インディーズゲームの小部屋：Room＃587「Observation」

　老後資金が足りるとか足りないとかいう話を聞いて，無駄づかいはやめようと決心した筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第587回は，No CodeのSFアドベンチャー「Observation」を紹介する。本作は，アクシデントが発生した宇宙ステーションに閉じ込められた科学者を，AIのカメラなどを通じてサポートしながら，船内で何が起きたのかを突き止めていくというアドベンチャーゲームだ。とりあえず，これ以上積みゲーを増やすのはやめなくちゃ……。


　本作の舞台となるのは，地球上空410kmに浮かぶ低軌道宇宙ステーション“オブザーベーション”。あるとき，この宇宙ステーションでなんらかのアクシデントが発生し，地上の管制センターとの通信が途絶えてしまう。そんな状況の中，乗組員の一人で生物科学者のエマ・フィッシャー博士が，このステーションに何が起こったのかを調査していくというのが本作のストーリーだ。


　国際宇宙ステーションであるオブザーベーションには，エマ以外の乗組員もいるはずだが，事故の発生以降，彼らとの連絡もとれなくなっており，生死も不明だ。そんな孤独なエマの心強い味方となるのが，オブザーベーションのAI「S.A.M.」（サム）である。プレイヤーが操作するのはエマではなく，このS.A.M.であるというのが大きな特徴で，各所に設置されたカメラ映像などを通じてエマの調査をサポートしていくことになる。


　ステーション内は，各モジュールをつなぐハッチがロックされていたり，船内システムがダウンしていたりと各所でトラブルが発生しているが，人間が入れない閉鎖された空間でも，S.A.M.ならカメラ映像を通じて内部の状況を確認し，遠隔操作でコントロールシステムに介入できる。S.A.M.にはアクセスできないシステムなどは，エマが直接操作し，2人（？）で協力しながら調査を進めていくのだ。


　また，基本的には実体を持たないS.A.M.だが，ときには“SPHERES”（スフィア）と呼ばれる，バレーボールくらいの大きさの球形ロボットを遠隔操作することもある。これは主に，カメラから見えない場所の調査や，船外活動を行うときに利用するものだ。謎解きで使うコントロールシステムの操作方法などは，「AIなら分かるでしょ」と言わんばかりに投げっぱなしで何の説明もないが，あれこれいじっているうちに理解でき，これはこれで雰囲気がある。


　ストーリーについてはネタバレになってしまうため詳細は伏せておくが，これぞSFスリラーといった展開で目が離せない。ゲーム内のインタフェースは日本語化されており，ボイスにも日本語字幕が付いているので，安心してプレイできる。ただ，字幕については一部，きちんと表示されない部分があるので，このあたりはアップデートによって修正されることを期待したい。実写のような美麗なグラフィックスと，スリル満点のストーリーが魅力の本作のPC版は，Epic Gamesストアで2580円で発売中だ。

■「Observation」公式サイト

https://observationgame.com/