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これがMad Catzの次世代アケコン「Tournament Edition 2」だ! 新機能から内部構造まで,サンディエゴのMad Catz本社で聞いてきた
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印刷2013/09/14 00:00

インタビュー

これがMad Catzの次世代アケコン「Tournament Edition 2」だ! 新機能から内部構造まで,サンディエゴのMad Catz本社で聞いてきた

サンディエゴ郊外にオフィスを構えるMad Catz
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 Mac Catzが2013年末の発売を予定しているXbox One用アーケードスティック「Mad Catz Arcade FightStick Tournament Edition 2 for Xbox One」(以下,TE2)。日本国内ではまだ発売日すら決まっていないXbox Oneの,さらにその周辺機器ではあるものの,これまでマイナーバージョンアップ続きだったMad Catzのアーケードスティックとしては久しぶりの大幅モデルチェンジということもあり,詳細が気になっている格闘ゲームファンも多いのではなかろうか。

 今回4Gamerは,米サンディエゴ市にあるMad Catz本社にて,開発中のTE2を触らせてもらう機会を得た。仕様にはまだまだ変更の可能性があるとのことだが,プロトタイプである現時点でも十分に使える状態だったので,アーケードスティックメーカーの旗手であるMad Catzが贈る次世代アーケードスティックの正体を,写真を交えながら紹介していきたい。

 また,TE2の開発経緯やその狙いについて,Mad CatzでCommunity & Sponsorship Managerを務めるMark Julio(マーク・フリオ)氏,通称マークマンから詳しく解説してもらったので,こちらも合わせて掲載する。インタビューでは,TE2以外の商品展開についても色々と話を聞いているので,ぜひチェックしてみてほしい。

※記事中の製品の写真は開発中のプロトタイプです。実際に販売される製品とは異なる場合があります。

会議室には,アーケードスティックをはじめ,これまでに発売された同社の製品が多く飾られていた。また社内の廊下にはTeam Mad Catzに所属するプロゲーマーであるウメハラ選手やときど選手,マゴ選手のサイン入り写真も
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これが「Mad Catz Arcade FightStick Tournament Edition 2 for Xbox One」だ!


 それでは,本邦初公開となるTE2を紹介していこう。
 スティックやボタンとそのレイアウトは,同社のこれまでのアーケードスティックの基本フォーマットを踏襲し,三和電子製のパーツおよび,タイトーの汎用アーケード筐体「VEWLIX」に準拠した配置が取られている。また,Xbox 360における[START]ボタンと[BACK]ボタンにあたる[MENU]ボタンと[VIEW]ボタンが筐体奥側の背面に配置されているのも変わらない。このあたりは,これまでのMad Catz製アーケードスティックの仕様に則った作りといえる。

Mad Catz Arcade FightStick Tournament Edition 2 for Xbox One
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筐体背面に用意されたインタフェース。写真手前の白いボタンが[MENU]ボタン(左)と[VIEW]ボタン(右)だ。なお丸で囲んだ部分にある四角のボタン(もしくは何かの端子?)が何かについては,「今はまだお答えできません」(Mad Catz)とのこと
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 筐体天面奥には,[Xboxガイド]ボタンに相当する丸いボタンと,サブ入力系の四角いボタンが3個配置されている。サブ入力系は左から,主要8ボタン以外のキー操作のロック,レバーの機能割り当て変更,そして筐体の発光機能(※発光機能に関しては後述)の切り替え,という順だ。前者2つはこれまでの同社製アケコンにあった機能だが,TE2では従来のスライド式スイッチから押しボタンに変更されている。なお,連射機能は「Microsoft側の意向で」(Mad Catz)搭載していないとのことだ。

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肩に掛けてみるとこんな感じ
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 筐体底面には,同社の「鉄拳タッグトーナメント2 アーケード ファイトスティック トーナメントエディション S+」にも採用されていた滑り止め用のシートが一面に貼られ,それに伴ってゴム足がなくなっている。実際に机に置いたときもしっかりと安定した印象で,膝置き時には引っかかりがない分,むしろプレイしやすくなった印象だ。
 面白いのは,背面にはベルト取り付け用の金具が用意されていること。ベルトを取り付ければ肩に掛けて持ち運べるというわけで,高い可搬性を求める海外ならではの仕様といえるだろう。
 なおXbox Oneとの接続用USBケーブルは,着脱可能なものが採用されている。同社の「MLG Pro Circuit Controller」と同様,筐体との接続部には手回し式のロック機構が備えられているので,プレイ中に外れる心配はなさそうである。

