［E3 2008＃25］Take 2社長がライバル企業を牽制〜「GTA IV」と「Bioshock」の成功は，我々にとってスタートに過ぎない

Take 2 InteractiveのCEO，ストラウス・ゼルニック（Strauss Zelnick）氏

　E3 Summit 08会場にて，Take 2 Interactiveとしては珍しいプレス向けの記者会見が行われた。壇上に登った同社CEOストラウス・ゼルニック（Strauss Zelnick）氏は，「Grand Theft Auto IV」や「Bioshock」の立て続けの成功に，大いに満足している様子。
　2008年4月にリリースされたGrand Theft Auto IVは，初日で350万本，一週間で5億ドル（約600億円）という，ゲーム産業はもとより映画や書籍分野をも含めて最高の売り上げを記録している（関連記事は「こちら」）。一方，2007年8月リリースのBioshockも220万本を売り上げているし，メタスコア（各海外メディアのレビュー値平均）では90点以上を記録している。プラチナヒットを立て続けに生み出したのだから，ゼルニック氏が満足するのも当然である。


　しかし彼は，「この2作の成功は，我々にとっては前菜に過ぎない。2008年後半のラインナップは，実際に非常に有望だ」と言い放ち，Take 2 Interactiveが今後も成長しつづけることをアピール。「Grand Theft Auto: San Andreas」で発覚した“Hot Coffee事件”によって，同社の評価額が3分の1まで低下した悪夢から，すっかり覚めたのだろう。
　ここのところ業界を賑わせていた，Electronic Artsによる敵対的買収について具体的に語る場面はなかったが，この数か月の間にTake 2 Interactiveが，会社としてより強固になったことを印象付ける会見となった。

　さて，Take 2 Interactiveの2008年度ラインナップと言えば，2K Sportsや，同社が「カーニバルゲーム」とも呼ぶカジュアルブランド「2K Play」を除けば，コアゲーマーに向けた作品が目立っている。
　すでにレポートをお届けしているGearbox Softwareの「Borderlands」や，Firaxis Gamesの「Sid Meier's Civilization IV: Colonization」のほかにも，今回は紹介されなかったクライムアクション「Mafia II」，そしてPCでの発売予定はないがXbox 360用レーシングアクションとして人気を獲得しつつある「Midnight Club: Los Angeles」などの作品がある。

　また，今回は制作発表だけが行われた，ニンテンドーDS専用の「Grand Theft Auto: Chinatown Wars」なども，同社らしいラインナップといえる。さらに，PLAYSTATION 3用の「Bioshock」もE3 Summit 08ではプッシュされており，このプラットフォームにエクスクルーシブの「チャレンジ・ルーム」という追加マップが公開されていた。

　Take 2 Interactiveが発表した作品の中でも，とくにユニークなのが「Champions Online」である。これは，「City of Heroes」でお馴染みのCryptic Studiosによる，アメコミヒーローもののMMORPG最新作で，Championsというマニアックなアメコミ雑誌の世界感をベースにしたものである。Take 2 Interactiveにとっては初めてのMMORPGとなるが，Cryptic Studiosの開発能力はダテではないだけに，かなりの成功が期待できるのではないだろうか。
　最後に余談だが，筆者は，今回のプレスカンファレンスで「Bioshock 2」や「Grand Theft Auto IV for PC」などの発表を期待していたものの，それらに関しては，残念ながら何の音沙汰もなかった。