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平成ゲーム史まとめ。30年間を年表とコラムで振り返る
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印刷2019/04/30 12:00

企画記事

平成ゲーム史まとめ。30年間を年表とコラムで振り返る



平成28年(2016年)

1月21日 iOS/Android用アプリ「グリムノーツ」配信開始
1月28日 PS4/PS3/VSVita用ソフト「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ」発売
2月10日 3DS用ソフト「真・女神転生IV FINAL」発売
2月18日 PC/PS4用ソフト「ストリートファイターV」発売
2月18日 PS Vita用ソフト「艦これ改」発売

3月2日 iOS/Android用アプリ「クラッシュ・ロワイヤル」配信開始
3月10日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「Tom Clancy's The Division」発売
3月24日 PS4/Xbox One用ソフト「DARK SOULS III」発売
3月26日 北海道新幹線開業

5月10日 PlayStation 4用ソフト「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」発売
5月24日 PC/PS4用ソフト「オーバーウォッチ」発売

6月15日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「Dead by Daylight」発売
6月17日 iOS/Android用アプリ「Shadowverse」配信開始

7月21日 PS Vita用ソフト「イースVIII」発売
7月22日 iOS/Android用アプリ「Pokémon GO」日本で配信開始(最初のサービスは北米などで2016年7月6日)

7月22日に国内での配信が始まった「Pokémon GO」は,モバイルゲームとしては異例の大ヒットとなり,5つのギネス世界記録を樹立している
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■「Pokémon GO」:平成のアイドルホース&ソフト論(ライター:男色ディーノ)

 平成最後のゲイムソフトによる社会現象を「一つ」あげろと言われた,それは,平成28年(2016年)にサービスインした「Pokémon GO」じゃないかと私は思っているの。確かに「eスポーツ」も2018年の流行語大賞にノミネートされた,平成最後のゲイム業界での社会現象ではあるけれど。

 ただ,それはゲイムが競技になってプロ化し,社会的地位が認められたっていう現象なわけで,特定のゲイムがどうこうってわけじゃないわよね。「妖怪ウォッチ旋風」も,妖怪ウォッチ自体はゲイムソフトもあるけど,戦略としてのメディアミックスがブームを生み出したという側面のほうが強い。なのでこれまたゲイム単体でのブームではない。そう考えたとき,ゲイムソフトそのものでの社会現象で平成最後かつ最大のものは「Pokémon GO」ってことになるんじゃないかしら。あくまで私の気持ち,考え方としてではあるけれど。

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 それこそ,普段ゲイムをしない層までプレイしていたわけで。そんな平成最大の社会現象を起こしたのがスマホ用のゲイムだっていうのがまた感慨深いわよね。なぜなら,ゲイムのイメージが完全に変わったってことを意味するから。

 思えば,私の親は平成の半ばまでゲイムのことを全部一緒くたにして「ファミコン」って呼んでいたわ(用法例:「勉強せずまたファミコンばっかりやって!」とか)。逆説的に言うと,それほどファミコンはスゲーって話なんだけど,その話は昭和が終わるときにすべき話だったわけだから,ここではスルーしとくわね。とにかく,今では誰もゲイムのことをまとめて「ファミコン」とは呼ばなくなった。そして,スマートフォンでゲイムが遊べるということを「Pokémon GO」の社会現象を通じて老若男女が当たり前のように知っている世の中になった。

 だから私は,平成を代表するゲイムソフトを挙げろと言われたら,迷わず「Pokémon GO」だと答えるわよね。極めて個人的なものはまた別として,あくまで客観的に見た場合。それくらい「Pokémon GO」の貢献度は高いと思っているわ。だって,ほかにあります? プロレス巡業バスの集合場所(新宿御苑付近)にバスを停めていたら,警察官から「不法駐車はやめてください。ピカチュウも泣いてますよ」なんて言われること。そのときはガタイのいい兄ちゃんたちがバスから降りて必死に事情を説明したから何とかなったけど。まあ,確かに当時の新宿御苑前は,ものすごい数の路上駐車が後を絶たなかったんだけどね。

 いやーそれにしてもあの時期は凄かったわ。近くのコンビニから,食料品や飲料品がほとんど消えていたんだもん。まさにポケモン特需。直接関係ない二次経済的にもかなり,日本全国で貢献してたんじゃないかしら。現実の場所とゲイムがリンクする,位置ゲイムならではの現象だったわよね。

 ところで。平成の間で業界を超えて社会現象を起こした馬は? と聞かれると,諸説はあれど,オグリキャップということに落ち着くんじゃないかしら。こう書いたら編集部からは「昭和の馬じゃないの?」というツッコミが入ったけど,しょうがないじゃん。昭和63年(1988年)の有馬記念と平成2年(1990年)の有馬記念を勝ってる馬なんだから。なんなら「平成三強」と呼ばれた馬のうちの一頭なんだから。白毛のユキチャンや連敗記録を打ち立てたハルウララも有名ではあったけど。あ,これは競馬の話ね。で,Pokémon GOって私の中でオグリキャップになるんじゃないかと危惧しているのよね。オグリキャップは社会現象を起こしたアイドルホースであったのはもちろんのこと,実力も超一流だったわ。そして,このPokémon GOももちろんゲイムとして面白い。実力があるからこそ両者ともに社会現象を起こすことができた部分だってあると思う。

 結果,ゲイム業界や競馬業界の発展に寄与した。ここまではいいの。では。次世代にその遺伝子を残せるか? オグリキャップは,残念ながら種牡馬としては大成しなかったわ。中央競馬では重賞馬を出すことができなかった。

 では,Pokémon GOはどうか。位置ゲイムと呼ばれるゲイムジャンルを世に広めた功績は大きい。ただ,それを超える位置ゲイムが今後出てくるのか。オグリキャップのように,人々を魅了した後には何も残らない(もちろん皆の記憶や歴史には残っているんだけど)。一夜の大花火で終わってしまうのか。

 Pokémon GOブームはまだ記憶に新しいし,バリバリの現役だからそこら辺の評価はまだできないけれど。位置ゲイムが後世にいちジャンルとして根付いていくことを心から願っているわ。いや,そうは言っても私の本心は「そんな小難しいこと背負わせないで,純粋に感動をありがとうって言えばいいじゃん私! オグリにもPokémon GOにも」なんだけど。いや,本当に。昭和に生まれて平成を駆け抜けたオグリキャップ,20世紀に生まれ21世紀に位置ゲイムとして新しい歴史を創ったポケモン,Pokémon GO。凄いモノは時代を超えて人に影響を与えるの。ありがとう。私の人生と私じゃない誰かの人生を豊かにしてくれてありがとう!

8月4日 3DS用ソフト「世界樹の迷宮V 長き神話の果て」発売
8月5日 リオデジャネイロオリンピック開幕。日本は金,銀,銅合わせて41個のメダルを獲得。国別順位は6位
8月18日 PS4/PS3用ソフト「テイルズ オブ ベルセリア」発売

9月15日 PS4/PS3用ソフト「ペルソナ5」発売
9月17日 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」,少年ジャンプでの連載が終了
10月13日 PlayStation 4用バーチャルリアリティ対応ヘッドマウントディスプレイ「PlayStation VR」発売

10月13日発売の「PlayStation VR」はコンシューマゲーム機用としては初のVR機器として大きな話題となった。遊ぶゲームはもちろん,“体験する”ゲームが多く登場した
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■「PlayStation VR」:訪れる新時代。ゲーム界に起こる“第三の変化”(ライター:本地健太郎)

 ゲームがそれまでの「2D・ドット絵」に「3D・ポリゴン」という新種を受け入れた後は,大雑把にいうと,家庭用ゲーム機にはエポックメイキングと言えるほど大きな進化はなかった。平成のゲーム史というのは,そのまま映像進化の歴史でもあったように思う。