本体底面側から見たベルト取り付け用金具。底面の滑り止めシートが厚めなので,ベルトを取り付けた状態でも,接地面に金具が緩衝しにくくなっているとのこと
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アクリル板のボタン穴はボタンの外郭よりも大きく開けられている。ボタンそのものは鉄板側に固定されているため,取り外すことなくフェイスシートを変更できる
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 先ほど後述するとした発光機能は,USB給電によって筐体の各部が発光するというもので,具体的には天面の主要8ボタンとサイドパネル,および筐体前面に用意されたMad Catzボタンが発光する。このため主要8ボタンには三和電子製のクリアパーツが採用されている。なお発光は,先述のサブ入力系ボタンを押すことで,トグル式に「ON」「OFF」「OPTIC」の3つのモードを切り替えられる。「OPTIC」モードに設定した場合は,コントローラの振動信号に合わせて明滅するとのことだ。

 なお,TE2の天板はアクリル板と鉄板に分かれており,天面の模様はこの間に挟まれたフェイスシートを取り替えることで変更が可能だ。HORIの「ファイティングエッジ」や,Razerの「Razer Atrox」(以下,Atrox)と同様の仕様だが,TE2では上から被せるアクリル板のボタン部分が,ボタンの外郭よりも大きくなっていて,レバーボールさえ取り外せばアクリル板のみを取り外せるのが少し違っている。これにより,フェイスシートの差し替えが容易に行えるという。

写真ではちょっと分かりにくいが,Mad Catzボタンだけでなく,ボタンとサイドパネルもほのかに発光している
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Mad Catzのロゴマークである4本の爪痕が発光するMad Catzボタン。発光のオンオフは,サブ入力系ボタンで切り替えられる
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 では,いよいよ内部の構造に移っていこう。TE2は,その目玉として天面の開閉機構を備えている。上の写真にもあるMad Catzボタンは,この開閉のために用意されたロック解除用ボタンで,押してロックを外し,天面を持ち上げると,内部にアクセス可能だ。
 アーケードスティックの開閉機構と言えば,Razer Atroxで採用されたのが記憶に新しいが,TE2にはAtroxにあった天面を支える“つっかえ棒”がないのがポイント。とはいえ,ヒンジ部は「ノートPCなどで使われる機構がそのまま用いられている」(Mad Catz)とのことで,中途半端な角度でも固定できるようだった。

天面を開いたところ。内部構造については,なんと今回が初公開とのこと
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 というわけで内部だが,まず目に入るのは,レバーとボタンの端子部分を覆うように設置されたクリアカバーだろう。これは,「筐体内に物を収納したときに,各部品のファストン端子と緩衝しないように据え付けられたもの」だそうだ。ただ,レバー直下には穴が空けられており,レバーボールを取り替えたいときなどは,クリアカバーを取り外すことなく作業できたりもする。
 またボタンの裏側には,発光用のLEDユニットが,ボタンの裏側からはめ込まれているのも見て取れた。こちらは,クリアカバーを取り外したうえで,ボタンに接続されたファストン端子を外せば,取り外しも可能とのことだった。

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クリアカバーで被われた天板裏面。端子部分が保護されているため,筐体内部にはケーブルなどを収納できるとのこと。なおクリアカバーは,四隅のネジを外せば取り外すことも可能だ
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スポンジケースで保護された,内部収納用のコンパートメントも用意されている。クリアカバーなどを取り外すための工具と,替えのボタンを入れておける
底面側には,プラスチック製のボックスで守られた基板があり,ここから各種配線が伸びている。なおボタン用の配線は,角形コネクタに束ねられ基板に接続されており,簡単に着脱可能だ
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 以上,駆け足ではあるが,TE2の仕様をざっと紹介してきた。
 今回のものはあくまでプロトタイプとのことだが,これまでの同社製アーケードスティックと比べ,カスタマイズ性やメンテナンス性の面で大幅な進化を遂げていることは間違いないだろう。また,可搬性の向上や底面の変更など,細かい部分にも改良が加えられていることから,Mad Catzアーケードスティックの現時点における集大成モデルと言えそうだ。


