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[TGS 2016]原田勝弘氏と石渡太輔氏がトークを繰り広げた「『原田が斬る!』TGS出張版」をレポート
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印刷2016/09/18 12:16

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[TGS 2016]原田勝弘氏と石渡太輔氏がトークを繰り広げた「『原田が斬る!』TGS出張版」をレポート

原田氏:
画像集 No.007のサムネイル画像 / [TGS 2016]原田勝弘氏と石渡太輔氏がトークを繰り広げた「『原田が斬る!』TGS出張版」をレポート
 ところで石渡さんって,音楽はいつごろできるようになったんですか?

石渡氏:
 そもそも,作曲の知識とかまったくなかったんですよ。もともと僕は何でもやりたくて,映画も作りたいし,絵も描きたいし,音楽も作りたかったんです。でも,そのためにどこに行ったらいいのかが分からなくて,当時総合的に扱っていたのがゲームの専門学校にいって,進路を決めました。
 そして,当時はゲーム業界はまだ組織力みたいなものがしっかりいなかったので,言えばなんでもやらせてくれるんじゃないかと思って,ゲーム業界に進んだんです。
 その時点でやったことのある作曲は,ファミコンの「絵描衛門(デザエモン)」で十二小節の曲をずっと作っていたぐらいですね。

原田氏:
 それだけだったんですか? ピアノとかを習っていたわけじゃなくて?
 おかしいな。僕は幼稚園から中二までエレクトーンやっていたのに,まったく曲ができません。そのくせ,ミュージシャンにものすごく注文を言っています。

石渡氏:
 僕は会社に入って,お給料をもらえるようになってから,初めてギター教室に通って学び始めました。指示を出すときに,どうしても「何が違うのか分からないけど,思い通りの音になっていない」となったので,これは音楽を習う必要があるなと。

原田氏:
 そこで言葉の威圧感で押し通そうとする僕と,ちゃんと習いに行く石渡さんで差がありますよね。
 でもその話って,ゲーム業界を目指している若い人にとって,勇気がわきますよね。「ゲーム業界ってどうやったら入れるんですか?」って質問がよくありますけど,みんなどんな勉強をしていいのか分からないんですよ。今の話を聞くと,とりあえず会社だけ入ってしまえば,大人になってから学んでもできるということじゃないですか。

ハメコ。氏:
 石渡さんは確か,専門学校のインタビューで,「音楽ができるようになったわけではない。やりたいと思ってやっていたら,今みたいになっただけだ」みたいなお話をされていて,すごく心にきた覚えがあります。

石渡氏:
 今でも僕は,音楽ができるとは思っていなくて,やっただけなんですよ。皆さんに評価していただけるのはすごく嬉しいんですけど,これをできていると言うには,自分自身のゴールが定まっていないし,自分じゃなかなか判断できないと思っています。

原田氏:
 アーティスト気質なんでしょうね。
 これもTwitterから来た質問で,「ギルティギアシリーズにはすごくこだわりを感じますけど,満足できたこだわりと,まだまだだと思っているこだわりは何がありますか?」

石渡氏:
 今ギルティギアシリーズは3Dになっていますけど,僕が最後に直接手がけた2Dシリーズは「GUILTY GEAR XX #RELOAD」なんですね。あの時点で僕は一回,「格闘ゲームは満足した」と思っていました。
 今は今で,その当時とは違う目的を持って格闘ゲームを作っているので,そこに関してはまだゴールしていないと思っています。

原田氏:
 その目的って何なんですか?

