「Black Myth：WuKong」や「NARAKA：BLADEPOINT Mobile」など，2月の中国当局ライセンス承認発表リストから，来るべき期待の新作をチェックする

　コンソール，PC，モバイル……数え切れないほど多くのゲームが，毎日市場に投げ込まれている。ローンチ前から知名度があるものもあるし，生涯無名のタイトルもある。結果はともあれ，誰でもゲームを作ることができ，誰でもゲームをパブリッシングできる。しかし中国においては，そういうわけにはいかないのだ。

ValveとPerfect Worldが手を組んで設立された中国版Steamの「蒸汽平台」。中国版なので版号取得が条件となり，プレイできるゲームの数は極めて少ない。2024年2月28日時点で，ストア全体で370タイトルしかない（関連記事）

　中国当局から版号（ライセンス）を取得していないゲームは，“違法な出版物”となるので中国のゲームプラットフォームにリリースできない。中国にはGoogle Playがないが，国内のAndroidストア全般だけでなく，App Storeにもそれは適用される。PlayStation中国版，Nintendo Switch中国版，Steam中国版である“蒸汽平台”などもすべて同様だ。出版社を通じて審査に応じ，版号コードをもらわなければまともなプラットフォームに置けない（≒売れない）ということだ。

　2022年に版号を取得できたのは，合計512タイトル。その数は2023年に，倍の1075タイトルとなった。毎月承認されるタイトル数が決まっているわけではないが，2024年1月は115タイトル，2月は111タイトルと，2024年もいいペースが続いている。数え切れないほどゲームが生まれてくる今もなお，中国では限られたものしか「合法的に」ローンチできないのだ。^※

※海外プラットフォーム（例えば我々が使っているほうのSteam）にリリースする場合，中国当局の管轄外のため，版号がなくてもパブリッシングできる

　このような強い規制に違和感は覚えつつも，新作タイトルのチェックには大変便利だ。版号申請は短ければ数か月，長いと年単位で時間がかかる。申請する際はある程度ゲーム内容を固めなければ審査できないこともあり，逆に申請をしておいて待ち時間にゲームに磨きをかけ，いざ取得したら即ゲームをローンチするケースも多い。

　さて2月27日は，新規承認された111タイトルが発表された。耳馴染みのあるタイトルもいくつか見かけたので，着々と進んでいる安心感を得つつも，そろそろ動くかもしれないので記録を残しておきたい。
　なお今回の111タイトルのうち，「インフィニティニキ」の1タイトルはモバイル，PC，コンソール（PS5）のマルチプラットフォーム，「Blazblue Entropy Effect」などの4タイトルはモバイルとPCのマルチプラットフォーム，「Black Myth: WuKong」や「Perfect New World」などの5タイトルはPC版のみで，ほか101タイトルはモバイル版のみのタイトルとなる。

2024年2月份国产网络游戏审批信息（2024年2月中国オンラインゲーム審査情報）

Game Science

Black Myth: WuKong（PC）

　一番話題になっているのはもちろん，「Black Myth：WuKong」だ。「中国初のAAAゲーム」と謳われたこのタイトル，中国にとっては逆輸入で注目されたところもなくはない。一度延期されたタイトルだが，予定されているこの夏の発売が楽しみだ。

Papergames

インフィニティニキ（PC / PlayStation / iOS / Android）

　2022年に制作発表された，ニキの新作「インフィニティニキ」。着せ替えゲーム「ニキ」シリーズの10周年記念作品として，マルチプラットフォームでリリース予定のオープンワールドアドベンチャーだという。

PERFECT WORLD GAMES

Perfect New World（PC）

　古くからの4Gamer読者にはお馴染みのMMORPG「パーフェクトワールド-完美世界-」の新作「完美新世界（Perfect new world）」も承認リストに登場した。昨年数回のβテストを行っていたが，つい待ちわびたゴーサインが出たようだ。

「Perfect New World」公式サイト

　

91Act

Blazblue Entropy Effect（PC / モバイル）

　91Actにより「BLAZBLUE」シリーズのキャラクターが登場する「Blazblue Entropy Effect」（原題，苍翼：混沌效应）。既に1月31日にSteamで発売済だが，今回はモバイルとPCプラットフォームでの版号取得ができたことで，スマホ版にも期待がかかる。

Tencent / NetEase

　TencentやNetEaseの新作も今回の発表に入っている。Tencentからは「荒野起源」「大奉打更人」の2タイトル，NetEaseは「天启行动」の1タイトルが新規に版号取得した。タイトル情報は未発表だ。
　版号取得により，NetEase（NASDAQ:NTES）当日の株価は＋5.2％となり，モルガン・スタンレーは，ここから2か月でさらなる上昇があるだろうと見込んでいる。一方のTencentは，発表前の午前中で3％を超える下げ幅となったが，当日は最終的にー1％で着地したようだ。

NetEase「天启行动」は，版号取得をお祝いする宣伝画像を見る限り，東洋ｘSFのシューティングゲームになることが分かった

Firewick

新月同行-Fellow Moon-（iOS / Android）

　ほかにも，Firewickから怪談ストーリーをテーマにしたアニメ調キャラクターの2Dターン制RPG「新月同行（Fellow Moon）」が登場。小さいチームだが，目をひくビジュアル表現，怪奇なストーリーデザインが，中国では注目されている。

「新月同行-Fellow Moon-」公式サイト

24 Entertainment

NARAKA：BLADEPOINT Mobile（iOS / Android）

　新規取得以外にも，登録内容変更の発表もあったが，そこには「NARAKA：BLADEPOINT」の名前が。発売プラットフォームにモバイルを追加したことで，「NARAKA：BLADEPOINT Mobile」も近づいてきているのだろう。

「NARAKA：BLADEPOINT Mobile」公式サイト