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[インタビュー]世界のゲーム業界で強い存在感を放つ「Savvy Games Group」とサウジアラビアは,何を目指しているのか。CEOであるBrian Ward氏とフェサール王子に,直接お伺いしてみよう
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印刷2024/06/06 07:45

インタビュー

[インタビュー]世界のゲーム業界で強い存在感を放つ「Savvy Games Group」とサウジアラビアは,何を目指しているのか。CEOであるBrian Ward氏とフェサール王子に,直接お伺いしてみよう

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 まだ寒い冬の季節だったと思うが,いつものようにサウジアラビアのフェサール王子から「そのうちまた日本に行きますね」と連絡をいただいたのだが,それが実を結んだのは,この5月24日のことだった。しかも日本にいらっしゃってからご連絡をいただいてみたら,なんとSavvyのCEOも一緒に来ているとのこと。
 ……Savvy? Savvyというと,あらゆる大手ゲーム会社に資本を投下していて,最近では任天堂の株式を大量保有し,「MONOPOLY GO!」iOS / Android)の開発会社の親会社としても有名な,あのSavvy?

 周囲の方に聞いたところ,かなりスケジュールが詰まっておられる様子で,おそらくはほとんどお時間がないはずだ。今回は4Gamerのほかにも2,3のメディアにお会いするとのことで,文字どおり分刻みのスケジュールであるご一行にとって,ますます時間はなさそう。
 今回も何か王子とお話できるお時間をいただけるといいな……と思っていたのだが,4Gamerとしては,幸いにもいままで4度もお会いしてインタビューする機会をいただけている。なので今回は思い切って「SavvyのCEO単独でインタビュー時間をもらえますか」とお聞きしたところ,「いいですよ」とのお返事。それが今回のインタビューとなった。


 ゲーム業界の方であれば,Savvy Games Group(Savvy)の名を知らぬ人はいないだろう。任天堂の株式を8%以上保有していたり,「MONOPOLY GO!」を世に出したりという前述の件は言わずもがなで,資本投下している会社をざっと並べてみても,任天堂,カプコン,ネクソン,NCSOFT,Activision Blizzard,Take Two Interactive,Electronic Arts,Embracer Group,Scopely,ESL Gaming,Magic Leap,Faceit,VSPO……などと蒼々たる顔ぶれが並ぶ(勘違いだったのだが,それはインタビューをお読みいただきたい)。

 一体どんな人が仕切っていて,どういう思想で動いているんだろうか。いざインタビューに臨んでみたら,想像以上に時間がなくて詳細まで突っ込んで聞けなかったのだが,前よりちょっとだけ,Savvyのことを理解できたように思う。皆様にもその様子をお伝えしよう。

Brian Ward氏
大学を卒業後しばらくして,Electronic ArtsのDirectorとなる。その後も,Microsoft Game StudioのDirector,ActivisionのSenior Vice Presidentなどを歴任してゲーム業界で腕を振るう。いったん大手から離れてLottoInteractiveのCEOとしてしばらくやっていたが,2021年にSavvy Games GroupのCEOとしてジョインして今に至る……という,ゲーム業界無双を体現してる人。
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Brian Ward氏(以下,Ward氏):
 今日は時間が少ないので早速始めましょう。

4Gamer:
 え,さっき違う人から小1時間ありそうだと聞いたのに!
 では急ぎで進めますね。まずは今回,お忙しい中でお時間を取っていただきありがとうございます。でも……実はこの直前までLAにいませんでした?

Ward氏:
 そう! Gamesbeatにいましたよ。

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外部サイト:The scale of ambition in gaming is getting bigger | Brian Ward fireside chat(GamesBeat)


4Gamer:
 終わってそのままこっちにお越しになったんですね。

Ward氏:
 その通り。ちょっと大変でした(笑)。

4Gamer:
 それは大変お疲れ様でした。ますます,ありがとうございます。
 あなたがSavvyグループのCEOとして日本のメディアに出るのは初めてだと聞いたので,まずあなた自身のことから聞きたいと思っています。

Ward氏:
 いいですよ。そこからいきましょう。

4Gamer:
 一体どんな人が,6兆円規模の予算を持つ会社のCEOになるんだろう,とすごく興味津々です。

Ward氏:
 ただの変わり者ですよ(笑)。
 カナダ出身で,そこでビジネスと法律の学位を取得しました。しばらく法律の仕事をしていたんですが,幸運にも28年前にカナダのバンクーバーにあるエレクトロニック・アーツ(EA)のEAスポーツに入社して,FIFAや「ニード・フォー・スピード」などの素晴らしいタイトルに携わりました。

1994年に,シリーズ1作目の「Road & Track Presents: The Need for Speed」。PC版は「ニード・フォー・スピード」だったが,なぜかコンソール版の邦題は「オーバードライビン」となっていた。今年でもう,いつの間にかシリーズ30周年だ
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4Gamer:
 あぁでは,立ち上げ当初の4GamerがNFSを追ってたころは,あなたが担当していたんですね!