石渡氏:
画像集 No.009のサムネイル画像 / [TGS 2016]原田勝弘氏と石渡太輔氏がトークを繰り広げた「『原田が斬る!』TGS出張版」をレポート
 2Dの頃は,納得のいく調整ができて,納得のいくビジュアルが表現できて,自分的に及第点がだせて,これは自分の中でロジックが完成していると思えればゴールでした。今は,格闘ゲーム人口を増やしたり,コミュニティを広げたりするにはどうしたらいいんだろうということを考えています。これは森の影響なんですけど。

原田氏:
 後半の部分は共感できます。コミュニティはもっと広げたいですよね。
 日本の場合だと,ほかの国に比べてトレンドの移り変わりが激しくて,コミュニティがドカンとできたと思ったら,スっと消えたりします。そこの世代交代みたいなのを,うまくつなげるのが難しい国なんですよね。
 その点ギルティギアは,実はアメリカとかフランスですごい支持されていますよね。

石渡氏:
 とくにヨーロッパでは,アニメ的な側面で支持をいただいていますね。

原田氏:
 海外で面白いのが,10年15年経っても,良い意味でプレイヤー数が増減しないんですよ。鉄拳もそうですけど,15年経ったら世代が変わるはずなのに,必ず一定数のプレイヤーがウン十万人っています。これをなんとか日本でも定着させたいんですよね。

石渡氏:
 格闘ゲームプレイヤーって,タイトルごとにプレイヤー層は違うと思うんですが,それをどう交わらせていくかは課題だなと思うんですよね。なんとかして交わらせて,うちのゲームをやってくれる人を増やせないかなと(笑)。

原田氏:
 僕は2Dと3Dの格闘ゲームのプレイヤー層って交わらないものだと思っていたんですけど,Twitterを見ていたら「原田さんと石渡さんの対談って,どんな俺得だよ」って人がいて,ギルティギアと鉄拳両方のファンなんているんだ! ってびっくりしました。

ハメコ。氏:
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 僕も両方好きですよ。ギルティギアと鉄拳は,アクションの自由度が高いって共通点があって,どちらも触って楽しいということが重視されている印象があります。だから,両方好きだというのは理解できますよ。

原田氏:
 でもハメコ。の場合は,職業的にそういってる部分があるでしょ? ここに「デッドオアアライブ」の早矢仕プロデューサーがいたら,デッドオアアライブも好きですって言うでしょ?

ハメコ。氏:
 好きですけど!

原田氏:
 ほら,やっぱり!

石渡氏:
 でも,初代のギルティギアを作っていたスタッフは,土日に朝まで鉄拳を遊んでいましたよ。

原田氏:
 ああ,それは聞いたことがありますね。
 次はちょっと失礼な質問かもしれないんですけど,なぜアークシステムワークスさんのゲームは,あんなにも何作目なのか分かりづらいネーミングなんでしょうか。パッケージを並べたときに,詳しくない人は時系列順にできないと思うんですよ。まあ,そんなこといったら弊社の「テイルズ オブ」シリーズとかも難しいんですけど。

石渡氏:
 それは僕と森が打ち合わせていたり,会社の方針で決まっていたりするわけではないです。ただ僕の場合は,一番最初のギルティギアが,家庭用ゲーム機で出したものだったので,格闘ゲームとしての対戦ロジックより,触ったときのアクションゲームとしての面白さを一番重視していたんですね。

原田氏:
 あ,そこは鉄拳と一緒だ。

ハメコ。氏:
 ほら! だからそうなんだって言ったじゃないですか!

石渡氏:
 そこから,いよいよアーケードに持っていく話をいただいたときに,今度はインカムのことを気にする必要がでてきたので,ツールとして成立する内容にしようと,考え方を切り替えたんです。それで,これはギルティギアだけど違うゲームなんだとして,「ゼクス」という形にしました。

原田氏:
 単純に「2」にはしなかったと。

石渡氏:
 そして,バージョンアップを繰り返していくうちは,ナンバリングをつけることもないなと思ってました。で,いよいよナンバリングするぞってときに,格闘ゲームじゃなくなったっていう(笑)。

原田氏:
 中学二年生ぐらいの「読めないけどカッコイイ名前にしようぜ」みたいな方針があったわけじゃないんですね。僕は森さんと話していて,BLAZBLUEのストーリーや世界観を説明されると「コイツ何言ってんだ」って思うことがあったんですよ。でも,分かりにくい世界観や名前はギルティギアもそうだし,きっとアークシステムワークスさんの方針なんだって勝手に思っていました。でも今話を聞いてみたら,意外とロジカルだったという。
(次ページに続く)

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