マークマンに聞くTE2の開発コンセプト


 現時点で判明しているTE2の詳細は以上だが,気になる点はまだいろいろとある。数々の新機能が盛り込まれた理由や制作コンセプト,また北米におけるアーケードスティック市場について,そして気になるPlayStation 4版の可能性などをMad CatzのMark Julio氏に聞いてみた。

4Gamer:
 さっそくですが,TE2の開発コンセプトについて教えてください。

Mad Catz Community & Sponsorship Manager Mark Julio氏
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Mark Julio氏(以下,マークマン氏):
 Mad Catzはこれまで,Evolutionといった大規模なトーナメントでの使用に堪える,実戦的なアーケードスティックをコンセプトに開発を続けてきました。新製品であるTE2は,プロユースという核の部分を踏襲するのはもちろん,デザインや機能を強化したうえで,さらにユーザーがそれぞれの好みに応じてカスタマイズできるものを目指しています。

4Gamer:
 天面の開閉機構などは,まさにそのための仕組みというわけですね。

マークマン氏:
 ええ。ほかにも,サイドパネルはネジを取るだけで取り外せますし,天面の鉄板も変更できます。鉄板を変えれば,VEWLIX配置以外のボタンレイアウトにも変更できるんです。将来的には,そういった多様なカスタマイズの要望にも応えていきたいと思っています。

4Gamer:
 Evolution 2013中に行われたMad Catzのパネルディスカッションでは,サイドパネルのバリエーションの発表もありました。ただ,天面開閉機構を設けると,これまでのアーケードスティックよりも耐久性で劣ってしまうのではないか,という心配があります。

Evolution 2013で行われたMad Catzのパネルセッションより。サイドパネルや天面の鉄板のカスタマイズにも対応する予定という
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マークマン氏:
 耐久性に関しては,ご指摘のとおりです。そこで我々は,まずヒンジの部品に着目して,先ほど見ていただいた「ノートPCで使われているパーツ」を採用することにしました。今のところは,これまでのアーケードスティックとほぼ変わりない操作性と強度を実現できていると考えています。

4Gamer:
 なるほど。デザインの面では,TE2はあちこちが光るようになりましたね。

マークマン氏:
 そうです。北米ではアーケードスティックの改造が盛んに行われていて,クリアパーツを光らせるため改造をする人が多いんですよ。求める人々がいるのであれば,はじめから光るようにしておいたらどうだろう,と考えました。

4Gamer:
 確かにEvolution 2013にも,アーケードスティックの改造を請け負うブースがあって賑わっていましたね。北米では,アーケードスティックを改造して使うのが一般的なんですか?

Evolutionに出展されてたアーケードスティックの改造ブース(画像はEVO2012のもの)
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マークマン氏:
 一般的とまでは言えませんが,改造は盛んに行われていますね。TE2では,ボタンの配線をひとまとまりのコネクタにしたことで,以前よりメイン基板に手を加えやすくなっているんです。これはコミュニティから「もっと改造をしやすくしてほしい」という要望があったために搭載されたものになります。とはいえ,そういった改造をオススメするというのではなく,あくまでユーザーの選択肢を広げる,という狙いです。

4Gamer:
 天面の開閉機構や着脱式のUSBケーブルなど,TE2にはMad Catz製品としては初の機能が盛り込まれていますね。これはちょっと答えにくい質問かもしれませんが,これらの機能はAtroxにも搭載されていて,参考にする部分も多かったのではないかと思いますが,いかがでしょうか。

マークマン氏:
 もちろん,他社のアーケードスティックは常にチェックしていますが,とくにRazerの製品を参考にしたということはありません。着脱可能なケーブルは,スーパーファミコン時代のアーケードスティックにもありましたし,アーケードスティックではありませんが,「MLG Pro Circuit Controller」でも採用した機能です。

4Gamer:
 そう言われてみると,確かにそうですね。

マークマン氏:
 天面の開閉機構ということでは,Razerよりも先にHORIの「リアルアーケードPro.3 Premium VLX」が採用していました。つまり,どちらも新しい技術というわけではないんです。先ほども述べたように,TE2でこれらの採用を決めたのは,コミュニティからカスタマイズ性の向上を望む声が大きかったという一点に尽きますね。


