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Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた
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印刷2013/09/05 10:00

テストレポート

Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた

NEXTGEAR-NOTE i200SA1
メーカー&問い合わせ先:マウスコンピューター
BTO標準構成価格:12万9990円(税込)
画像集#002のサムネイル/Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた
 2013年6月にHaswellマイクロアーキテクチャを採用する第4世代Coreプロセッサが正式発表され,早くも約3か月が経過した。当初は限られた製品ラインナップしか用意されていなかったが,8月下旬になって2コアのデスクトップPCモデルが自作市場へ登場するなど,その状況にも変化が出てきている。

 そして9月5日,ついに,6月の時点では発表されただけで流通していなかった,新しい統合型グラフィックス機能(以下,iGPU)「Iris」(アイリス)を集積するCPUが,市場に登場してきた。マウスコンピューターのゲーマー向け製品ブランド「G-Tune」で用意された「NEXTGEAR-NOTE i200SA1」(以下,i200SA1)は,「Intel Iris Pro Graphics 5200」(以下,Iris Pro 5200)が統合されたCPU「Core i7-4750HQ」(以下,i7-4750HQ)を搭載しているのだ。

 となれば当然,テストしてみるほかない。4Gamerではさっそくi200SA1の3D性能をじっくり検証してみよう……ということにしたかったのだが,結論から先に述べると,残念ながらそれは叶わなかった。というのも,

  1. 入手した個体と最終製品では,「性能に影響するスペック」に違いがあると,正式発表の直前になって判明した
  2. 「性能に影響するスペック」を,4Gamerでは穴埋めできなかった

という2つの事情により,i200SA1というノートPC自体の性能評価を行えなくなってしまったからだ。
 ただ,i200SA1(の最終製品版とはスペックが若干異なる個体)が手元にあるのは事実。そこで今回は,現時点でお伝えできる範囲のことをお伝えしてみたいと考えている。


Haswell世代のiGPUをおさらい


 というわけでまずは,Haswell世代のiGPUがどうなっていたかを振り返っておこう。

 i200SA1が搭載するi7-4750HQのiGPU,Iris Pro 5200は,Haswell世代のiGPUにおける最上位モデルだ。
 もう少し細かく説明すると,Haswell世代のiGPUは,性能ごとに5段階の「Graphics Level」に分類され,それぞれ,異なるブランド名もしくは型番が与えられている(関連記事)。具体的には下に示したスライドのとおりで,Iris Pro 5200は,Graphics Levelでいうと「GT3e」である。

Haswell世代のiGPUにおけるブランド名とGraphics Levelの関係
画像集#003のサムネイル/Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた

 スライドではGT3eの下に「GT3(28W)」「GT3(15W)」と続き,それぞれ「Intel Iris Graphics 5100」「Intel HD Graphics 5000」というブランド名が与えられているが,IntelはとくにGT3eとGT3(28W)を「Haswell世代においてとくに高い3D性能を持つiGPU(のGraphics Level)」だとしている。要するに,Irisブランドは,性能強化版iGPUの証だというわけである。

Irisシリーズのウリ
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 具体的にどう強化されているのだろうか。
 IntelのiGPUにおける“シェーダプロセッサ”は,4基の単精度浮動小数点演算器からなる「Execution Units」(以下,EU)で構成されている。たとえば「Core i7-4770K」(以下,i7-4770K)など,6月に発表されたデスクトップPC向けHaswellで集積されている「Intel HD Graphics 4600」(以下,HDG 4600)だと,EU数は20基――演算器クラスタでいえば80基――となる。

