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ゲームで広がる支援の輪。ゲームメーカーやコミュニティが取り組む新型コロナ感染拡大防止への対策や支援と“ゲームファンができること”を紹介
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印刷2020/04/22 12:00

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ゲームで広がる支援の輪。ゲームメーカーやコミュニティが取り組む新型コロナ感染拡大防止への対策や支援と“ゲームファンができること”を紹介

 イベントの中止や延期,新作の発売延期など,新型コロナウイルス「COVID-19」(以下,新型コロナ)の感染拡大によって大きな影響を受けているゲーム業界。そんな状況下で,世界中のゲームコミュニティが,さまざまな形で新型コロナ感染拡大防止の対策や支援のため活動している。本稿では,ゲームメーカーや関連企業,その他ゲームにゆかりのある団体や著名人が取り組む施策や寄付活動を,“ゲームのために,ゲームファンができること”と合わせて紹介しよう。

 ここで紹介しているのは,主に2020年4月19日までに実施,または発表されたもののほんの一部に過ぎない。このほかにも,数多くの個人や団体がゲームを通じて支援活動などを行っている。ゲームの界隈で何がどう動いているかを俯瞰する参考になれば幸いだが,ぜひみなさん自身でもニュースやSNSで情報を集めてみてほしい。

画像は,ソニー・インタラクティブエンタテインメントが取り組む「Play At Home」のロゴ(関連記事
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ゲームメーカーや団体,スポーツ選手……

さまざまな形で取り組まれている新型コロナ対策支援


■感染拡大防止への対策や支援(寄付)
 伝染病をテーマとしたシミュレーションゲーム「Plague Inc. -伝染病株式会社-」iOS / Android)および「Plague Inc: Evolved」の開発を手がけるNdemic Creationsが,新型コロナ対策への財政支援として世界保健機関(WHO)が主導する「COVID-19連帯対応基金」(COVID-19 Solidarity Response Fund)に対し,合計25万ドルの寄付を行ったのは既報のとおり(関連記事)。「League of Legends」のRiot Games(と,その共同設立者)は,アメリカ・ロサンゼルスおよび非営利団体に150万ドルを,「ウィッチャー」シリーズ「サイバーパンク2077」PC / PS4 / Xbox One)で知られるCD Projektはポーランドに400万PLN(約95万ドル)を寄付。本拠地となる国や地域の新型コロナ対策をサポートしている。
 4月16日には,バンダイナムコグループがCOVID-19 Solidarity Response Fund for WHO(WHOのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金)に1億円の支援金を拠出したことを発表(関連記事)。国内でも多くのメーカーが支援に動いている。

伝染病を広めるというゲーム性で注目を浴びることになった「Plague Inc」。現在は専門家などの監修のもと,病気から世界を救う新モードの実装に向けたアップデートを進めている
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■感染拡大防止への対策や支援(医療物資の寄贈)
 1月に行った中国・武漢の支援に続き,日本を含む複数の国へ向けた医療物資の寄贈に動くIGG関連記事)や,世界中の保健当局に向けマスク100万枚を用意すると発表したRazer。アメリカ・ワシントン州ノースベンド市に,9500枚以上のN95微粒子用マスクを寄付したNintendo of America関連リンク)。そして,本社所在地である横浜市に対し,1億円相当の医療用物資を確保したことを発表したコーエーテクモゲームスなど(関連記事),マスクや防護服といった医療用物資で支援を行うメーカーも。また,新型コロナ研究を進めるCOVID-19 High Performance Computing Consotiumに参加したNVIDIA関連リンク)のように,自社の技術力を活かした支援を行うメーカーもあるようだ。


自身のTwitterにてRazerの支援活動を発表したCEOのMin-Liang Tan氏


■感染拡大防止への対策や支援(コミュニティ支援)
 ゲームコミュニティに向けた支援を行うメーカーも少なくない。4月15日にはソニー・インタラクティブエンタテインメントが,独立系デベロッパの創作活動支援のための基金設立を発表した。これは新型コロナウイルスの感染拡大防止につながる行動をさまざまな形で支援する「Play At Home」の施策の1つで,財務面で厳しい状況にある小規模の開発スタジオをサポートするため行われるものだという。

