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こういう破壊力こそ,洋ゲーの持つ力。須田剛一氏が語る思い出の一本「デストラクション・ダービー」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第2弾
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印刷2012/03/01 00:00

インタビュー

こういう破壊力こそ,洋ゲーの持つ力。須田剛一氏が語る思い出の一本「デストラクション・ダービー」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第2弾

「ゲームアーカイブス」は,文化を遺す大事な試み


4Gamer:
 デストラクション・ダービーの話に戻りますが,今,ゲームアーカイブスという形で,これを600円で買えるようになっています。PlayStation Storeを一つのお店と考えると,こういった古いゲームが安く買える場所に,新作も並んでいるわけです。しかも新作は,ゲームアーカイブスなら数本買えるような価格になっています。そこにやりづらさみたいなものは感じませんか?

画像集#008のサムネイル/こういう破壊力こそ,洋ゲーの持つ力。須田剛一氏が語る思い出の一本「デストラクション・ダービー」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第2弾
須田氏:
 確かに難しいところですね(笑)。
 でも,文化が遺るという意味でいえば,ゲームアーカイブスってとても大事な試みだと思うんですよ。映画でも活字でも,さまざまな形で現在でも楽しめる古典がありますよね。それと同じで,ゲームアーカイブスという場所に,ビデオゲームの歴史が上積みされ,保管されていく……ライブラリが出来上がっていくということは,単純に素晴らしいことだと思います。
 新作は新作で,そういった過去の名作を踏まえたうえに生まれ,そして世に出て行くというサイクルになっていますから,歴史としても文化としても健全なことだと思います。確かにゲームアーカイブスには,いくらでも繰り返し遊べるような作品もありますけど,それらを遊びつつ,新作も買っていただけたらな,と(笑)。

4Gamer:
 その作品をリアルタイムでは知らない人でも,ゲームアーカイブスを通じてゲームの歴史を学ぶことができる,と。

須田氏:
 ええ。デストラクション・ダービーだって,極端な言い方をするとGTAスタイルのゲームが生まれる前夜,その基礎となるものだと思うんです。海外のプログラミングのレベルが急成長した時代のものですし,何よりPsygnosisというゲームブランドがあったことを,今の若い方達にも知ってほしいんです。
 グラスホッパー・マニファクチュアを作ったとき,Psygnosisの作品のように,人の記憶に残るゲームを作りたいという意識がちょっとあって,Psygnosisがフクロウという意味ならば,こっちはバッタにしよう! というのも,社名の由来の一つですから。

4Gamer:
 Psygnosisには,本当に並々ならぬ思い入れがあるんですね。
 例えばですが,須田さんが過去に手がけた作品が,ゲームアーカイブスのような形で残る可能性はあるんでしょうか? ……「スーパーファイヤープロレスリングスペシャル」のことなんですけど。

須田氏:
 ファイプロは,……いろいろと難しいと思います(笑)。

4Gamer:
 やっぱりそうですよねぇ……。もったいないですけど。
 では,そのほかのタイトルの場合はいかがでしょう?

須田氏:
 初期タイトルは,ゲームアーカイブスのような形では,なかなか残せないでしょうね。どうしてもプラットフォーマーさんやパブリッシャさんの都合はありますから。

4Gamer:
 例えばですけど,過去の作品を今一度リリースするとなったとき,須田さんとしては現行機種に合わせたリメイクと,かつてのまま遊べる形と,どちらに興味がありますか?

須田氏:
 これもタイミング次第ですね。そういうお話をいただけるのであれば,どちらの形にせよ積極的に考えたいとは思います。
 ただ,SCEさんのようなプラットフォーマーが,ゲームアーカイブスのような取り組みを今後も拡充させていって,将来的にPlayStationシリーズでリリースしてきたあらゆるタイトルを扱ってもらえるようになれば,自分達の歴史もそこに積み上がっていきますから,嬉しい限りですよね。

4Gamer:
 数年どころか10年単位で見た場合,プラットフォームそのものもいろいろと変わっていくとは思うんですが,そこで最新機種と互換性が保たれた形で,かつての作品も遊べるとしたら,プレイヤーにとっても幸せなことですし。


新作「LOLLIPOP CHAINSAW」の魅力は,破壊の爽快感


4Gamer:
 ところで最近,須田さんはプロレスや格闘技はご覧になってますか?

須田氏:
 深夜に時間が合えば,「ワールドプロレスリング」で新日本プロレスを見る,ぐらいですね。UFCも見ていたんですが,ブロック・レスナーがアリスター・オーフレイムに負けてからテンションが下がってしまって。

4Gamer:
 分かります。あれは衝撃的でした。レスナーって,ある種,純須杜夫みたいに思っていましたし。
 ちなみに,3月9日には後楽園ホールでRINGSが再始動しますが,それはご存じでしたか?

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須田氏:
 え,本当ですか? もう決まったんですか? 本当なんですか? RINGS再始動……。

4Gamer:
 ZSTやTHE OUTSIDERに縁のある選手が出場するみたいですね。あと,ヴォルク・ハンが来日したり,クリストファー・ヘイズマンが試合に出たり,小比類巻太信が総合に転向したりと,RINGSファンにとって見どころ満載になりそうですよ。

須田氏:
 いや〜,またロシア近辺の国々や秘境から,まだ見ぬ未知の強豪を連れてきてほしいですよね。そしてTHE OUTSIDER出身の選手が謎の強豪外国人と戦うことになったら,もう劇画ですよね。ロマンティックですよ!

4Gamer:
 あ,THE OUTSIDERなんかはご覧になっていますか?

