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  • 発売日:2023/05/30
  • 価格:パッケージ/ダウンロード版:7590円(税込)
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[プレイレポ]ゲームパッドでRTS「Company of Heroes 3」は快適に楽しめる? 操作性をチェックししながらPS5版を遊んでみた
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印刷2023/06/22 11:00

プレイレポート

[プレイレポ]ゲームパッドでRTS「Company of Heroes 3」は快適に楽しめる? 操作性をチェックししながらPS5版を遊んでみた

 リアルタイムストラテジー(RTS)と言えば,かつては「Age of Empire」シリーズや「StarCraft」シリーズに代表されるように,大量のユニットをテンポよく操作していくゲームだった。現代に至り,RTSのメインストリームは「League of Legends」「Dota 2」といったMOBA系のゲームに派生し,移り変わったが,それでもクラシックなRTSが完全に廃れてしまったわけではない。

 2023年5月30日,セガからPlayStation 5版が国内向けに発売された「Company of Heroes 3」(以下,CoH3)は,まさにそのクラシックスタイルのRTSである。プレイヤーはたくさんのユニットを操作するだけでなく,必要に応じて拠点でユニットを生産したり,あるいはそのための生産力を確保したりしなくてはならない。
 ここまでならば,話は簡単だ。CoH3は伝統あるCoHシリーズの最新作であり,古くからのファンであれば問題なく環境に適応できるだろう。

ディテールの細かさはCoHシリーズならでは。最新作でも健在だ
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 だが,CoH3をコントローラ(ゲームパッド)で遊ぶとなったら,どうだろうか? これまでCoHファンは(あるいはRTSプレイヤーというものは)基本的にマウスとキーボードでゲームを遊んできたし,遊んでいるはずだ。当然ながら筆者も「常識的に考えてRTSはマウスとキーボードでしょ」と考えてきた。
 果たして,PS5のDuelSenseで快適にプレイできるのだろうか? 実際にプレイしてみたので感想をまとめてみたい。

「Company of Heroes 3」公式サイト



ポーズ前提のカジュアルプレイなら「あり寄りのあり」


 さて,まずは筆者の個人的な感想としての結論から示しておきたい。

 筆者は4時間弱,CoH3のPS5版をプレイしてみた。その体験から言えば,「ゲームパッドで十分にCoH3はプレイできる。ただし,要所要所でポーズをかけるのが大前提であり,オンラインで対戦したいならキーボードとマウスを使ったほうが無難」である。
 幸い,PS5本体にキーボードとマウスを接続すれば,PC版のようにプレイできるので,オンライン対戦がしたい人や慣れたデバイスで遊びたい人は,無理にゲームパッドを使う必要はないだろう。

 一方で,そこまでシリアスにゲームを遊びたいと思っていない場合――つまり,椅子にゆったりと腰掛けて,リラックスした姿勢でCoH3を遊ぶのであれば,ゲームパッドの利用は十分にあり得る。筆者はキャンペーンシナリオの序盤,いくつかのマップを問題なくクリアできたし,特別にストレスを感じることもなかった。

 以上を踏まえ,CoH3はどのようにゲームの各機能をゲームパッドにアサインしているのか,ざっくりと解説したい。

普通にキャンペーンシナリオを遊ぶぶんには問題なし
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■統一感のあるユニット選択コマンド

 CoH3の基本操作は,[◯/×/△/□]ボタンと十字キー(頻繁に使うのはボタン側)にショートカットを割り当て,アナログスティックにマウスカーソルを割り当てるというものだ。
 「ユニットを[×]で選んで,[◯]ないし[□]で移動」となる(厳密に言えば[◯]で戦闘移動,[□]で攻撃をせずに移動)が,CoHシリーズ名物の「家に入る」「遮蔽を取る」といった行動は,適切な移動先にカーソルを合わせればアイコンが変化するといった形で自然に実行できる。
 CoHでは1ユニット単位で動くのではなく,複数のユニットからなる1部隊単位で行動する。このため,画面内に見える自軍兵士の数に比べ,操作しなければならないユニットの数は少ない。UIを一見するとまどろっこしく思えるかもしれないが,それほど大きなストレスなくゲームを進められる。