ほかにも「Play At Home」の一環として,PS4向けソフト「アンチャーテッド コレクション PlayStation Hits」と「風ノ旅ビト」の無料配信が,4月16日から5月6日までの期間限定で行われている ※画像は「風ノ旅ビト」(関連記事
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「Play At Home」イニシアチブについて


 トレーディングカードゲーム業界を守るべく動いているメーカーの1つが,多くのTCGタイトルを展開するブシロードだ。ブシロード公認カードゲーム専門店に向け,スマホアプリ「ヴァンガード ZERO」iOS / Android)の売上の20%還元やマスクの無償提供などを実施。商品販売だけではなくカードゲーマーたちの集う場としても重要な店舗を,経済面と健康面の両方からサポートしている。また,チャットツール「Discord」上に通信対戦や交流の場となる「Bushiroad Remote Fight」を作成するなど,カードゲーマーに向けた施策も行われているようだ。

3月2日に発表された,ブシロードの店舗支援施策
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ブシロード公式サイト「公認カードゲーム専門店支援の施策実施の案内」


■感染拡大防止への対策や支援(在宅者へのアメニティ提供)
 自宅待機の推奨や感染拡大防止と対策支援につながる活動をするメーカーも数多くある。Nianticは,「Ingress Prime」iOS / Android)や「ポケモンGO」iOS / Android。正式名称はPokémon GO),「ハリー・ポッター:魔法同盟」iOS / Android)といったリアルワールドゲームが家でも楽しめるよう,ゲームシステムに変更を加えたことを発表。「Minecraft」にて教育コンテンツを無料で配信したMicrosoft,WHOが推奨するキャンペーン「#PlayApartTogether」関連記事)に賛同し,ゲームクリエイターを目指す人に向けた学習教材の無料化やオンラインセミナーを行ったUnityのように,教育分野や自宅学習のサポートに力を入れている会社も少なくない。

「ポケモンGO」のゲーム内イベント「Pokémon GO コミュニティ・デイ」も開催形式を変更。自宅から参加できる「Pokémon GO コミュニティ・デイ:プレイアットホーム」として4月25日に行われる(関連記事
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 ゲームファンにとって身近なものとなっているのが,各社が配布しているバーチャル背景だろう。詳しくはこちらの記事にあるとおり,1つずつニュースとして追うのは“無理っぽい”という結論に至るほど,多くの会社がリモートワークを支援するべく魅力的な背景画像を配布している。

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配布されている背景画像の一例。左は「龍が如く7」(セガ),右は「スーパーマリオ オデッセイ」(任天堂)
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コーエーテクモやサイバーコネクトツーのように,“リアル社内”の背景画像を配布するメーカーも(画像はコーエーテクモが配信した,みなとみらい新本社ビルの写真)
自社タイトルのSIMPLEシリーズをセルフパロディ(?)したD3 PUBLISHERのように,趣向を凝らした背景画像を配布するメーカーも
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「龍が如く」から「マリオ」まで,テレワーク時のビデオ会議などで活用できるバーチャル背景をゲームメーカー各社がこぞって配布中

「龍が如く」から「マリオ」まで,テレワーク時のビデオ会議などで活用できるバーチャル背景をゲームメーカー各社がこぞって配布中

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」により,自宅作業を始めた人も多いと思われるこの状況のなか,多くのゲーム会社がTwitterなどで「バーチャル背景」の配布を開始している。ビデオ会議などで部屋の様子を隠し,なおかつ好きなゲームをアピールできるという一石二鳥のコンテンツだ。

[2020/04/09 16:48]