須田氏:
 DVDを買ってはいたんですが……収録時間が長いのでなかなか見られないんですよ。

4Gamer:
 それも分かります! 見れば面白いけど,長いのが分かっていると踏ん切りがつかないというか。

須田氏:
 どうせならまとめた時間に1大会分をきちんと見たいですし。

4Gamer:
 こういう話って,実はゲームにも当てはまることだと思うんですよ。日々が忙しいとクリアまでに数十時間が必要なゲームは,いくら面白いと分かっていてもなかなか手を出せず,とりあえず10時間程度でクリアできて,気が向いたらマルチプレイやDLCを始めとしたやり込み要素で遊べばいい,みたいなものを選びがちになってくるというか。

須田氏:
 確かに最近,海外の人達はそう言いますね。
 オープンワールド系のゲームだと50時間は当たり前,80時間以上必要なんていうものもありつつ,10時間でクリアできるようなものもあったりと,商品カテゴリはこの二つに分かれている気がします。とくに海外の消費サイクルを見ると。

4Gamer:
 5月に角川ゲームスから発売予定になっている,「LOLLIPOP CHAINSAW」(PlayStation 3 / Xbox 360)は,どういったタイプですか?

須田氏:
 ゾンビハンターの末裔にしてチアリーダーでもある女子高生のジュリエットが,チェーンソー片手に大量発生したゾンビ達を斬り倒していくアクションゲームです。シングルキャンペーンがメインのルートマップ型のゲームで,物語が軸になっています。

「LOLLIPOP CHAINSAW」
画像集#012のサムネイル/こういう破壊力こそ,洋ゲーの持つ力。須田剛一氏が語る思い出の一本「デストラクション・ダービー」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第2弾

4Gamer:
 クリア時に余韻を味わえるような?

須田氏:
 そう感じていただけると嬉しいですね。
 アクションゲーマー向けに,ガッチリとチューニングしています。

4Gamer:
 シャドウ オブ ザ ダムドは,一般的なTPSの操作体系が採用されていて,TPSなりFPSなりに慣れた人であれば,戸惑うことはありませんでしたよね。LOLLIPOP CHAINSAWの場合は,もう一ひねり加えた……例えば,Wii版NO MORE HEROESのようなイメージをしておけば良いのでしょうか? 基本操作は簡単だけど,ちょっと特殊な操作も必要になるような。

須田氏:
 そうですね。LOLLIPOP CHAINSAWもスラッシュゲームですから,NO MORE HEROESを制作したスタッフが関わっていますし,ノウハウも継承していますが,全く違うゲームに仕上がっています。単に敵を斬るだけでなく,そこに+αのアクセントを加えていくというのが,自分達のアクションゲームの作り方のベースにあります。
 さらに今回は,主人公のジュリエットがチアリーダーという設定ですから,チアアクションを加えました。そこにボタンを割り振っていくと,ソードアクションではなく,違う遊びも生まれてくるんです。それをコントローラだけで実現できたので,楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。

4Gamer:
 早く遊びたいです!
 そういえば,LOLLIPOP CHAINSAWのアクションイベントに,「ゾンビベースボール」なるものがあるようですが,NO MORE HEROESにも野球モチーフのアクションイベントがありましたよね。アクションゲームに野球要素を盛り込む理由があれば,教えてください。

「LOLLIPOP CHAINSAW」における「ゾンビベースボール」
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須田氏:
 あれ……そういえばそうですね。とくに意図はしてないんですけど(笑)。Kinect専用の新作タイトル「Diabolical Pitch」も,確かにバリバリの野球モチーフですね。僕が野球小僧だったから……というのはあるかもしれません。マサカリ投法の村田兆治選手が大好きでした。僕らの世代はスポーツ=野球。そして大リーグやテリー・ファンクがアメリカの象徴でしたので,根っこにあるんでしょうね。
 ちなみに,NO MORE HEROESの主人公がトラヴィス・タッチダウンなのもアメフトからですし。藤村甲子園のような感じで(笑)。

「Diabolical Pitch」
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4Gamer:
 「男どアホウ甲子園」ですね(笑)。何にせよ,そういったことが投影されている部分があるかもしれない,と。
 では,LOLLIPOP CHAINSAWに関して,まだ詳しいゲームの内容は明かされていませんが,その魅力を一言で表現すると,どんな感じでしょうか。

須田氏:
 最初の話に繋げるならば,爽快感はデストラクション・ダービーに通じるものがあると思います。
 破壊衝動のような,人間が持つプリミティブな感情と,アクションゲームの操作はとても親和性が高いと感じるんです。

4Gamer:
 破壊衝動がゲームを通じて昇華されると,プレイヤーは爽快感を感じるものだとは思うんですが……須田さんご自身として,根っこの部分に強い破壊衝動を抱えていらっしゃるんですか?

画像集#011のサムネイル/こういう破壊力こそ,洋ゲーの持つ力。須田剛一氏が語る思い出の一本「デストラクション・ダービー」。――ゲームアーカイブス700本突破記念! 特別インタビュー第2弾
須田氏:
 僕は「バーンアウト」シリーズも大好きなんですが,クローネンバーグの映画「クラッシュ」のような願望は,どこかにありますね。実際に自分では絶対に出来ないことですし。自分で車を運転していたら,事故なんて起こせないですけど,F1レーサーが体感する生と死の境界線,つまりレッドゾーンみたいなものに対する憧れはあるかもしれません。とくにゲームは,死をゲームデザインの中で扱うことが多いですし。

4Gamer:
 つまり,そこで逆説的に生を際立たせようということですね?

須田氏:
 そのレッドゾーンをうまく作り上げられるといいですね。どんなゲームを作るにせよ。

4Gamer:
 破壊なくして創造なし,といったところでしょうか。
 ありがとうございました。

「LOLLIPOP CHAINSAW」公式サイト

「PlayStation Store」公式サイト


(2012年2月13日収録)
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