 VRは,ドット絵→ポリゴン並の大きな変化を起こし得るものだ。昔の「未来のゲームはこうなる!」的な話によく出てきていた,「ヘッドマウントディスプレイを装着して仮想空間に入り込み,現実と見紛うゲーム体験ができる」ということが現実になり始めているわけで,家庭用ゲーム機でいち早くそれを実現したPlayStation VR(以下,PS VR)を見たときは,ファミコン時代から家庭用ゲームと共に人生を歩んできた者として,「ついに来たか……!」という思いだった。

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 しかし,「VR元年」という言葉が出てきてからすでに数年が経つが,PS VRに限らず,VR自体が,まだ普及したとは言い難い状況だ。その理由は,やはり導入するハードルの高さだろう。

 まず,価格。PS VRも,当初の価格である税別4万9980円から値下げされたとはいえ,税別4万4980円のシロモノ。しかも,PS4を持っていることが前提なので,PS4を持っていない人がPS VRを楽しもうとすると,なかなかの出費になる。

 次に,環境だ。おそらく,こちらのほうがハードルとしては高いだろう。
 といっても部屋の環境ではない。公式サイトにも図が載っているが,これはあくまで「推奨環境」であり,ここまで広いスペースを必ずしも確保する必要はない。筆者は机の上にディスプレイを置いて,そこからはほとんど動けない状態の狭い環境でプレイしたが,問題もなく遊ぶことができた。

「こんな空間,ウチにはないよ!」という人も,そこまで心配する必要はない。ただ,自分の周囲に物は置かないほうがいいだろう。ゲームプレイ中は何せ見えないのだから,ちょっとした動作で周囲の物に当たって,ビクッとしてしまうことも
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 そんなわけで,部屋環境ではなく,“人環境”とでも言うのだろうか。VRゲーム中は視覚と聴覚を塞がれた状態になるため,従来のゲームとはまた違った事前準備が必要になる。

 VRのホラーゲーム中に肩をポンポンと叩かれようものなら本当に心臓に悪いので,家族などの同居人がいる人は事前に了承をとっておく必要があるだろうし,一人暮らしであっても,来客のチャイムが聞こえなかったり,部屋に誰かが侵入して来ても気付かない……という怖さもある。
 VRゲーム画面の隅に小窓が表示されて,部屋の様子を見ることができたり,ボタン1つでゲーム内の音と部屋内の音を切り替えられるような仕組みがあればと思うが……。

 この2つの壁を乗り越えたとしても,最後に大きな壁が立ちはだかっている。「VR酔い」だ。すべてのゲームで起こるわけではないし,個人差のある問題であると前置きしたうえで書かせてもらうが,筆者の場合,「DRIVECLUB VR」というゲームでそれは起きた。

 「DRIVECLUB VR」は,ひとことで言うと「車の運転席の視点でレースをする」ゲームなのだが,プレイ前に想像していた以上の臨場感で,「VRはこんなにもレースゲームとも相性が良いのか……!」とビックリしていた。既存の,主観視点のレースゲームとはまったく違う。車を走らせながら左右を向けば景色が流れているし,頭を動かすだけで車内の様子も見られるのだ。こんなの,ワクワクしないわけがない。

 しかし,カーブを曲がりそこねてコースの壁面に接触し,車体がグルンと回転した直後に,唐突に吐き気をもよおした。現実世界の乗り物酔いはジワジワと来るものなのだが,本当に突然だったので,かなり驚いたのを覚えている。

 これは,VRが発展途上であるがゆえの問題の1つだろう。かつて,ゲームには「3D酔い」というものがあったが,近年ではあまり聞かないようになった。筆者にも「俺は3D酔いするから,こういうゲームはダメなんだ」と言っていた友人がいるが,今は3D空間で視点をグルグルするようなゲームをバリバリ楽しんでいる。
 今でも酔いやすいゲームはあるが,そういった物のほとんどは,視点移動に関する配慮に欠けた作りになっているのが原因だ。ゲーム側には「酔いにくくするノウハウ」があり,遊ぶ側もまた「慣れ」がある。VR酔いも,いずれ解決される問題だと願いたい。


■実際にやらないと分かり得ない物を“伝えること”の難しさ

 ゲームの可能性としては最も期待しているVRだが,ゲームライターとしては,恐怖を感じる一面もある。
 というのも,VRは,画面写真や動画を撮れない。写真も動画も,所詮は2D世界の物。魚眼レンズで見たような映像を観たことがある人もいると思うが,あれは,PS VRのプレイ中に「ディスプレイに映し出されているほうの映像」をキャプチャしたものであり,ヘッドマウントディスプレイの使用者にはあのようには見えていない。

 これの何がマズいかというと,「正しく伝えることができない」という点だ。
 ゲームライターは,ゲームが持つ魅力を,言葉を駆使して伝える仕事だ。しかし,VRに関しては,実際にやったことがない人に伝えようとして言葉を探しても,的確な表現が思いつかない。「サマーレッスン」を勧める際に,「宮本ひかりちゃんが,その……そこにいるんだよ!」と言って,どれほど伝わるだろうか。大半の人に「コイツ,本職のわりに語彙力ねぇな……」と思われそうで怖い。「サマーレッスン」のキャッチコピーは「彼女は,本当にそこにいる」だが,このコピーが持つ言葉の重みは,やった人にしか分からないだろう。

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 「サマーレッスン」もオススメだが,個人的には「DEAD OR ALIVE Xtreme 3」の「VRパスポート」も推したい。現時点で最高峰ともいえるグラフィックスでのVR体験ができるからだ。これを体験したとき,思わず顔がニヤケたのを覚えている。エロい目で見ていたわけではない。ゲームが新しい次元に移行しようとしている瞬間を目の当たりにした嬉しさだ。

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 VRでないゲームであっても,キャラクターを360度グルグル回して眺めることができるものは多い。筆者もPS VRに触れる前は「あれと,どう違うんだ?」と思っていたが,やってみて初めて分かった。

 非VRの場合,自分とディスプレイの間には距離があり,その距離は基本的には埋まらない。仮にディスプレイが勝手に動いて近づいてきたとしても,どうしても物理的な距離は出る。
 しかし,VRは「自分がディスプレイの中の世界にいる」状態といえるので,ゲーム内のキャラクターが普通に眼前まで迫ってくる。この傍若無人な距離感。これこそが,VRの凄味だ。
 ……と言葉を尽くしてみたが,「伝わるかな〜,伝わらないんじゃないかな〜」という不安。これこそが,VRの怖さでもある。

 VRは,いずれ間違いなく,本格的に“来る”。現在,VR対応ゲームは,パッケージに対応を示すことが書かれているが,そのうち,「※このゲームはVRに対応していません」と記載され,しかもそういったゲームが少数派になる時代が来るのではないだろうか。ゲームプレイヤーとしてはそのときが待ち遠しくもあり,また,ゲームライターとしては恐ろしくもある。

10月21日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「バトルフィールド1」発売

11月4日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」発売
11月10日 「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」発売
11月18日 3DS用ソフト「ポケットモンスター サン・ムーン」発売
11月29日 PS4/Xbox One用ソフト「ファイナルファンタジーXV」発売

12月1日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「ウォッチドッグス2」発売
12月6日 PlayStation 4用ソフト「人喰いの大鷲トリコ」発売
12月8日 PlayStation 4用ソフト「龍が如く6 命の詩。」発売。ビートたけし氏の出演も話題になった
12月8日 Xbox One用ソフト「デッドライジング4」発売
12月15日 iOS版「Super Mario Run」配信開始(Android版は2017年3月23日)
12月17日 iOS/Android用アプリ「#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜」配信開始


平成29年(2017年)

1月19日 PS4用ソフト「GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択」発売
1月20日 ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領に就任
1月26日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「バイオハザード7 レジデント イービル」発売

2月2日 iOS/Android用アプリ「ファイアーエムブレム ヒーローズ」サービス開始
2月9日 PlayStation 4用ソフト「仁王」発売
2月23日 PlayStation 4用ソフト「ニーア オートマタ」発売
2月24日 プレミアムフライデーがスタート

