新型キースイッチを採用した“96％”キーボードや「ケーブルが見えないPC」などユニークな製品をASUSが披露

　2023年5月30日，ASUSTeK Computer（以下，ASUS）は，台湾・台北市で行われる大規模展示会「COMPUTEX 2023」に合わせて，新製品発表会を開催した。発表となった新製品は，企業向けノートPCや無線LANルーターなどが中心で，ゲーマー向け製品は少なかった。ただ，少ないながらも目を引く製品やユニークなコンセプトモデルの展示もあったので，まとめて紹介しよう。

　ASUSのゲーマー向けブランド「Republic of Gamers」（以下，ROG）からは，独自のワイヤレス接続とBluetooth接続に対応したフルキーボード「ROG STRIX Scope II 96 Wireless」（以下，Scope II 96 Wireless）が登場した。製品名にある「96」は，一般的なフルキーボードのサイズと比べて，96％と少し小さいことを示しているという。
　ASUSによると，価格や発売時期は決まっていないものの，日本でも発売する予定とのこと。なお，発表会場に展示していたのは，英語配列モデルだが，日本市場でのキー配列は確認しているそうだ。

Scope II 96 Wireless

Scope II 96 Wirelessの概要。2.4GHz帯の独自接続とBluetooth，有線接続に対応する。独自接続のOMNI Recieverを使うことで，接続先の切り替えも可能とのこと

　最近のゲーマー向けキーボードでは，10キーだけでなく，ファンクションキーや矢印キーなどを省略した60〜65％サイズのキーボードが好評を博している。ASUSも「ROG Azoth」や「Falchion Ace」といった小型キーボードを販売中だ（関連記事）。

　今回発表となったScope II 96 Wirelessは，10キーを備えつつも，［Del］キーや［Ins］キーなどの位置をファンクションキーの隣にしたり，［Home］キーや［Scroll Lock］キーを省略することで，小型化を実現した。96％と数字だけみると，さほど変わらないように思えるが，実際に見比べるとそこそこコンパクトだ。

［Del］キーや［Ins］キー，［PgUp］［PgDn］キーがファンクションキーの横に移動している。そのほかのキーは，Fnキーとの同時押しに割り当てられている

フルキーボードの「ROG STRIX Scope II」（上）との比較。実際に見比べると，Scope II 96 Wirelessはかなりコンパクトだ

　ASUSによると，価格や発売時期は決まっていないものの，日本でも発売する予定だという。なお，発表会場に展示していたのは，英語配列モデルだが，日本市場でのキー配列は確認中とのことだ。

　また，キースイッチにASUS独自の「ROG NX Mechanical Switch」（以下，ROG NX）の新モデル「Snow」を採用するのもポイントだ。ROG NX Snowは，キーストロークが3.6mmで，ほかのROG NXよりも短い。アクチュエーションポイントも1.8mmと短めで，FPSなど素早い操作が求められるゲーム向けのスイッチと言えるだろう。

ROG NX Snowの概要。FPSなどに向いた高速なリニアスイッチだ

キーストロークは3.6mmで，アクチュエーションポイントは1.8mmだ

　ROG STRIX Scope II 96 Wirelessは，個々のキースイッチを取り外して，ユーザーがほかのROG NXに交換できるのもポイントだ。ROG NX Snowの感触が合わなければ，すべてほかのキースイッチに変えたり，一部の利用頻度の高いキーだけを交換して，キータッチを変えるということも可能だ。

キートップだけでなく，スイッチも本体から外せる

互換性のあるメカニカルキースイッチと交換できるので，個別キーのタッチを変えることも可能だ

　また，ゲーマー向け製品の展示エリアでは，ケーブルが見えない自作PCのコンセプトモデル「HIDDEN-CONNECTOR CONCEPT BUILD」も披露していた。

一見普通の自作PCだが，実はケーブルが見えないPC。大型のグラフィックボードも補助電源ケーブルがどこにあるのか分からない

　マザーボードとグラフィックカード，PCケースが特別仕様なのだが，とくに面白いのはマザーボードである。電源コネクタをはじめとして，USBヘッダや，SATAインタフェースといった各種ケーブルを接続するコネクタを，マザーボードの裏面に搭載しているのだ。これによって，PCケースに組み込んだときに，マザーボードの表側には，ケーブルが見えなくなるわけだ。

特別仕様のマザーボード

マザーボードの背面。外周にUSBヘッダやソケット，コネクタを配置する

　また，グラフィックスカードの補助電源ケーブルも，マザーボードの表側に来ないように，PCI Expressスロットの隣に専用の補助電源用スロットを増設。グラフィックスカードにも，その専用補助電源用スロットに接続するコネクタを用意することで，補助電源ケーブルを不要としているわけだ。

グラフィックボードの電源は，PCI Express x16スロットの横にある専用スロットから，マザーボード裏面のコネクタを通じて供給する

　
　PCケースは，マザーボードベースが特別で，マザーボードの裏面に搭載した電源コネクタなどが露出する仕様となっている。最近は，LEDイルミネーション機能を始めとして，ケース内部をインテリアとして見せるデザインが増えているが，ケーブルを見せないPCというコンセプトが製品として結実するのか。注目しておきたい。

　ゲーマー向け製品以外も簡単に触れておこう。
　企業向けノートPC「ASUS ExpertBook」は，Intelのセキュリティおよび管理機能「Intel vPro Technology」（以下，vPro）対応の第13世代Intel Coreプロセッサを搭載するシリーズだ。16インチ級モデル「ExpertBook B5 OLED」は，アスペクト比16：10の有機ELディスプレイと，単体GPUとして「Intel Arc A350M」を採用するのが見どころだ。

ExpertBook B5 OLED

　スモールビジネスから大規模事業までを見据えたネットワーク関連製品も数多く登場した。無線LANルータの「ExpertWiFi EBM68」は，冗長性の確保として，WANポートを2つのISPに接続することで，片方のネットワークに問題が生じても，自動的に接続先を切り替える仕組みを搭載するという。

ExpertWiFi EBM68

USB 3.0ポートは，スマートフォンのテザリングを使ったインターネット接続に対応する

　興味深いのは，2系統のWANに問題が起きた場合に，USBポートでスマートフォンと接続して，テザリングでネットワークを維持できることだ。企業向けの機能だが，一般消費者向けの製品にも搭載してほしいと思う人はいるのではなかろうか。

ASUS日本語公式Webサイト