i7-4750HQ。大型のシリコンダイがCPU本体で,写真左に見える小型のダイがeDRAMと推定される。Iris Pro 5200は,1つのCPUパッケージ(=チップ)上に2つのダイを載せる,マルチチップ技術が使用されているのが特徴だ
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 それに対して,HDG 5000以上の“GT3シリーズ”だと,EU数は40基。GT2比で2倍の規模に達している。演算器の数でいえば160基であり,Intelとしては未曾有の規模だと述べていいように思う。もちろん,3D性能はGPUの規模に応じてリニアに上がるというものではないが,HDG 4600比でかなりの性能向上が期待できるのは間違いない。
 そして,もう1つ重要なのが,Haswell世代で唯一,Iris Pro 5200だけが,オンチップで高速なDRAMを搭載したモデルとなることだ。このDRAMは「eDRAM」(embedded DRAM,組み込みDRAM)と呼ばれており,だからこそGraphics LevelもGT3「e」となっているわけだが,このeDRAMはプロセッサのシリコンダイとは高速なバスで結ばれ,外部キャッシュとして用いられているとされる。

 ちなみに,「追加のeDRAMを高速な外部キャッシュとして用いる」というのは,Xbox 360でも採用されているアイデアだ。Xbox 360のeDRAMはGPU用のレンダーバッファキャッシュとして使われるため,ピクセル操作などといった,特殊な機能を持つ特徴がある。
 一方,GT3eのeDRAMは,iGPU専用というわけではないようだ。Intelは実際,「通常のキャッシュと同様の機能を持つに留まる」という説明を行っている。

 CPUコアから見たキャッシュの階層は,LLC(Last Level Cache)の外側となる。つまり,CPUコアから見た場合にはL4(4次)キャッシュ,iGPUから見た場合にはL3(3次)キャッシュという理解でいいだろう。
 160基もの演算器クラスタで並列処理を行うiGPUにとって,グラフィックスメモリバス帯域幅は極めて重要である。それだけに,iGPU専用というわけではないにせよ,eDRAMには,「DDR3-1600のデュアルチャネル分,25.6GB/sしか帯域幅のないメインメモリと,iGPUが必要とする帯域幅のギャップ」を,ある程度埋めてくれることが期待できるわけだ。

 なお,eDRAMの容量や,eDRAMとプロセッサコアを結ぶバスの帯域幅などといった詳細は,現時点でも公式には明らかにされていない。ダイサイズを見る限り,1Gbit,すなわち容量128MB程度ではないかといった印象だが,あくまでも外観を基にした推測にすぎず,現状,eDRAMの詳細は秘密のベールに包まれていると述べていい。だからこそ,Iris Pro 5200の3D性能が気になるのである。


NEXTGEAR-NOTE i200SA1の実機を見る


i200SA1
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 というわけで,ここからはi200SA1の実機を見ていきたい。

 入手したi200SA1は,14インチサイズで解像度1920×1080ドット,ノングレア(非光沢)の液晶パネルを搭載するノートPCだ。本体サイズは340(W)×253(D)×20.9(H)とけっこう薄い。本体底面に用意されたゴム足の背が高いため,それを入れた厚みは23mm程度となるが,それでもスリムだとは評していいように思う。

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本体底面。本体奥側の左右に2基のファンを搭載する。4隅に置かれたゴム足は,この手の薄型ノートPCにしては,背が比較的高い
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本体を開いたところ。薄さを実現するために特殊なヒンジ仕様を採用したためか,めいっぱい開いても液晶パネルはここまでの角度になる

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本体手前側(左)と奥側(右)の側面。本体手前側は向かって右手に電源,バッテリー残量,ストレージのアクセス,フライトモードのLEDインジケータとなっている。背面はほぼすべてが排気用のメッシュだ
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本体左側(左)と右側(右)の側面。左側にはACアダプター,1000BASE-T LAN,Mini DisplayPort出力,HDMI出力が並ぶ。本体右側はヘッドセット(3.5mmミニピン×2),USB 3.0×3,SD/MMCカードリーダーという並びだ