3月3日 任天堂,家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」を発売

据え置き型ゲーム機でありながら携帯ゲーム機でもあるユニークな仕様が最大の特徴。「Nintendo Switch ドック」と呼ばれる台座を通してテレビなどに接続され,これに本体を差し込むことで据え置き型ゲーム機となる。さらに,本体そのものにもディスプレイが搭載されているので,これを取り外せば,単独で遊べる携帯ゲーム機に“スイッチ”できる
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■「Nintendo Switch」:Switchという謎解きと入手困難と (ライター:箭本進一)


 平成29年(2017年)夏,僕はほとほと困り果てていた。その頃のゲーマーの多くがそうであったように,僕もまたNintendo Switch(以下,Switch)の入手難に喘いでいたのだ。

 Switchは発売までの盛り上がりも非常にドラマチックだった。開発コード「NX」という名で発表されたそれは,どんなものであるかまったく得体が知れなかったからだ。海外からは断片的に情報がリークされてくるが,肝心なところが分からない。NXの形状については,いろいろな噂が飛び交った。曰く「携帯機版と据え置き版の2機種が発売される」「ゲーム機の本体にモバイル端末を接続したものになる」「タブレットをコントローラが挟み込む」「コントローラにマウスのようなホイールがつく」「メディアは再びカセットになる」など。真贋不明の情報や,海外のマニアが作った予想図などが入り乱れ,状況は混沌とするばかり。あの時,皆はNXという名の謎に翻弄されていた。リークや,任天堂が取得した特許といった情報から,懸命にNXの正体を解き明かそうとしていたのだ。

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 僕も海外のサイトを巡り,いろいろなネタを仕入れては頭を捻り続けていた。僕は携帯機版&据え置き機版が有力だと思っていた。ニンテンドー3DSと合体したWii Uというか,本体はあくまで据え置き機版のほうで,外へ持ち出すためのオプションとして,ニンテンドー3DS的な携帯機版を後から購入する形を想像していたのだ。

 2016年10月20日23:00。僕は逸る鼓動を抑えつつ公式発表の動画を待ちわびていた。ついにベールを脱いだSwitchは,僕の予想を遙かに超えたものだった。自宅で遊んでいた据え置き機クオリティのゲームを外へ持ち出す。そのまま本体を皆で持ち寄ってマルチプレイを楽しめる。僕が思ってもいなかった形での携帯機と据え置き機の融合だった。

 しかも,任天堂がこれまで積極的な取り組みを見せていなかった感のあるeスポーツ的なところにもコミットしている。これは何というか,新しいものだ。そして僕はSwitchに夢中になった。こうした驚きとワクワクを味わいたいから,ゲームという趣味を続けているのだ,と改めて認識したのだ。

 ……とはいえ,ありがたいことに仕事は忙しく,締め切りに終われ続ける日々が続いていた。2017年の1月には予約受付が始まり,その後もソフトのラインナップについての情報が出てくる。しかし,僕は忙しさにかまけてSwitchを予約しないまま,ずるずると時間が過ぎていった。

 そして,「いい加減,ケリを付けるか……」と重い腰を上げたのだが,その時にはすべてが遅かったのだ。通販サイトでの予約受付は終了しているし,あちらの玩具屋,こちらの家電量販店とさ迷い歩くも,一向に成果は上がらない。いくつもの通販サイトと公式サイトをリロードするようなこともしたが,もちろんダメ。メール抽選に申し込むこともしたが,やはり当選できなかった。

 こうなれば発売後に直接店舗へ行くしかない。最寄りの電気屋では抽選販売が行われるということだったので,なんとか早起きしてそれに参加するのが毎週末の新しい習慣になった。初夏の太陽が寝不足の僕をあぶる中,抽選券を受け取る。発表までは3時間弱の空き時間があった。常に寝不足だったが,食欲だけは旺盛で,僕は濃厚をウリにするラーメン屋へ吸い込まれては,チャーハンとラーメンのセットを食べてから発表を見に行くのだった。

 ゲーム売り場のレジに当選番号が貼り出され,その前で悲喜こもごもが展開するさまはまるで受験の合格発表のよう。残念ながら僕は“悲”の側だった。当選していたのは女性がやたら多かった印象で,なにか陰謀ではないかと被害妄想を抱きつつ,帰りのエスカレータへと寂しく歩いて行ったものだった。

 出張したある日のこと,仕事場へ向かう道筋には大手の家電量販店があり,数人が並んでいた。それはSwitchの先着順販売を待つもので,“今,ここに加われば確実に買える”という位の人数しかいなかった。しかしながら,僕は仕事をしなければならない。後ろ髪を引かれる思いで家電量販店を後にしたこともある。

 しかしながら,こうした悩みを一瞬で解決する手段もないではなかった。プレミア価格のSwitchを買ってしまえば良いのだ。高騰しているとはいえ,「当たらない抽選販売と品切れの通販サイトに時間を費やすよりはマシなのではないか?」何度も購入ボタンを押す寸前までいったものの,なんとか踏みとどまった。

 そんな日々を解決してくれたのが2017年秋の増産だった。任天堂公式サイトでSwitchの通販予約を受け付けている,という話を耳にし,僕はサイトをリロードしては謎の怪獣に蹂躙されていた(Switchの通販サイトではアクセスが集中すると,怪獣が京都タワーらしい建物を襲っている味のある絵が表示される)。サイトを開き,在庫を確かめ,リロードして別のサイトを確かめ……と,いろいろな手順が習慣として手に染みついたある日のこと。淡々と“手順”をこなしていた僕だったが,なぜかあっさりと予約は成立していた。

 その瞬間は感動もなにもなく,次なるリロードに指が勝手に動きかけていたのを覚えている。当初の配送予定よりなぜか2週間ほど早くSwitchは僕の家にやってきた。ここまでいかなくても,僕と同じようにSwitchの入手に苦労した人はいるだろう。だがSwitchは,その苦労に見合うだけの楽しさを提供してくれるゲーム機でもある。そして,Switchは今,ゲームが最も発売されるプラットフォームとなった。令和が始まっても,引き続き多くのゲーマーに支持されるゲーム機であり続けるだろう。



3月3日 Nintendo Switch用ソフト「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」発売
3月9日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「ゴーストリコン ワイルドランズ」発売
3月18日 ニンテンドー3DS用ソフト「モンスターハンター ダブルクロス」発売
3月31日 iOS/Android用アプリ「どうぶつタワーバトル」サービス開始

6月1日 PS4/Xbox One用ソフト「鉄拳7」発売(PC版は6月2日発売)
6月6日 iOS/Android用アプリ「シノアリス」サービス開始
6月16日 Nintendo Switch用ソフト「ARMS」発売
6月26日 藤井聡太四段(当時)が公式新記録の29連勝を達成。歴代記録を30年ぶりに更新

7月11日 「ファイヤープロレスリング ワールド」PC向けアーリーアクセス版発売(PS4版は2018年8月9日)

■「ファイヤープロレスリング」:平成を駆け抜けた偉大なる2Dプロレスゲーム (ライター:柴山道久)


 新生UWFのドーム大会やFMWの旗揚げがあった平成元年(1989年)。時を同じくして,ひとつのプロレスゲームが産声を上げた。それが“ファイプロ”の略称で知られる「ファイヤープロレスリング・コンビネーションタッグ」だ。

 それまで受託開発が主な業務だったヒューマンが,PCエンジンという新たな器で勝負をかけるべく投入されたファイプロは,技をかけるのがタイミング勝負というシンプルさ,斜めから見たリングなど,従来のプロレスゲームにない優れた“発明”を導入。そしてなにより,多人数プレイの楽しさを広くゲーマーへと伝え,一躍ヒット作となった。鉄柱攻撃で対戦相手の額をカチ割り,パッド連打をミスってリセットを掛けてしまった人もいることだろう。

