像でも映像でもテキストでも,なかなかその本質までは伝えきれず,結局は「やってみないと分からない」というのがVRの特徴だからだ。ただ,「体験したいと思わせるところが勝負」(林氏),「VRが浸透していけば(伝えようとしていることが)分かるようになる」(西岡氏)という発言もあり,決して手をこまねいているだけではないことが伝わった。

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 「ぶっちゃけ仲悪いんですか?」という質問に対しては,西岡氏が「よく聞かれるんですけど,仲がいい悪いではなく,一定の距離感でそれぞれの役割を果たしている関係」と回答。林氏も同意しつつ,現在は同じグループ会社であるファミ通と電撃の関係性について,「接点も交流もない。独立している関係」と述べた。ちなみに,同じ雑誌形態ということで,週刊ファミ通編集部では毎号の電撃PlayStationを部内で回覧し,気づいたことを付箋にコメントとして残して,情報共通を図っているという。ライバルの研究というわけだ。

 また,「秘蔵ネタを教えてください」というテーマでは,林氏よりファミ通のレビュースコアについて語られた。「1点=10万円という噂」(岡田)はもちろん否定し,4人のレビュワーが事前にお互いの得点を知ることはないという話だ。ただ,体験版やダウンロード販売が広く普及してきた昨今では,クロスレビューの役割をあらためて考えることもあるそうだが,それでも「世の中に出るコンシューマゲームは,すべからくレビューしたい」という意向を明かした。
 西岡氏は,インターネットの普及に伴い,「判断基準の多様化」が起きていると語った。通販サイトや配信プラットフォームなどでもレビューが掲載されるようになり,かつてのように雑誌のレビュースコアが「絶対」ではなくなったという。だからこそ,どうすべきなのか。それは,常に考えていると述べていた。
 ご存じかもしれないが,4Gamerでは基本的にゲームを採点しない。その理由を岡田は「おこがましい」と説明した。ゲーム業界で一番偉いのはゲームを作るパブリッシャやデベロッパ,次に偉いのはお金を出してゲームを買っているプレイヤー。にもかかわらず,そのどちらでもないゲームメディアが作品を評価するのは「おこがましい」という見解である。

「秘蔵ネタを教えてください」というテーマに移った瞬間,山本氏の目の色が変わったような気がする。4GamerがCygamesから“出禁”を食らっていること,プレスリリースを送ってもらえなくなってしまったことが暴露されてしまった。会場は拍手喝采だったが
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 その後,「ガチャについて,どう思いますか」という質問が投げかけられた。質問者の「ギャンブルまがいの集金システム」という少々過激な表現にも会場は沸いたが,岡田個人としては「たいへん評価している」という。ガチャを好きな人がいるなら,それでいい。「ゲーム性で勝負してほしい」という質問者の意見に対しては,そもそもプレイヤー層が違うから,ゲームに求めているものが違うという見解だ。
 とはいえ,「度を超えた集金ツールのようなものは,さすがにどうかと思う」と苦言を呈している。

 林氏も,ガチャ自体の問題ではなく,「程度の問題」と回答し,なかでもF2P(基本プレイ無料)ゲームに関しては,運営・開発している人がいるのだから,適度な課金はあって然るべきというスタンスを示す。そのうえで,F2P(ガチャ)一辺倒ではなく,近い将来,新しいマネタイズモデルの台頭があるのではないかという見通しを述べた。

 この意見には西岡氏も同意し,安易にガチャを選択するのではなく,ほかの手法を考えるべき段階にあるという。ただ,個人的には,ハマッてしまうと月に10万円も使ってしまうそうで,この映像が奥様に見られるのではないかと心配していた。

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 4Gamer以外の2誌に向けられた質問もあり,雑誌で掲載されたインタビューが後日,「完全版」と題して長尺になってWebに掲載されることに対する見解が問われた。完全に他人事なので「僕も気になっていた」と,岡田も興味津々の様子だった。

 まず,林氏はそれぞれのメリットを説明した。雑誌は掲載スペースが限られているという事情がありつつも,だからこそ編集によって,読みやすくメリハリをつけた構成にしている。一方,Webはボリュームで勝負できる。
 このように自然な住み分けができていたものの,昨今では両方を比較して「なんで雑誌にはココが載ってないの?」という意見が出るようになったという。そのため,今後の方向性を模索していると明かした。
 一方,西岡氏は同様の流れを経たうえで,今では雑誌もWebの考え方にシフトしているという。つまり,どんな細かいことでも,できるだけ雑誌に入れていくという方針だ。

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 最後に山本氏より,それぞれのメディアが今後に進むべき方向性が尋ねられた。

 林氏は,今後,紙媒体が縮小したとしても,ほかの分野で存在感を出すことで「ファミ通ブランド」の確立を目指したいという。なんだかんだ言われても「やっぱりファミ通を見てる」という状況を維持したいと意欲を語った。
 そして,西岡氏は,電撃のスタンスを「読者と一緒に楽しむ」と表現し,ゲームをベースとしたコンテンツを発信していくことに注力したい,と語っている。
 岡田は「4Gamerはほかと同じことはやらない」というモットーを口にしたうえで,Appleを引き合いに出す。Appleに象徴される,同社の「永遠のナンバー2」的なポジションが理想で,「好き勝手したい」。そして,ゲームを中心にしながら活動の枠を広げていくという展望を示していた。

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