■感染拡大防止への対策や支援(その他団体や著名人の活動)
 ゲーム関連メーカー以外にも,ゲームを使用したイベントや支援活動を行っている団体がある。ライブストリーミング配信プラットフォームの「Twitch」は,3月29日に実施したチャリティイベント「Stream Aid 2020」関連リンク)にて「フォートナイト」PC / PS4 / Xbox One / Switch / iOS / Android)のトーナメントを開催。同チャリティイベントでは,ユービーアイソフトから15万ドルの寄付もあった(Ubisoft公式Twitterの関連ツイートより)。
 スピードランのチャリティイベントを主宰するGames Done Quickは,夏の大型オフラインイベント延期の発表ののち,新型コロナ対策支援のオンラインイベント「Corona Relief Done Quick」を実施(公式Twitterの関連ツイートより)。集まった寄付金は全額,非営利団体Direct Reliefに渡されるとのことだ。

Stream Aid 2020には270万ドルを超える寄付があった(画像は公式Twitterの該当ツイートのもの)
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 NBAは,2Kのバスケットボールゲーム「NBA 2K20」PC / PS4 / Switch / Xbox One)を使用し,NBA,2K,NBPA(NBA選手協会)が寄付を予定している義援金の支援対象を決めるオンライントーナメントを開催。参加者は現役プロ選手16名と,NBAファンにとっても豪華な大会となった。
 ほかにもCodemastersの「F1 2019」を使ったバーチャルなグランプリシリーズを開催しているF1,開発中の「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」PS4 / Switch)を使用したプロ野球のバーチャル開幕戦を実施したNPB(KONAMIとの共同開催)のように,“シーズン休止期間でもファンが楽しめるもの”を提供するべく,ゲームを使用したイベントや大会の配信を行う団体もある。

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延期されたF1レースに代わって,「F1 2019」を使った公式バーチャルイベントの開催が明らかに

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 F1は,延期されたレースの代替イベントとして,バーチャルなグランプリシリーズを開催することを明らかにした。「F1 Esports Virtual Grand Prix」と名づけられた新たなイベントでは,現役のF1ドライバーが公式ゲームである「F1 2019」を使用したレースに挑むという。

[2020/03/21 12:04]

 団体だけではなく,ゲームを使った支援活動を個人で行っている人もいる。個人といえば,3月に支援団体に15万ドルを寄付し,その後も自身の活動や配信を通じてサポート活動を行うゲームストリーマーのニンジャ(Tyler “Ninja” Blevins)氏が有名だろう(該当リンク)。
 ゲームコミュニティの有名人以外にも,ゲームを使用した活動を行う著名人は多い。その中でもとくに目立つのがサッカー選手。実はサッカー選手にはゲーマーが多く,中には自身のeスポーツチームを持っているという選手もいる。その中の一人であるFCバルセロナ所属のアントワーヌ・グリーズマン選手は,自身のeスポーツチーム「griziesport」のTwitchにて,24時間のチャリティ配信を実施。サッカーゲーム以外にも「Call of Duty: Warzone」PC / PS4 / Xbox One)や「LoL」などのプレイを配信し寄付を募った。

グリーズマン選手の配信では,2万9200ユーロの義援金が集まった(画像はgriziesport公式Twitterの該当ツイートより)
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ゲームファンができることは?


 それでは,ゲームファン自身がゲーム業界やコミュニティのため力になれることはなにか。一番分かりやすい形の支援方法はクラウドファンディングだろう。
 とくに活発なのは,ゲームセンターやゲームカフェなどのゲーム関連施設。高田馬場に本店を構えるゲーセンミカドが,事業計画の前進と既存店舗の存続,活性化を図るためのクラウドファンディングを実施。開始翌日に目標金額をクリアしたというニュースは記憶に新しいが(関連記事),同様にさまざまなゲーム関連施設が支援を募る活動を行っている。