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 G1を蝶野正洋選手が優勝し,三沢光晴選手がジャンボ鶴田選手超えを果たした1991年には,ファイプロもより大きな舞台へ進出。スーパーファミコンでの1作目「スーパーファイヤープロレスリング」では,多くのファイプロ・ヤングボーイたちが若本道場で「ダメだ!」の声を聞かされたはずだ。

 プロレス史における1990年代中頃といえば,闘魂三銃士や四天王,UWF,インディーとさまざまな価値観が渦巻き,それを後押しする週刊プロレスが数10万部もの発行部数を誇っていた時代だ。団体対抗戦で賑わう女子プロレスシーンを再現した「ファイプロ女子」のリリースはこの頃だし,「スーパーファイヤープロレスリングSpecial」で,ディレクター・須田剛一氏の脳内幻想がダダ漏れなストーリーがプレイヤーの心にひっかき傷を残したのは,今でも語り草となっている。

 レスラーエディット機能の搭載もあって,さらなる幅広さを得たファイプロは,他団体時代に対応するべく,より“プロレスらしさ”の再現へと歩を進めた。登場レスラーの追加はもちろん,爆破マッチや金網リングでのMMA戦など,各種ルールまでが作を重ねるごとに追加されていった。
 そうしたゲーム性の傾倒もあって,“サターン・プレステ時代”な1990年代後半には,CPUが操作するレスラーによる夢のカードを“観戦”するという遊びをするファンが増加。対戦ゲームだけではない,プロレスシミュレータの側面を持つようになってきた。

 といったように,あらゆるプロレス現象を取り込み,プロレスゲーム界のマイルストーンとになったと思えたファイプロだった,好事魔多し。1999年のヒューマンの倒産によって,一度はシリーズの命脈が絶たれてしまう。2000年代以降は権利を獲得したスパイク(現スパイク・チュンソフト)が続編をリリースしていくものの,かねてからの格闘技ブームに押されて“冬の時代”に突入したプロレスと相まって,ファンからしても先細り感を禁じ得なくなっていく。

ファイヤープロレスリング ワールド
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 しかし,稀代のエース・棚橋弘至選手による新日本プロレスの復興が果たされ,プロレスゲーム再来が叫ばれた2017年。12年の空白を経て「ファイヤープロレスリング ワールド」としてシリーズ最新作が発売となったのは,ご存知のとおりだ。リリースからしばらくは多くの不具合によって“炎上”してしまったが,現在は実質作り直しともいえる大改修を経て解消されている。

 “悪名は無名に勝る”というが,30年にもわたるファイプロの歴史からすれば,それもほんの1ページだ。むしろ,スキャンダルを力に変えてこそのプロレスであり,ファイプロもそうであることを願っている。

ファイプロシリーズ一覧
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ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ
発売日 1989年6月22日
機種 PCエンジン Huカード
選手数 18
マルチタップを使い4人同時プレイができるのが特徴。シングル,タッグマッチができるがチームは固定。隠しレスラーのデビルパイレーツは使用不可。パッケージイラストは笹沢茶々丸氏
ファイヤープロレスリング2nd BOUT
発売日 1991年8月30日
機種 PCエンジン Huカード
選手数 20
選手の顔ぶれが替り,三銃士など平成時代のレスラーが登場。タッグの組み合わせが自由にできるよう。ブラック・カジワラは走れない。パッケージは当時FMW所属のリッキー・フジ選手
スーパーファイヤープロレスリング
発売日 1991年12月20日
機種 スーパーファミコン
選手数 24
スーパーファミコン版第1弾。グラフィックス面の向上もあり大型レスラーのグレート司馬が登場。チュートリアルとして若本道場が用意され多くのプレイヤーが「ダメだ!」の声を聞くことに
ファイヤープロレスリング3 Legend Bout
発売日 1992年11月13日
機種 PCエンジン Huカード
選手数 36
 レスラーエディット機能を初搭載。容姿に加えロジックも変更できた。登場選手では炎のカリスマ・仁田王猛が初参戦。隠しではクラウザーや力王斬らレジェンドの姿も
スーパーファイヤープロレスリング2
発売日 1992年12月25日
機種 スーパーファミコン
選手数 28
グレート司馬に続く特殊体型レスラーとしてアブドル・ザ・デンジャーが登場した。試合前にアピールをする演出が加わったが,システム的には前作のマイナーアップデートといったところ
スーパーファイヤープロレスリングIII Final Bout
発売日 1993年12月29日
機種 スーパーファミコン
選手数 64
登場レスラーが倍増。大技・小技に加えて中技が用意され,ひとつの技に複数のフォームが再現されるように。CPU戦をやさしくし,隠しレスラーが最初から使える「イージータイプ」も発売された
ファイプロ女子 オールスタードリームスラム
発売日 1994年7月22日
機種 スーパーファミコン
選手数 26
今はなき全日本女子プロレスの公認を受けた初の実名ファイプロ。全女の選手18名が実名で登場し,容姿や技が再現されている。隠しレスラーはクラッシュギャルズ1号・2号
スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL
発売日 1994年12月22日
機種 スーパーファミコン
選手数 115
プロレスライター斎藤文彦氏監修という触れ込みのストーリーモード「チャンピオンロード」を搭載。組み合うタイミングの変化やうつ伏せダウンなどシステム面も強化。グルーサムファイトのリングも登場
ファイプロ女子 憧夢超女大戦 全女vsJWP
発売日 1995年2月3日
機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
選手数 30
実名女子プロ第2弾は,全女に加えJWPの選手も実名で登場し対抗戦ムード満点に。ゲーム中やデモで選手の肉声が聴け,北斗 晶やアジャ・コングらがアジりまくるオープニングは一件の価値あり
スーパーファイヤープロレスリング クイーンズスペシャル
発売日 1995年6月30日
機種 スーパーファミコン
選手数 38
実名女子プロ路線第3弾。グラフィックスが一新され選手のサイズが大きく。女子プロならではのヘアーホイップや,入場シーンも再現されている。北斗とブルは隠しレスラー扱い
スーパーファイヤープロレスリングX
発売日 1995年12月22日
機種 スーパーファミコン
選手数 104
グラフィックスが写実的になり技数やモーション数が一気に増加した。エディットにファイトスタイルの要素が加わり,近代ファイプロの原型に。エディット枠を増やした“プレミアム”が後日発売された
ファイヤープロレスリング アイアンスラム'96
発売日 1996年3月15日
機種 プレイステーション
選手数 12
シリーズ中唯一ポリゴンによる表現に挑んだ意欲作。だがレスラー数の少なさやなどからプレイヤーの評価はイマイチ。ベルト保持者の履歴が残るなど,のちのシリーズ作に受け継がれた要素も
ファイヤープロレスリングS シックスメン・スクランブル
発売日 1996年12月27日
機種 セガサターン
選手数 160
マルチタップを使用することで最大6人同時プレイが可能に。呼吸システムの搭載やダウン中の相手を引っ張れるなどプロレスシミュレータの色合いがさらに濃く。電流爆破リングも用意された
ファイヤープロレスリングG
発売日 1999年6月24日
機種 プレイステーション
選手数 194
ヒューマン時代最後の作品。ストーリーモード「ファイティングロード」はプロレス史の大河を追体験できる大ボリューム。エディットしたレスラーをCPU戦で戦わせるエディットランキングも用意されていた
ファイヤープロレスリング for Wonder Swan
発売日 2000年8月31日
機種 ワンダースワン
選手数 136
ヒューマン倒産により加賀テックが権利を取得し発売したタイトル。興行シミュレーションモード“マスター オブ リング”は,テーマの異なる興行で5試合をマッチメイクし,多くの観客を集めるのを競う
ファイヤープロレスリングD
発売日 2001年3月1日
機種 ドリームキャスト
選手数 220
21世紀初のファイプロは,スパイク(現スパイク・チュンソフト)の開発・発売に。最大の特徴は,ネット配信された技をダウンロードで入手できる点だ。世の格闘技ブームも手伝ってかマウントがぶりなどの攻防も再現可能となった
ファイヤープロレスリングA
発売日 2001年3月21日
機種 ゲームボーイアドバンス
選手数 218
プレイヤーが選んだファイトスタイルに沿った試合を行い,観客を満足させる“オーディエンスマッチ”を搭載した。アメリカンやハードコアといった新ルールも選択可能に
ファイナルファイヤープロレスリング〜夢の団体運営!〜
発売日 2001年3月1日
機種 ゲームボーイアドバンス
選手数 244
団体運営モード“マネジメント オブ リング”を搭載。興行を打ち観客を満足させた資金でレスラーを雇用,ライバル団体と競い,期間内にトップ団体を目指す。復活した若本道場がうれしかった
ファイヤープロレスリングZ
発売日 2003年6月5日
機種 プレイステーション2
選手数 244
あのとき,もし団体を移籍してなければ……といった6人のレスラーの“IF”が楽しめるストーリーモードを用意。血染めの栓抜きや冊子が同梱された「闘辞苑 同梱BOX」が限定発売された
ファイプロ・リターンズ
発売日 2005年9月15日
機種 プレイステーション2
選手数 327
3度目の復帰作。登場レスラー数はついに300人超え。マルチタップx2の使用で最大8人同時プレイが可能に。エディット機能のさらなる向上や「マッチメイクモード」の搭載など“全部入り”的なボリューム
ファイヤープロレスリング ワールド
発売日 PC 2017年12月19日
PS4 2018年8月9日
機種 PC/プレイステーション4
選手数 30+実名
 4度目の復帰作。新日本プロレスとのコラボによって所属,出場選手が実名で登場。いわゆる“ファイプロネーム”の選手は姿を消した。ネットワークに対応し,対戦やエディット選手の交換が可能に