 本体重量は約1.8kg。モバイルノートとしての持ち運びは十分に可能だが,一方で付属のACアダプターを合わせると総重量は2kgを軽く超えてくるので,日常的に持ち運んで使うのはやや厳しいかもしれない。
 14インチワイドで解像度1920×1080ドットの液晶パネルは,正面から見る限り,視認性は上々。応答速度はノートPCとしてまずまずといったところだ。パネルの詳細は明らかになっていないが,本体を左右に振ったとき,変色が起こる角度は割と浅めである。

液晶パネルはノングレア加工済みなので,映り込みの心配は無用。その点ではゲームに向いたパネルといえる。斜めから覗き込もうとすると変色は顕著だが,液晶パネルに正対する分には問題ないと述べていい。むしろ気になったのは,左の写真でもなんとなく分かるように,本体の形状がどことなく歪(いびつ)であることのほうだったりする
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画像集#015のサムネイル/Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた
 キーボードは10キーのない日本語配列で,メンブレンスイッチを採用する,ごく一般的なパンタグラフ式だ。ストロークは1mmほどと浅いが,キーとキーの間に隙間のあるアイソレート式が採用され,かつ,キーピッチも主要キーでは18mm確保されているため,打鍵自体はしやすい。
 右側のキーが妙に間延びしているのは気になるものの,“変態配列”とまでは言えないだろう。ロールオーバーへの配慮などもないながら,普通に使えるキーボードとは言える。

 と,ここまで紹介すれば,i200SA1のコンセプトは明快だろう。単体GPUを搭載しない利点を活かし,ゲーマー向けでありながら,薄くて軽いノートPCを目指してきたというわけだ。
 そのスペックは表1にまとめたとおりだが,4コア8スレッド対応のCPUであるi7-4750HQを搭載し,Cドライブとして機能するmSATA接続のSSDと,Dドライブとして機能する2.5インチHDDを搭載しているあたり,「単体GPUを搭載しない」点を除けば,全体的なスペックは高めと述べていいだろう。

 なお,i200SA1に導入されていたグラフィックスドライバのバージョンは「15.31.9.64.3220」で,これは原稿執筆時点である9月4日にIntelの公式Webサイトからダウンロードできた「15.31.9.64.3165」と比べると,末尾の4桁だけが異なるバージョンだ。おそらく,基本的には公開版と同じながら,OEMとなるPCメーカーのみに提供されているものだろう。

画像集#030のサムネイル/Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた

 では,その内部はどうなっているのか。内部構造をチェックしていきたい。

※注意
 分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。

 i200SA1は,本体底面のカバーを取り外せば,バッテリーパックや2.5インチHDDにアクセスでき,また,キーボードを取り外すことでDIMMスロット(およびMini PCI Expressスロット)にアクセスできる構造となっている。
 まずは底面からだが,底面に多数取り付けられたネジをすべて外すと,カバーがぱかっと外れる。ここで目に入るのは,大型のリチウムイオンバッテリーパック(というかシート)と,2.5インチHDDだ。
 アクティブに冷却すべき対象がCPU 1基だけであるにも関わらず,ファンが2基搭載されている点にも注目してほしい。

底面のカバーを外すと,バッテリーとHDDにアクセスできる(左)。自己責任を覚悟すれば,HDDの換装は簡単だ。ただし,それ以外の主要なパーツには,こちらからだとアクセスできない。なお右はバッテリーパックを外したところ。容量は4800mAhとなっていた
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 一方のキーボード側から基板へアクセスするには,キーボード奥にある,「G-Tune」のロゴが入ったはめ込み式の飾り板を,噛み合わせに気を付けながら外す。すると,キーボードを固定しているネジ2本が姿を見せるので,これを抜き,「Mobile Intel H87 Express」チップセットの近くに用意されたフラットケーブルコネクタからケーブルを外す。これでキーボードを取り外せるようになっている。