 例えば岡山県倉敷市にあるゲームセンターのファンタジスタでは,日本各地にあるゲームセンターをモチーフにしたチャリティキーホルダーの通信販売を行っている。販売価格は3300円(税別)で,売上の9割がゲームセンターの運営や店舗維持の支援金にあてられるそうだ。
 ほかにも月間パスを販売している中野TRFや月額プランを行っているゲームセンターWILLなど,多くのゲームセンターが公式Twitterやクリエイター支援サイト「Ci-en」公式サイトリンク)などで支援を募っている。作家の赤野工作氏が立ち上げを発表したサイト「全国ゲーム屋コロナウイルス対応支援窓口一覧」にゲーム関連施設に関する支援情報が更新されているので,こちらもチェックしてみるといいだろう。

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全国ゲーム屋コロナウイルス対応支援窓口一覧


 もちろんオンラインでのゲームの購入や課金といった形も,ゲームメーカーの応援につながる。2KがHumble Bundleと提携して販売しているHumble 2K’s Game Together Bundle関連記事)や,SteamのGO PLAY INSIDE! BUNDLE関連リンク)のように,中には売上の一部が支援団体に寄付されるものも。あくまで必要なものを無理のない範囲で購入してメーカーを応援し,ゲームをとおした支援も行おう。

CCP GamesのMMORPG「EVE Online」のように,ゲームの有償通貨を利用したチャリティ企画を行っているタイトルも(関連記事
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 ゲーマーの腕前や経験が,直接的に新型コロナ対策の力となるゲームも存在する。それがワシントン大学が同大学のゲームサイエンスセンター(Center for Game Science)のサイト「Foldit」関連リンク)で公開されている3Dパズルゲームだ。
 ウイルスの“棘”を包んで無効化するタンパク質をパズル感覚で作るゲームで,有効性がありそうなものは実用実験されるという。つまり,自身が完成させたパズルが,新型コロナ治療薬の開発につながる可能性があるということだ。ゲームには初心者(?)向けのチュートリアルも用意されており,ワシントン大学はこのゲームについて,多くの人に参加を呼び掛けている。
 高性能マシンを使用しているというPCゲーマーなら,分散コンピューティングプロジェクト「Folding@home」に参加し,新型コロナ解析(関連記事)の力になってみるのもいいだろう。

Center for Game Science「Foldit」サイト


 意外と見落としがちかもしれない,ゲームメーカーをサポートする手段の一つが,新作タイトルのパッケージ版を予約購入することだろう。店舗向けに販促POP展開や店頭体験会ができず,十分な新作アピールができず困っているゲームメーカーは少なくないはず。小売店の応援にもつながるので,オンラインでの予約受付があれば,好きなゲームショップやいつも利用する店で予約を済ませておくのもいいだろう。

 そして何より我々ゲーマーができることといえば,ゲームを好きであり続け,ゲームを楽しむこと。家でゲームをすること自体が新型コロナ感染拡大の防止につながるし,いま遊んでいるゲームの感想やゲーム関する思い出,昔やりこんだ作品や好きなシリーズ語りなどをSNSや動画配信などで発信することも,ほかのゲーマーたちを元気づけ,ゲームメーカーを応援するという形での支援活動となるはず。手前味噌になってしまうが,4Gamer,ファミ通,ゲームの電撃の合同Twitter企画にてゲームにまつわるエピソードを募っているので(関連記事),こちらにも参加してもらえると嬉しい限りだ。

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[お知らせ]ゲームにまつわる,ちょっと元気がでるエピソードを大募集【4Gamer × ファミ通 × ゲームの電撃 合同企画】

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 新型コロナウイルスの影響が日本全国におよんで,外出すらままならない今日このごろ,ゲームに明け暮れるのもいいけれど,なにかこう,もうちょっと読者の皆さんが楽しいことできないかな……と思って,ゲームメディアが集まって相談してみました!

[2020/04/17 14:00]

 冒頭でも触れたとおり,ゲームを中心とした支援の輪はさらに広がりを見せている。先行きが見えない日々が続いているが,収束後にこれまでどおりさまざまな形や環境でゲームを楽しめるよう,新型コロナ感染拡大防止につながる行動をとり,そして可能な範囲でゲームコミュニティの支援活動に協力してみてはいかがだろうか。

WHO「COVID-19連帯対応基金」寄付受付ページ

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