7月13日 「Newニンテンドー2DS LL」発売
7月21日  Nintendo Switch用ソフト「スプラトゥーン2」発売
7月25日 PC/PS4/Xbox One用オンラインゲーム「フォートナイト」サービス開始
7月29日 PS4/3DS用ソフト「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」発売

8月16日 PC/PS4/PS Vita用ソフト「UNDERTALE」の日本語版が発売(PC版は同8月22日)
8月22日 iOS/Androidアプリ「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」サービス開始

9月9日 桐生祥秀選手が日本人初となる100メートル9秒台の記録を樹立。9.98秒で日本記録を19年ぶりに更新 
9月14日 iOS/Android用アプリ「アズールレーン」国内サービス開始

10月15日 「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」発売
10月19日 PlayStation 4用ソフト「グランツーリスモSPORT」発売
10月19日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「サイコブレイク2」発売
10月27日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「アサシン クリード オリジンズ」発売

11月2日 iOS/Android用アプリ「ドラゴンクエスト ライバルズ」サービス開始。Switch版は2018年2月14日,PC版は同2月22日
11月3日 iOS/Android用アプリ 「荒野行動-Knives Out-」サービス開始(PC版は2018年3月20日)
11月3日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「コール オブ デューティ ワールドウォーII」発売
11月7日 日本マイクロソフト,Xbox Oneの高性能版「Xbox One X」を国内で発売
11月17日 ニンテンドー3DS用ソフト「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」発売
11月21日 iOS/Android用ソフト「どうぶつの森 ポケットキャンプ」サービス開始

12月1日 Nintendo Switch用ソフト「ゼノブレイド2」発売
12月5日 羽生善治棋士が史上初の永世七冠を達成
12月20日 PC/Xbox One用オンラインゲーム「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」サービス開始(PS4版は2018年12月7日)

最大100人のプレイヤーが最後の一人になるまで戦うバトルロイヤルゲーム。アーリーアクセス版は発売から16日で100万本の売り上げを記録し,バトルロイヤルゲームブームの火付け役となった。勝利したときに表示される「勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!」というメッセージも話題になった
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■「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」:1つのジャンルを生み出した大ヒットタイトルの光と影(ライター:奥谷海人)

 2017年は,「バトルロイヤル」というゲームジャンルが市民権を得た年だった。2019年現在,「Fortnite」や「Apex Legends」「コール オブ デューティ ブラックオプス 4」の「Blackout」モードなど,さまざまな作品がリリースされているが,大きなムーブメントを作ったのは,2017年3月にアーリーアクセス版がリリースされた「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」だった。登場からまたたく間にゲーマーの心を射止め,最初の3日間で40万本のヒットを記録。Steamの人気リストに常駐するようになり,16日めで100万本,5週間で200万本,さらに6月までの3か月あまりで500万本のセールスを記録したと発表されている。

 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」がヒットした理由は,BlueholeとPUBG Corporationの周到な販売戦略にあったようだ。韓国でこそ盛んにプロモーションが行われていたものの,韓国以外の地域ではほぼ無名のタイトル。だが,アメリカで2016年に開催された「TwitchCon 2016」に合わせてプレイアブル展示を行い,そこで興味を持ってくれたストリーマーを対象にクローズドβテストを続けることで,核となるコアプレイヤーを作り上げていった。

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 アーリーアクセス版が発売されると,彼らのゲーム実況がTwitchにあふれるようになり,それを見た多くのゲーマーが食いつく。7月には月間の視聴時間が6000万時間を超え,その翌月には7370万時間に達して,3年近く独占状態にあった「League of Legends」を抜いて首位に立った。
 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」は,1つのマッチに100人のプレイヤーが参加するという見た目の賑やかさを利用して,最初からゲーム実況を念頭に置いたプロモーションを計画していたのだろう。「ドン勝」(英語ではChicken Dinner)のようなバズワードに加えて,ヘルメットを被ってフライパンを持った背広姿の男というイメージ作りもうまかった。

 PlayerUnknownこと,開発ディレクターを務めたブレンダン・グリーン(Brendan Greene)氏は,以前から「ARMA II」シリーズなど,リアル系シューターのプレイヤーだったが,ゲーム開発の経験はなかったという。ゲームもそれほどうまいほうではなかったようで,プレイヤーのスキルが問われるデスマッチ系の対戦より,チャンスがあれば生き残れるかもしれない「キング・オブ・ザ・ヒル」モードを好んでいたそうだ。その後,映画「バトルロワイヤル」にヒントを得て,100人規模のキング・オブ・ヒルを作り上げることがグリーン氏のパーソナルプロジェクトになっていく。

 もちろん,「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」のようなバトルロイヤルゲームは,運だけで勝てるわけではなく,それなりの戦略やマップの理解,「壁抜き」などのテクニックも必要だ。とはいえ,何度かプレイしていると「お,今回は,なんとなくいけそう」という気分になることがあり(だいたいは錯覚なのだが),それが,グリーン氏と同じく銃撃のスキルに自信のない人達に興味を持たせる結果につながっているのではないだろうか。これはゲーム実況を見ているときも同じで,配信者が奇跡的なチャンスを得たときなど,見ているこちらもワクワクしてくる。
 2017年のゲーム市場は,まさに「PUBGの年」という雰囲気だったのではないだろうか?