キーボード側を外すには,まずはめ込み式の飾り板を取る必要がある。その下に置かれたネジを外せば,DIMMスロットへアクセス可能だ。ただし,右の写真で左側にちらりと見えるmSATA接続型SSDは,この時点だと着脱できない
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 この時点で,メイン基板とは,各種信号の伝送用となるケーブルで本体に固定されているだけになる。なので,目に見える範囲から順番に1つずつ外していけば,マザーボードを取り出し可能だ。
 下に示したのが,実際に取り出したマザーボードで,T(もしくはY)の字型をした特殊なパッシブクーラーの下にあるのがi7-4750HQである。

i200SA1のマザーボード。ここまでくると,mSATA接続のSSDも着脱が可能になる
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 2本のヒートパイプによって2つの放熱フィン部へと熱を送り,あとは2基のファンに任せて本体後方へと熱を放出する仕様のクーラーを取り外すと,本稿の序盤でも紹介したとおり,2つのチップが1つのパッケージに載った形のi7-4750HQが姿を見せる。
 単体GPUを搭載したゲーマー向けノートPCと比べると,冷却機構は明らかにシンプルであり,これがi200SA1の薄さや軽量さに寄与しているのは間違いないだろう。

専用クーラーを取り外したところ。mSATA接続のSSDを着脱したい場合は,ここまでバラす必要がある
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残念ながら3D性能の正確な検証はならず

今回はひとまず「取れたもの」を掲載


 というわけで,本来ならばここからは,Iris Pro 5200,そしてi200SA1の性能に迫っていくことになるのだが,残念ながら,冒頭で紹介したトラブルにより,それができなくなってしまった。

画像集#023のサムネイル/Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた
 当初,i200SA1のBTO標準構成だと,メインメモリは8GB×1という仕様になるはずだった。それが,発表直前になって,8GB×2となり,筆者の手元にある製品は,「販売されない構成の個体」ということになったのである。これが,きちんとテストを行えない理由,その1である。

 「ならメモリモジュールを足せばいいじゃない」と思うかもしれないが,ここからの話がその2だ。今回入手した個体では,マウスコンピューターから別途提供を受けた「最終製品で採用するメモリモジュール」を差しても,4Gamerで独自に用意した,サンマックス・テクノロジーズ製の8GBモジュール2枚セット「SMD-N16G28CP-16KL-D DDR3L-1600 S.O.DIMM 16GB」を差しても,描画負荷の高い3Dアプリケーションを実行すると,ベンチマークのスコアが極端に落ちる現象が確認されたのである。「あまりスコアが伸びない」というのではなく,スコアがシングルチャネルアクセス時比で4分の1程度にまでガタ落ちになってしまうのだ。

 原因はまったく分からないのだが,メモリモジュールを2枚差して容量16GBとしたときだけ,Windowsの起動途中で「ACPI_BIOS_ERROR」という表示が出て,Windowsが立ち上がってこないというトラブルがときおり発生するのを確認できている。なので,「何らかの事情により,筆者の手元にある個体に限り,SO-DIMMモジュールを2枚差すと不安定になってしまう」ということのようだ。マウスコンピューターによれば,最終製品でそういったトラブルは起きていないとのことなので,試作機らしい,やむを得ない問題と言えるかもしれない。

画像集#024のサムネイル/Haswell世代の統合型グラフィックス機能最上位モデル「Iris Pro Graphics 5200」をG-TuneノートPCで(ちょっと)試してみた
 ちなみに,8GBモジュール1枚で動作させる限り,動作におかしなところはまったくなく,ベンチマークスコアも順当と思われるものが得られている。もちろん,メモリがシングルチャネルアクセスとなるので,メインメモリが“効く”テストのスコアは,最終製品版と比べてかなり低いとは思われるが,それでも,HDG 4600を統合したi7-4770Kに対し,ベンチマークスコアは1.2〜1.5倍となっていた。