Mad Catzが考えるアーケードスティックの今後


4Gamer:
 では,TE2からは少し離れるのですが,アーケードスティックのトレンド全般について,もう少しお聞かせください。Mad Catzはトーナメントコミュニティと共に成長してきた,というお話は以前にも伺いましたが(関連記事),トーナメントコミュニティ向けの製品は,どうしても高額になってしまいます。もう少しカジュアル向けの製品があってもいいと思うのですが,その辺りはいかがでしょうか。

Tatsunoko vs. Capcom Arcade FightStick
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マークマン氏:
 Mad Catzでも,これまでにも何度かエントリーモデルの製品をリリースしたことはあるんです。Wiiの「Tatsunoko vs. Capcom Arcade FightStick」や,Xbox 360とPlaystaion 3用の「WWE All Stars Brawl Stick」といった製品で,これらには三和電子製ではない,Mad Catz独自のパーツが使われています。

4Gamer:
 かなり昔の製品のようですね。

マークマン氏:
 ええ。現在のMad Catzは,アーケードスティックに限らず「ハイエンドなモデルをきちんと揃えていこう」という方向に進んでいることもあって,エントリーモデルについての具体的な計画は今のところありません。カジュアル向けの製品に需要があることは理解していますが。

4Gamer:
 価格的な部分ももちろんですが,こと日本市場についていえば,よりコンパクトな製品が求められているように思います。日本の住宅はあまり広くありませんし(笑)。先日HORIから「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」が発表されましたが,ケーブル周りがシンプルになるだけでも,とても助かります。

マークマン氏:
 ワイヤレスは,僕自身も興味がありますね(笑)。アーケードスティックを収納するうえで,取り回しをより簡単にしたいという需要があることも,分かっているつもりではあります。たとえばこれは僕の友人が作ったレバーなんですが……

4Gamer:
 おお……。これはすごい!

レバーにロック機構が備えられており,着脱が可能というナイスな逸品。レバーを取り外せば,アーケードスティックを重ねてしまっておけるようになる。実物を軽く触らせてもらったが,操作にこれといった違和感はなかった
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マークマン氏:
 これは僕の友人が企画開発している「The Link: Quick Release Joystick Shaft」というプロジェクトの製品です。Kickstarterで出資を募ったところ,北米のコミュニティの後押しを受けて,見事成功しました。

4Gamer:
 これならアーケードスティックを積んで重ねられますね。自分自身,アーケードスティックの収納には苦労するので,こういうパーツが普及するととてもありがたいです。

マークマン氏:
 日本とは需要のレベルが違うかもしれませんが,ここ北米でも,収納しやすさにフォーカスした製品のニーズはあるようです。ただ,Mad Catz製品に採用しようというところまでは至ってないのですけれども。

4Gamer:
 ぜひ検討してもらえると嬉しいです(笑)。また日本のニーズという意味では,静音パーツの需要も高いようです。Mad Catzでは三和電子の静音レバーとボタンを搭載した「アーケード ファイトスティック バーサスシリーズ SH」(以下,SH)が発売されていますが,この方面への新たな試みは,何かお考えですか。

マークマン氏:
 もちろん,考えてはいます。とはいっても,北米市場では最近やっとSHをリリースしたばかりで。それもEvolution 2013会場限定販売ですからね。

4Gamer:
 ああ。やっぱり北米市場では,静音はあまり求められていないのでしょうか。

マークマン氏:
 周りの迷惑にならないように,という意味での静音モデルは,北米市場での需要はあまりないようです。静音モデルの需要は,主に競技シーンでの使用を目的としたところにありますね。

4Gamer:
 ボタンの打鍵音で,対戦相手に行動を読まれないために,ということですね。

マークマン氏:
 ええ。コミュニティからも,8ボタンのうち6個を静音パーツにして,残り2つは通常パーツにする――いわゆる“フェイクボタン付き”の製品が欲しいという声が挙がっているところです。

4Gamer:
 フェイクの操作音で相手を惑わせると。……ええと,ときど選手はすでに実践しているみたいですけど(笑)。

マークマン氏:
 ただ先ほども言ったように,北米市場では最近発売がスタートしたばかりなので,製品としてどう落とし込むかは,コミュニティからの反応を見てから決めていくつもりです。

4Gamer:
 なるほど,分かりました。
 ところで,Evolution 2013でのパネルセッションでは「Arcade Fightstick KE - KOREAN EDITON」(以下,KE)が発表されましたが,これはどんな製品なんでしょうか。