 そんな,飛ぶ鳥を落とす勢いを誇った「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」のアーリーアクセスが終了し,製品版に移行したのが2017年12月のことで,このときには,人気作であるがゆえの影の部分も見えていた。周囲数百メートルに誰の姿も見えないエランゲルの草原。勝利の予感に胸にときめかせつつ走っていると,どこからともなく飛んできた銃弾でヘッドショットを食らいマッチ終了,なんてことを経験したことは誰でもあるだろう。行けるはずのない建物の屋根にジャンプしたり,障害物を無視して相手の場所を確認できたりするチート行為は,製品版になって以降も続いているようだ。

 2017年12月,グリーン氏は海外メディアのインタビューに答えて,「アンチチートプログラムのBattleyeによれば,チーターの99%は中国から来ている」という爆弾発言をしたが,実際,Battleyeが自動的にバンした中国人プレイヤーは,PC版の5000万アカウントのうち1300万アカウントにも達したという。
 PCの個人所有率が他国に比べて相対的に少ない中国では,インターネットカフェなどでのプレイが多く,たとえそこで自分のアカウントがバンされても新しいものを作れば良いだけだ。そのため,チーターとアンチチートプログラムの間でイタチごっこが続いているのかもしれない。2018年には中国と韓国で,100人規模の逮捕者が出たという。膨大なプレイヤー数を誇る「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」のようなオンラインゲームのグローバル化は,新たな影の部分も生み出したようだ。


平成30年(2018年)

1月18日 「App Store審査ガイドライン」が改定。ガチャにおける入手確率の記載が義務化される

1月26日 PlayStation 4用ソフト「MONSTER HUNTER: WORLD」発売(PC版は同8月10日)

グラフィックスの強化だけでなく,エリア移動のシームレス化などゲーム性やシステム面の見直しも図られた「MONSTER HUNTER: WORLD」。国内のみならず,世界累計で1200万本を出荷する大ヒットとなった(2019年1月23日時点)
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1月26日-28日 格闘ゲームイベント「EVO Japan 2018」が開催
2月1日 「日本eスポーツ連合」(JeSU)が設立
2月1日 PS4/Xbox One用ソフト「ドラゴンボール ファイターズ」発売
2月8日:PlayStation 4用ソフト「真・三國無双8」発売
2月15日 iOS/Android用アプリ「魔界ウォーズ」配信開始

2004年に日本一ソフトウェアの次回作主人公として発表された「アサギ」。しかし,彼女が主人公となるはずのタイトルはリリースされることなく,“永遠の次回作主人公”として公式からも半ばネタにされ続けていた。2018年2月15日に配信された「魔界ウォーズ」は,ついにアサギが主人公となることが話題を呼んだ
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2月15日 iOS/Android用アプリ「プリンセスコネクト!Re:Dive」配信開始
3月7日 吉本興業がeスポーツ事業への参入を発表(関連記事)
3月16日 Nintendo switch用ソフト「星のカービィ スターアライズ」発売
3月21日 PlayStation 4用ソフト「戦場のヴァルキュリア4」発売。Switch版は9月27日
3月23日 PC/PS4「二ノ国II レヴァナントキングダム」発売
3月23日 iOS/Android用アプリ「キングスレイド」が配信開始
3月29日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「ファークライ5」発売
4月8日 東京・葛西の老舗ゲームショップ「ゲームズマーヤ」が閉店
4月20日 PlayStation 4用ソフト「ゴッド・オブ・ウォー」発売
4月20日 Nintendo Switch用ソフト「Nintendo Labo」発売

Nintendo Switchとダンボールを使った“新たな遊び”として発表された「Nintendo Labo」。用意されているキットを作り上げる楽しみだけでなく,Joy-Conの動作を自らプログラミングし,自由な発想でさまざまな遊びを作り上げることができた
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■「Nintendo Labo」:子ども達に”新しい遊び“を与えてくれた(ライター:相川いずみ)

 平成30年(2018年)4月20日,Nintendo Switch用のゲームキットとして発売され,日本中の注目を集めたのが「Nintendo Labo」だ。私の第一印象は,「何これ,楽しそう!」だった。“ダンボールでコントローラを作って,自分で遊びを発明する“というコンセプトを知り,「絶対コレは面白い」と発表当初から確信していたが,実際に遊んでみて,その直感はまちがっていなかったことが分かった。というか,私の想像のはるか上をいく楽しさだった。

第1弾として同時発売されたシリーズ2作,「Nintendo Labo Toy-Con 01: Variety Kit」(左)と「Nintendo Labo Toy-Con 02: Robot Kit」(右)
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画面の作り方動画を見ながら,ダンボールキットを組み立てていく
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 まず素材のダンボールがスゴイ。素材はダンボールなのだが,普段使っているような梱包用ダンボールと異なり,薄いのに頑丈で扱いやすいのだ。ハサミがなくても手でどんどんパーツを外していけるし,セロハンテープやノリがなくても組み上げられる。
「どんな天才が設計しているのだろう……」などと驚嘆しながら,久しぶりのダンボール工作に親子で夢中になった。

ひとつのToy-Con(コントローラ)につき,作成時間は30分〜3時間ほど。つくること自体が楽しく,ちっとも苦にならない
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 いくら丈夫なダンボールでも,テンションの上がりまくった子どもが激しく遊べば壊れることもある。でも,それすらも想定のうえで作られているのだ。補修用のテープや,別売の買い替えパーツも用意されているので,思いっきり遊べるのもうれしい。

■夢が現実になった「Nintendo Labo Toy-Con 02: Robot Kit」

 自分で作り上げたコントローラで遊ぶゲームは,控えめに言って,めちゃくちゃ楽しい。釣りやピアノ,バイクにロボット。それぞれのゲームに特化したToy-Con,いや,Toy-Conに特化したゲームというべきなのだろうか。とにかく,コントローラとゲームとの相性が最高によい。釣りは実際にリールを巻いて魚との攻防を楽しめるし,バイクはスロットルを握りしめ迫力のレースが遊べる。

バラエティキットの人気Toy-Conのひとつ「釣り」。リアルな操作で,迫力ある釣りゲームを楽しむことができる
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 中でももっとも夢中になったのは,ロボットだ。これは,「Nintendo Labo Toy-Con 01: Variety Kitと同時に発売された「Nintendo Labo Toy-Con 02: Robot Kit」(以下,ロボットキット)で,頭に着けるゴーグルから,足に着けるシューズまで,ロボットパーツ一式を自作する。制作時間はそれなりにかかるが,その分,完成したときの喜びは大きかった。

ロボットキットの全パーツを装着し,息子がロボットになる瞬間
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 目の前で,ウキウキとパーツをつけていく息子がどんどんロボットになっていくのを見ながら,なんともいえない興奮に包まれた。
 自分がロボットになり切って,画面の中で思いっきり暴れまわる。まるでロボッとアニメの世界にいるみたいな感覚だ。しかもこの体験がゲームセンターや特別なイベント会場などではなく,自分の家,普通の家庭の居間なのだ。

ゲームセンターではなく,家のリビングでこんな遊びができる。そのこと自体が衝撃だった
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 ロボットになりはしゃぐ息子を見たとき,「あ〜,この時代に生まれてよかった」と感じた。大げさでもなんでもない。それぐらい,ロボットになり切って遊ぶことは自分の中の夢のひとつだったんだなぁと,その時思い知った。遊び疲れた息子と交代し,私は自分の年齢も忘れ,羞恥心もかなぐり捨てて,思いっきり戦いまくった。疲れはドッときたけれど,とても心地よい。

■第3弾は陸・海・空が舞台になったドライブキット

 そして,忘れてはいけないのが,Nintendo Laboの「Toy-Conガレージ」という機能だ。「Toy-Conガレージ」では,ビジュアルプログラミングのような画面で,Nintendo Switchの機能を活用したオリジナルゲームを作成できる。

 同じ年の夏休み,「Nintendo Labo」を使った子ども向けのハッカソン「Tech Kids School presents Nintendo Labo Hackathon」を取材した。このイベントは,30人の小学生が集い,2日間にわたって,Nintendo Laboの「Toy-Conガレージ」で新しいあそびを発明していくというものだ。そこで,小学生たちが自分のアイデアをどんどん形にしていく様子を目の当たりにし,またまた衝撃を受けた。

平成30年(2018年)7月に開催された「Tech Kids School presents Nintendo Labo Hackathon」
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 さらに同年9月には,第3弾となる「Nintendo Labo Toy-Con 03: Drive Kit」(以下,ドライブキット)が発売された。3種類の大型Toy-Conを使って,陸・海・空をシームレスで遊べる爽快さに,またもや夢中になった。

車,飛行機,潜水艦を乗り換えて楽しめる「Nintendo Labo Toy-Con 03: Drive Kit」
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 さらに平成31年(2018年)4月12日には,第4弾の「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit」が発売となった。テーマはVR(ヴァーチャルリアリティ)だ。さまざまなVRゲームが遊べるだけでなく,「Toy-ConガレージVR」を使って,小学生でも簡単にVRゲームを作ることができるようになっていることに,またしても驚かされた。