[◯]の場合,敵に遭遇すると戦闘を開始する。[×]の場合は敵に遭遇しても構わず,移動を続ける
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移動先として家にカーソルが合うと,「家の中に入る」アイコンが現れる
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 「[×]で選んで,それ以外のボタンでアクション」という構図は,ついついボタンのマークで考えて混乱しがちだが,[◯/×/△/□]ボタンを十字キーとして見立て,「下を押すとユニットが選択できる」と覚えると,かなりスムーズに操作できるようになる。
 「下を押すとユニットを選択」というUIは,なかなかよく考えられている。というのも,十字キーの↓を押すと「全ユニットを選択」できるようになっているからだ。このため,「下方向を押せばユニットが選べる」という形で手に覚えられるようになっている。


■範囲選択とユニットリスト検索

 とはいえ,状況によっては非常に多くのユニットを操作しなくてはならない。5ユニットや6ユニットならともかく,10を超えたあたりから「ユニットを選んで行動指定」ではとても追いつかなくなる。かといって,十字キーの↓で全ユニットを選んでアクションを繰り返すのでは,何のゲームをしているのかが分からない。

 この問題に対し,CoH3では大きく分けて2つの解決策を用意している。
 1つ目は「[×]ボタンの長押し」だ。CoH3では[×]ボタンを長押しすると,カーソルがある位置を中心にして正方形の範囲選択エリアが広がっていく。これにより複数のユニットをまとめて選択し,行動を指定できる。
 そんな大雑把なUIが機能するのか? と思われるかもしれないが,これはこれで実用的だ。[×]ボタンを長押しすれば,「今のこの画面で見えているユニットのほとんどすべて」を選択できるからだ。「全軍で同じ目標地点に向けて移動したいわけではなくて,この画面内に見えているユニットだけを特定の場所に動かしたい」という意図は,このUIで十分に実現できる。

写真が分かりにくくて恐縮だが,下の写真に広がっている青い大きな四角が「[×]を長押ししたことによって広がっていく選択範囲」。長方形の画面に対して正方形に広がることもあり,ある程度まで狭い範囲を的確に選択できる
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 2つ目の解決策は,[L1]または[R1]によるユニットの選択だ。自動的に(かつ順番に)ユニットを選択してくれるのだが,横長のユニットリストを[L1]で左回り,[R1]で右回りをする構造になっているので,連打して各地の戦況を見て回ることもできる。とくにCoH3では装甲(戦車や装輪車など)や野砲を素早く選択したい状況も多く,画面中央に装甲が表示されるまで連打するといった使い方も実用範囲にある。

画面左下に並んでいるホームベース状の小さいアイコンが,現存する自軍ユニットの数と種類を示している。[L1/R1]を押すと,選択ユニットが順番に切り替わっていく
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 ただ,[L1]と[R1]によるユニット選択は,暴発が怖いという問題もある。CoH3ではユニットごとに設定された特殊な能力(ライフルグレネードの発射など)を実行する場合,[L2]でコマンドホイールを表示してからアクションを選択することになるが,ここで[L1]と[L2]を押し間違うと「違う,そうじゃない」という言葉が口から漏れることになるだろう(筆者は何度も漏れた)。
 また,建物を選択してユニットを生産する場合も「建物を選んで[L2]でコマンドホイールを表示し,生産するユニットを選択」という手順になる。ここでも,うっかり[L1]を押すとまったく別の場所のユニットにフォーカスが移るため,「違う,そうじゃない」という言葉が大きめに口から漏れがちだ(筆者は何度も漏れた)。
 このあたりは「慣れれば大丈夫」と言いたいところだが,なかなか慣れない人がいても不思議ではないアサインだとは思う。

こういう状況で[L1]や[R1]を押してしまうと,カーソルがユニットにすっ飛んでいく。いや,仕様通りの挙動ではあるのだが……
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■CoHシリーズならではの操作は実にスムーズ