Evolution 2013でのパネルセッションで発表された「Arcade Fightstick KE - KOREAN EDITON」
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マークマン氏:
 これは以前にリリースした「Street Fighter IV FIGHTSTICK」をベースに,Crownのレバー「CWJ-303A」を採用したモデルです。

4Gamer:
 いわゆるナスレバーですね。なるほど,れで「KOREAN EDITION」ですか。確かに韓国ではこちらのレバーが一般的だと聞いています。

マークマン氏:
 ええ。昨年のEvolution 2012の「スーパーストリートファイターIV AE ver.2012」部門で優勝したInfiltration選手,また「ストリートファイター X 鉄拳」部門で優勝したInfiltration選手とLaugh選手がこのレバーを使っていたこともあり,北米ではナスレバーに対する注目度が上がってきているんです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。それでこのタイミングで発売となったわけですね。

マークマン氏:
 そうですね。製作にあたっては,Laugh選手からもアドバイスをもらい,フィードバックを反映しています。
 
4Gamer:
 日本での発売予定はないのでしょうか。

マークマン氏:
 現状は,北米限定ですね。もちろん要望が大きければ,日本での発売を検討することもあると思います。

4Gamer:
 韓国でも発売されないんですね。北米でのナスレバーの需要ってどの程度あるのでしょうか。昔はナスレバーが主流だったと聞いていますが,Evolutionを見ている限り,ほとんどのプレイヤーが三和電子製のレバーを使っている印象です。

マークマン氏:
 タイトルにもよりますね。「ストリートファイターIV」のプレイヤーは,日本の標準的なレバーを使っている人が多いです。でも,「鉄拳」や「ソウルキャリバー」などでは,今でもナスレバーを好むプレイヤーも多いように見えます。

4Gamer:
 ああ,確かに鉄拳プレイヤーは,ナスレバーを好む選手が多い気がします。
 では最後に,皆が気になっているだろう質問をさせてください。TE2は,現在Xbox Oneのみの対応が謳われていますが,PlayStation 4版の発売はないのでしょうか。

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マークマン氏:
 もちろん,やりたいとは思っていますよ。ただ,今のところPlayStation 4対応の格闘ゲームが発表されていないので(笑)。

※2013年9月9日に行われた「SCEJA Press Conference 2013」にて,アークシステムワークスが「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」をPlayStation 4用に制作中であることが発表された

4Gamer:
 そういえばそうでした(笑)。現世代機であるPlaystation 3や,Xbox 360への対応はいかがですか。
 おそらくですが,格闘ゲームのプレイシーンは,すぐに次世代機に移り変わることはないでしょう。事実,「ウルトラストリートファイターIV」AC / PS3 / Xbox 360)は,現世代機での発売ですし。

マークマン氏:
 そうした状況は容易に想像できますし,僕自身もそうだろうと思っています。ただ今は,とにかくXbox One用TE2を完成させることに全力を注ぐつもりです。もちろん僕個人としては,できればすべてのプラットフォームに対応したいと思っていますが,それはその後の話になるでしょう。来年のEvolution 2014でTE2を使ってくれる人がいたら,それはとても嬉しいだろうから。

4Gamer:
 そうなることを期待しています。本日はありがとうございました。

――2013年7月18日収録

■「TOKYO GAME SHOW 2013」のMad CatzブースにTE2が初出展

Mad Catz製Android家庭用ゲーム機「M.O.J.O.」(モジョ)
画像集#026のサムネイル/これがMad Catzの次世代アケコン「Tournament Edition 2」だ! 新機能から内部構造まで,サンディエゴのMad Catz本社で聞いてきた
 2013年9月19日から22日(一般入場日は21日と22日)にかけ,千葉県の幕張メッセで開催される「TOKYO GAME SHOW 2013」のMad Catzブースでは,今回紹介した「Mad Catz Arcade FightStick Tournament Edition 2 for Xbox One」が国内初出展される。

 そのほかにも,Androidデバイスの「M.O.J.O」や,ステアリングコントローラの新製品なども展示され,またウメハラ選手Xian選手など,国内外のプロゲーマーらによるエキシビションマッチなどのイベントも予定されているとのことだ。TOKYO GAME SHOW 2013に参加する予定の人は,Mad Catzブースにも足を運び,注目の新製品をその手でチェックしてみるといいかもしれない。

■関連記事:

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