7歳からさまざまなVRコンテンツを楽しめ,VRゲームも制作できる「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit」
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 こうして振り返ってみると,Nintendo Laboに出会って以降,驚いてばかりいる。それだけ,いい意味で予想を裏切り続けてくれたゲームだったからだ。
 実は,自分の中では「Nintendo Laboは楽しい遊び」だというこだわりがあったので,教育とは結び付けないように考えてきた。教育的効果なんていうのが野暮だと思うほど,エンタメ性が高い。これはあくまで遊びとして,純粋に楽しんでいたかったのもある。

 しかし一方で,2020年から小学校でもプログラミング教育が必修化し,学びの環境がどんどんデジタル化されていくこの時期に,「Nintendo Labo」が登場した意味は,とても大きいと思っている。そして,嬉々として新しい遊びを生み出す子供達を見て,親子で「Nintendo Labo」に出会えてよかったと痛感した。

「Toy-Conガレージ」は,自分のアイデアを形にできる最高のツールだ
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 そんな母の夢や驚きとは関係なく,子供は無邪気に「Nintendo Switchで遊べて,工作もできて,自分でゲームも作れちゃう,すごく楽しいゲーム」として,Nintendo Laboを存分に楽しんでいる。
 私も子供のときに「Nintendo Labo」と出会えていたら,また違った遊び方ができたのかな……と思わずにはいられないが,遊びに年齢は関係ない。子供が学校に行っている間に,誰もいない自宅でロボットになり切って遊ぶ自分は,やっぱりゲームが大好きだ。そして,Nintendo Laboで遊べたことをとても嬉しく思っている。

5月16日 iOS/Android用アプリ「PUBG MOBILE」国内で配信開始
5月25日 PlayStation 4用ソフト「Detroit: Become Human」発売
6月14日 FIFAワールドカップ ロシア大会開幕
6月18日 WHOがICD(国際疾病分類)に,「ゲーム依存症」を盛り込むと決定(関連記事)
6月27日 iOS/Android用アプリ「妖怪ウォッチ ワールド」配信開始
7月5日 iOS/Android用アプリ「Identity V」配信開始

4人のサバイバーと1人のハンターに分かれて戦う非対称型マルチプレイゲーム「Identity V」。本作は同ジャンルの「Dead by Daylight」を手がけたBehaviour Digitalと提携し,スマートフォン向けのタイトルとして開発された(11月9日にはDMM GAMESでPC版がリリース)
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7月13日 Nintendo Switch用ソフト「OCTOPATH TRAVELER」発売
7月23日 iOS/Android用アプリ「ファンタジーライフ オンライン」配信開始

8月1日 iOS / Android用アプリ「ドールズフロントライン」配信開始
8月2日 3DS用ソフト「世界樹の迷宮X」発売
8月7日 PC/PS4/Switch用ソフト「Dead Cells」発売

9月7日 PlayStation 4用ソフト「Marvel’s Spider-Man」発売
9月14日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」発売
9月27日 PC用オンラインゲーム「マジック:ザ・ギャザリング アリーナ」が配信開始

10月2日 PC/Xbox One用ソフト「Forza Horizon 4」発売
10月4日 PC/PS4/Switch用ソフト「ロックマン11 運命の歯車!!」発売
10月5日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「アサシン クリード オデッセイ」発売
10月12日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「コール オブ デューティ ブラックオプス 4」発売
10月18日 PS4/Xbox One用ソフト「ソウルキャリバーVI」発売(PC版は同10月19日)
10月26日 PS4/Xbox One用ソフト「レッド・デッド・リデンプション2」発売
10月30日 アーケードゲーム「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」稼働

11月7日 iOS / Android用ソフト「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドSP」配信開始
11月15日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「Fallout 76」が発売
11月16日 Nintendo Switch用ソフト「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・イーブイ」発売
11月20日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「Battlefield V」発売
11月21日 iOS/Android/PC用アプリ「龍が如く ONLINE」配信開始
11月24日 PlayStation 4用ソフト「絶体絶命都市4 Plus -Summer Memories-」発売

12月6日 iOS/Android用アプリ「ロマンシング サガ リ・ユニバース」配信開始
12月7日 Nintendo Switch用ソフト「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」発売

歴代作品に登場した全ファイターが参戦するなど,シリーズ最大規模のボリュームとなった「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」。「悪魔城ドラキュラ」のシモンや「ペルソナ5」のジョーカーといった会社の枠を飛び越えたファイターの参戦にも注目が集まった
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■「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」:いきなりすべてをほおばらず,ゆっくりと噛みしめたいシリーズ最新作 (ライター:箭本進一)

 「大乱闘スマッシュブラザーズ」(以下,スマブラ)は,なぜこれほどまでにゲーム好きを惹きつけるのだろうか?

 任天堂キャラクターの共演,シンプルなルール,快適な操作感,スマッシュの気持ち良さ……理由はいろいろとあるが,個人的には“誕生から現在までの物語を知っている”ことが挙げられる。「格闘ゲーム竜王」から「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」までの道のりとサクセスストーリーがゲーム好きの心を打つのだ。

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 今や発売前からヒットが約束されている感すらある「スマブラ」だが,1作目が誕生したばかりの頃はもちろん違った。まずは任天堂キャラクターとは無関係のプロトタイプ「格闘ゲーム竜王」が作られ,その後に話題性や独自のセールスポイントを持たせるため,マリオやピカチュウらの参戦が決まったというのは有名な話だ。

 当初はネガティブな捉え方をされたうえ,発売前の評価もあまり良くなく,「底の浅い,つまらないゲームという誤解を受けた」と,「ほぼ日刊イトイ新聞」樹の上の秘密基地,第4回で,岩田 聡氏,桜井政博氏が発言していた。だが,発売後に評価が上がっていき,今やメガヒットのシリーズになったのはご存じの通りだ。

 制作者が自ら攻略法を伝えるサイト(スマブラ拳!!)が開設されるゲームなんて,そうそうない。ここには,ゲームの基礎から「権利のすげかえ」「ヒットストップずらし」「リアクション値」といった内部処理に踏み込んだ情報も書かれており,桜井氏その人が目の前で「スマブラ」の魅力を熱弁しているかごとき熱がある。

 また,僕のような格闘ゲーム好きにとってスマブラは,「格闘ゲームが敬遠される要因をていねいに取り除いたゲーム」とも感じられた。シリーズ1作目「ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ」が発売された1999年は,対戦格闘の金字塔「ストリートファイターII」の登場から8年が経ち,格闘ゲームというジャンルにある種の閉塞感が漂っていた時期だった。

 格闘ゲームは高度化・専門化していき,乱入対戦重視のゲームセンターでは,練習すらできずに先行者に秒殺されることも当たり前だった。そこで「なにくそ!」と奮起して対戦を続けるようなこともあったが,凄腕プレイヤーが対戦台にいるときは,勝負の前に退散したりもしていた。中にはロケテストで100連勝を決めるような人もいて,“伝説成就”を目の当たりにしていた僕としては,尻尾を巻くしかなかったのだ。

 その頃,僕は格闘ゲームの現状を心配していて,友達と夜を徹して「『ストII』の頃のように,皆が格闘ゲームを遊ぶようになるにはどうすればいいか」といった内容で語り合っていた。RPG的要素を入れる,もっと現実の格闘技を再現したものとする,消極的な戦法やハメにシステムから罰則を入れるなどなど,……結論が出ることはなかったが,「スマブラ」が解答を示してくれたように思う。

 必殺技コマンドを簡略化する。蓄積ダメージで異なる吹っ飛びや,複雑な地形によって状況へ積極的に揺らぎを取り入れ,ハプニングを起こす。キャラクター本人ではなくフィギュアが戦う設定と,試合終了後に敗者が勝者を称える拍手の演出により,敗北に伴う心理的な負担を軽減する。こうなったらもう,格闘ゲーム好きとしては支持するしかないではないか。