 なんだか「やっぱりゲームパッドでは無理があるんじゃない?」と思われそうな話になったが,個人的には良い部分もあると感じた。
 とくに素晴らしいと思えたのは,「撤退」コマンドだ。CoHシリーズでは,歩兵ユニットは複数人の兵士で構成され,戦闘のダメージによって兵士はどんどん倒れていく(減っていく)という仕様になっている。そして重要なポイントとして,「1人でも生き残っていれば,部隊が得た経験値は残る」という特徴がある。激しい戦闘で消耗した部隊は後方に撤退させ,補充をして,再び前線に出す……というのがCoHシリーズの基本的な戦い方だ。

撤退してユニットを温存するのはCoHシリーズの基本
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 この基本に対し,CoH3のコントローラ・アサインはとても素直な割り当てをしている。ユニットを選択した状態で[△]ボタンを押すと,そのユニットは本拠地に向かって撤退をしてくれるのだ。
 こうしたショートカットはCoHシリーズに以前から存在する機能であり,シリーズファンであれば「何を今さら」と言いたくなるかと思う。だが,ゲームパッドという限られた数のボタンしか持たないデバイスで遊ぶにあたって,メインで使うボタン群に「撤退」が割り振られているのは,とてもいい設計だと感じた。この割り当てであれば,「危なくなった部隊は撤退させる」というCoHシリーズの基本を無理なく学べるからだ。
 もちろん,これもまた暴発の危険性を伴うアサインではある。だが,もし撤退が「コマンドホイールを出して撤退を選ぶ」のであれば,CoHファン的には「このアサインをした人はCoHを分かってる?」と言いたくなっただろう。

コマンドホイールを出して特殊な命令を実行できる。「撤退」がここにしかなかったら,相当キツいことになっていたと思う
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 同様に,CoHシリーズでは戦車や装輪車,あるいは野砲のマイクロマネジメントも重要な要素だ。戦車であれば敵の攻撃に対して正面を向けるのが基本となる(戦車は原則として正面装甲が最も厚い)し,野砲は敵が来る方向に向けておかなければ撃てない。
 この「正しい方向に向ける」操作は,ユニットを選択した後にアナログスティックを傾けることで実現できる。文字だけ見ると厄介そう(あるいは不正確そう)な雰囲気があるが,実際にゲーム内で実行してみると,かなり快適に方向の指定が可能だ。

対戦車砲や重機関銃の方向を設定したり,車両の向きを変更したりするUIはかなりこなれている印象だ
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側面を取ると有利(取られると不利)になるゲームなので,車両の向きを迅速に変更できるUIはとても大事
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■対戦だけがRTSではない

 以上,「RTSをゲームパッドで遊ぶ」というチャレンジに対し,CoH3が出した解答の概略となる。
 実のところ,RTSをゲームパッドで遊ぶというチャレンジを行ったのは,CoH3が初めてではない。そもそもRTSの元祖といわれる「ヘルツォーク ツヴァイ」はゲームパッドで遊ぶゲームだったし,「三國志12 対戦版」もゲームパッドで問題なくRTSが楽しめた。近年の作品では「Age of Empires II: Definitive Edition」がXboxプラットフォーム上でゲームパッドに対応している。

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[2023/02/04 11:00]

 その上でも,やはりガチな対戦となると,マウス+キーボードに利があるのがRTSだと言わざるを得ない。こればかりは「そういう設計のゲームなのだから仕方ない」としか言いようがないだろう。
 だが,ガチ対戦だけがRTSではない。FPSが物語を乗せるプラットフォームとしても進化したように,RTSも物語を楽しむプラットフォームになり得る。実際,「Age of Mythology」のキャンペーンシナリオを大いに楽しんだという古参の読者は少なくないだろう。

 よりカジュアルな遊び方に対し,ゲームパッド最適化のノウハウは重要な役割を担い得る。Steam Deckのように手軽なハードウェアも増えてきた昨今,新しいRTS体験の一部として,ゲームパッドを活用したデザインのゲームをもっと見てみたいと思う。

ポーズしながらのプレイが大前提とはなるが,そういうテンポで楽しむものと割り切って遊ぶのがいいだろう
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ウェイポイントを設定していくことも可能だ
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