 そこで今回は,あくまでも参考値だと断りつつ,i200SA1のシングルチャネルメモリアクセス構成で計測したスコアを示しておくことにしたい。スコアの個別評価は行わないが,GT3eの持つ実力の一端は窺えるのではないかと考えている。

 なお,今回比較対象として用意したシステムは表2,3のとおり。

  • G-Tuneの前世代モデルで,Kepler世代のノートPC向けエントリークラスGPU「GeForce GT 650M」と4コア8スレッド対応のCPU「Core i7-3630QM」を組み合わせた「NEXTGEAR-NOTE i300SA10」
  • i7-4770K搭載のデスクトップPCで,GPUとしてHDG4600を用いた状態(以下,i7-4770K+HDG4600)
  • そのデスクトップPCに,GeForce GT 650Mと同じく「GK107」コアを採用するデスクトップPC向けGPU「GeForce GT 640」を組み合わせた状態(以下,i7-4770K+GT640 DDR3)

を,i200SA1と比較しようとしたわけである。

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 実行したテストは,4Gamerのベンチマークレギュレーション14.0から,「3DMark」(Version 1.1.0)と「Far Cry 3」「Crysis 3」「BioShock Infinite」「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)の5本。基本的には「エントリー設定」もしくは「標準設定」を選択することにしたが,Far Cry 3とCrysis 3はエントリー設定でも描画負荷が高すぎることから,今回は下のスクリーンショットで示すとおり,さらに描画設定を下げている。本稿ではこの状態を「特別設定」とするので,ここでお断りしておきたい。

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Far Cry 3の特別設定
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Crysis 3の特別設定

 また,Far Cry 3とCrysis 3を前にしたときの“厳しさ”から,オンラインゲームでの用途を考えるべく,今回は追加で「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版ver.2.0」(以下,PSO2ベンチ)と「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)のテストも行うことにしている。
 PSO2ベンチでは「簡易描画設定5」を,新生FFXIVベンチ キャラ編では,グラフィック設定プリセットに「標準品質(ノートPC)」および「最高品質」をそれぞれ選択し,GPUによるボトルネックが生じにくくする。そして,テストは解像度ごとに2回実行し,その平均をスコアとして採用するという流れだ。

 なお,3DMarkを除き,テスト解像度は1280×720ドットと1600×900ドット,1920×1080ドットの3パターンとした。その結果がグラフ1〜8である。繰り返すが,i200SA1の製品版とはシステム構成が異なるため,スコアは参考程度に留めてほしい。

※i300SA10(3630QM+GT 650M)は,3DMarkのFire Strikeテストが完走しないため,N/Aとしました。BioShock Infiniteにおけるi7-4770K+GT640 DDR3で,1280×720ドット時よりも1600×900ドット時のスコアが高いのは,転記ミスではありません
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ゲーマー向けエントリーノートPCの薄型化につながるか


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 試用機のトラブルからスコアの細かな評価は避けるが,メモリアクセスがシングルチャネルながら,少なくともHDG 4600より明らかに高いベンチマークスコアを示せているあたりに,Iris Pro 5200の価値は見出せそうである。

 もちろん,今回のテスト結果を見る限り,「GT 650Mを搭載するようなノートPCの代わりになるか?」と聞かれた場合に,笑顔で「はい」とは回答しづらい。ローエンド市場向けはともかく,ゲーマー向けPCの世界におけるエントリー市場向けの単体GPUを駆逐できるほどの実力は,まだIntelのiGPUには備わっていないと見るべきではなかろうか。
 ただ,オンラインゲーム用と割り切ったノートPCの低価格化,そしてなにより小型化,薄型化に,Iris Pro 5200が貢献してくれそうな気配は感じられる。中途半端な検証の末ではあるが,今回はそうまとめておきたい。

マウスコンピューターのNEXTGEAR-NOTE i200シリーズ販売ページ

  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-4000番台(Haswell)

  • 関連タイトル:

    G-Tune,NEXTGEAR

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