 NINTENDO 64のコントローラとカートリッジを友達の家に持ち込んでは布教を行い,お題をこなして「スペシャルボーナス」をどれだけ手に入れられるかに腐心し,「スマブラ」のためにクラシックコントローラを買い,「フィールドスマッシュ」でハイスコアを出すためにクリティカル付きの装備を求めて周回を行う。その頃の僕は“祭り”を存分に楽しんでいたのだ。

 それからもシリーズ作は欠かさず遊んでいたが,2018年3月9日の「Nintendo Direct」のラスト,「スプラトゥーン」の映像と思わせつつ,実はSwitch版「スマブラ」のアナウンスだった……というどんでん返しに,本当に驚かされた記憶がある。

 発売前からこれほどまでに情報が出回り,発表内容の一つ一つにファンたちが一喜一憂するゲームも珍しい。映像は隅々まで検証され,何か発表があるたびに大きな話題となる。反応の中にはネガティブなものもあった。とくに,「格闘ゲーム竜王」からここまでの“物語”を知っている人たちは,発表内容に過敏になっていたように思う。

 そして2018年11月1日に配信された「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL Direct 2018.11.1」では,ヒーロー全滅という衝撃的な映像が流れ,メインテーマのボーカル版が流れるという構成になっており,僕はすっかり心を奪われた。配信終了後,ダウンロード版と「ファイターズパス」を即座に予約していたのだ。

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 「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」は,隠しキャラクターやスピリッツなど,アンロック要素がこれまでの作品とは比較にならないほど増えていて,旧作のように“全部アンロックしたうえでノンビリ遊ぶ”という状況にはなかなかできない。しかし,「スマブラ」は,基本的には長いスパンで遊ぶタイトルだと筆者は思っている。いきなりすべてをほおばるのではなく,それぞれのペースでゆっくりと遊んで見てほしい。

12月12日 iOS/Android用アプリ「ブロスタ」配信開始
12月13日 PlayStation 4用ソフト「GOD EATER 3」発売(PC版は同2月8日)
12月13日 PlayStation 4用ソフト「JUDGE EYES:死神の遺言」発売
12月20日 PS4/Switch用ソフト「ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島」発売


平成31年(2019年)

1月8日 「ファイナルファンタジーXIV:」に麻雀が実装。その名は「ドマ式麻雀」
1月8日 レスリング女子でオリンピック3連覇を果たし,国民栄誉賞も受賞した吉田沙保里選手が現役引退を表明

1月9日 「8K」の普及促進や規格化を担う団体「8K Association」が発足
1月11日 Nintendo Switch用ソフト「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」発売
1月16日 TSUTAYAがNianticおよびポケモンとパートナーシップ契約を締結。全国約1200店舗のTSUTAYAが「ポケモンGO」のポケストップ/ジムに

1月17日 PS4/Xbox One用ソフト「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」発売(PC版は同2月1日)

2007年11月に発売された「エースコンバット6 解放への戦火」から,およそ12年ぶりのナンバリング作となった「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」。「空の革新」をテーマに,Unreal Engine4と,空模様専門の描画ミドルウェア「true Sky」により綿密に表現されたリアルな空を自由に飛び回れるのがポイントで,最大8人でPvPを楽しめるマルチプレイモードも搭載されている
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1月20日 2D横スクロールアクション「Nogalious」のMSX版が発売
1月24日 Nintendo Switch用ソフト「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」発売
1月25日 「KINGDOM HEARTS III」(PS4/Xbox One)発売

約13年ぶりのナンバリング作となった「KINGDOM HEARTS III」。ゼアノートとの戦いを描く「ダークシーカー編」の完結編と銘打たれ,「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」,「アナと雪の女王」などシリーズ初登場となるワールドが注目された
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1月25日 「バイオハザード RE:2」(PC / PS4 / Xbox One)発売。「バイオハザード2」の現世代機に向けリメイク作品
1月29日 Razer,9製品が全部ピンクという「Quartz Pink Edition」のノートPCやゲーマー向け周辺機器を一斉発売

Quartz Pink EditionのRazer製PCおよびデバイス。Razerではこれらをまとめて「Razer Quartz」と称している
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1月29日 シカに全振りした「DEEEER Simulator:ごく普通のシカのゲーム」のクラウドファンディング企画がスタート(関連記事)
1月31日 PS4/Switch/PS Vita用ソフト「ネルケと伝説の錬金術士たち 〜新たな大地のアトリエ〜」発売。シリーズ20周年記念作

2月5日 PC/PS4/Xbox One用オンラインゲーム「Apex Legends」配信開始

「Apex Legends」は,2月5日の発表後,すぐに配信が始まった基本プレイ料金無料のバトルロイヤルゲームだ。Respawn Entertainmentが開発を手がけ,同社の「タイタンフォール」と世界観を共有している。発表から1週間後には2500万アカウントを獲得し,同時アクセスは200万人以上を記録するなど,大ヒットしている
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2月14日 Nintendo Switch用ソフト「TETRIS 99」配信開始。99人同時対戦できるテトリス
2月15日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「ファークライ ニュードーン」発売
2月21日 iOS/Android用アプリ「イカロスM」サービス開始
2月22日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「Anthem」発売

2月26日 iOS/Android用アプリ「黒い砂漠MOBILE」配信開始
2月28日 PS4/Switch用ソフト「ウィザーズ シンフォニー」発売

3月1日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「DEAD OR ALIVE 6」発売
3月8日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「デビル メイ クライ 5」発売

ナバリングタイトルとして約10年ぶりの登場となった「デビル メイ クライ 5」。シリーズの持ち味であるスタイリッシュなアクションはさらに磨きがかかり,プレイアブルキャラクターも3人に増えた。また,オンラインプレイシステム「シェアードシングルプレイ」も高評価を得ている
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3月14日 PlayStation 4用ソフト「LoveR」発売
3月15日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「ディビジョン2」発売
3月19日 Google,ゲームストリーミングプラットフォーム「Stadia」を発表
3月19日 iOS/Android用アプリ「魔界戦記ディスガイアRPG」配信開始
3月20日 PS4/Switch用ソフト「ルルアのアトリエ 〜アーランドの錬金術士4〜」発売
3月20日 PS4/Switch用ソフト「スーパーロボット大戦T」発売
3月22日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」発売

「DARK SOULS」シリーズや「bloodborne」などを手がけたフロム・ソフトウェアと,Activisionが共同で開発した和風アクション・アドベンチャー。戦国末期の日本を舞台にすべてを失った孤独な忍びの戦いを描くタイトルで,鉤縄移動による高低差を使ったマップ探索や,「体幹」を巡る攻防や「忍殺」,復活要素である「回生」といったメカニズムを導入しつつも,フロム・ソフトウェア製タイトルらしい“死にゲー”として歯ごたえのある難度を持つタイトルとして話題となり,発売から10日で200万本を売り上げた
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3月22日 シアトル・マリナーズのイチロー選手が,東京ドームで行われたアスレチックス戦終了後に現役引退を表明
3月22日 探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」への着陸に成功
3月26日 Appleが定額制ゲームサービス「Apple Arcade」を発表
3月28日 PC/PS4/Switch用ソフト「Winning Post 9」発売
 
4月12日 田畑 端氏率いるJP GAMESが,世界初となるIPC公式パラリンピックゲームの制作を発表(関連記事)
4月12日 Nintendo Switch用ゲームキット「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit」発売
4月16日 PlayStation 4用オンラインゲーム「World of Warships: Legends」サービス開始
4月16日 PC/PS4/Xbox One用ソフト「World War Z」発売(日本では2019年内予定)
4月16日 Capcom UK,アケコン型ゲーム機「Capcom Home Arcade」を発表
4月24日 「UNDERTALE」の公式ピアノ楽譜「UNDERTALE Complete Piano Score」発売(関連記事)
4月26日 PlayStation 4用ソフト「Days Gone」発売
 
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