「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」のゲームクレジットにも名前が見える
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Ward氏:
 そうですね。
 そしてそれから5,6年が経ち,私は製品側の仕事に魅力を感じたので,その役割を求めてマイクロソフトのXboxに2年ほど在籍しました。
 その後,約20年前にActivisionから声がかかりました。当時のActivisionはまだ小さな会社で,わずか6つのスタジオしかありませんでしたが,私はさらに11のスタジオの買収を主導し,5年間で収益を4倍,ビジネスの規模を3倍に拡大できました。

4Gamer:
 Activision巨大化を牽引した人でしたか。

Ward氏:
 結果としてはそういうことかもしれません。
 6,7年間にわたってActivisionのWorldwide Studiosを運営していましたが,2012年にActivisonを離れ,独立してモバイルゲームを制作するようになりました。その後数年間は,政府系宝くじ向けのモバイルゲームを手がけていましたが,ゲームビジネスが恋しくなり,再びゲームで素晴らしいものを作る機会を求めていたんです。

4Gamer:
 EAからActivision,そしてMicrosoftですからねえ。

Ward氏:
 そして約2年半前,リヤドでこのチャンスに巡り会ったのです。2021年9月にSavvyに移りました。

4Gamer:
 比較するのもおこがましいですが,僕ら4Gamerというゲームメディアも24年前の2000年からなので,あなたの“ゲーム歴”とほぼ同じくらいですね。

Ward氏:
 そうですね。私は1996年からなので先輩です(笑)。

4Gamer:
 しかしお話を聞く限り,EAからActivision,そしてMicrosoftといったあとで,モバイルゲームとかも作っていて,カジュアルゲームからロッタリー,AAAはもちろん,コアなゲームからプラットフォーマーなど,ゲーム業界のほぼすべてを経験されたんですね。

Ward氏:
 言われてみればそうですね。数年前に数えてみたのですが,私が携わったゲームは518本あって,プラットフォームは38種にもなってました。GenesisからSNES,セガサターン,ドリームキャスト……。

4Gamer:
 例に挙がったのがほとんどセガなあたりが,なんだかよく分からないですがゲーム好きであることを感じます(笑)。

Ward氏:
 (笑)


Savvy Gamesは単なる投資会社ではない。では一体,何をしている会社なのか?


4Gamer:
 そしてそんな素晴らしい経歴を持っているあなたが牽いているSavvyなんですが,正直なところ多くの日本人から見ると,莫大なお金を持っている投資会社としか見えていません。
 でもSavvyが単なる投資会社じゃないことは,もちろん僕も知っていますので,Savvyの組織そのものについても,可能な範囲で聞けたりしますでしょうか。

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Ward氏:
 とてもいい質問です!
 Savvyは,2年半前に設立されました。サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)が唯一の株主である点を除けば,普通の商業企業です。7名の取締役会があり,議長はムハンマド・ビン・サルマーン皇太子殿下が務めておられます。そしてそこにいるフェサール王子殿下が,副議長を務めておられます。

4Gamer:
 はい。

Ward氏:
 Savvyは当初,持株会社として設立され,傘下には5つの企業がありました。これらの企業は,いくつかの事業を行っています。
 1つ目は,サウジアラビアでゲーミング会場やゲームのアーケードを設立・運営する会社です。
 2つ目は,ゲーム開発スタジオです。
 3つ目は,サウジアラビアをゲームハブとして発展させることを目的とした会社で,
 4つ目は,すべての現金を保有する特別な会社で,投資のための資本を持つ会社です。
 そして最後は,eスポーツ事業を行う会社です。

4Gamer:
 かなり手広い感じだったんですね。いまは若干シンプルになってますよね。

Ward氏:
 そう。いまは事業構造を簡素化して,3つの戦略的な柱に注力しています。それが,
・eスポーツ
・KSAエコシステム開発,グローバルゲーミングハブの展開
・ゲーム開発 / パブリッシング事業

です。

4Gamer:
 よく見かける3本柱ですね。

Ward氏:
 1つ目のeスポーツ事業に関して言うと,我々はESLとFaceit,Vindexを買収し,中国のVSPOに大規模な投資を行いました。これにより,eスポーツのイベント制作,放送,オンライントーナメントの分野で,世界シェアの約40%を獲得しました。

4Gamer:
 世界の40%……? まぁでも各種大会の規模とか様子を見ていると「まぁ40%くらいあるかも」という気がしてきます確かに。

Ward氏:
 2つ目の柱は,サウジアラビア(KSA)のエコシステム開発です。政府や省庁,その他の関係者と協力し,サウジアラビアをグローバルなゲームハブとして発展させることを目指しています。

4Gamer:
 フェサール王子もとてもこだわっている部分ですね。

Ward氏:
 そして3つ目の柱が,自社のゲーム開発・パブリッシング事業です。リヤドに約80名の従業員を擁するスタジオを持ち,モバイルゲームを制作しています。去年の夏にはScopelyを買収していました。
 現在我々は,22か国に3800名の従業員がいて,そのうち200名ほどがサウジアラビア国内にいます。

4Gamer:
 どこかで見たインタビューで,たぶんあなたの発言だと思うんですが「性別も肌の色も人種も宗教も性自認も,いかなるものも差別しない」というものがありました。
 とても素晴らしい発言だなと思いましたし,リーマ王女の活躍は,サウジをそういう方向にちゃんと向けているんだなというのをすごく感じました。

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※HRH Princess Reema,サウジ国内で女性の権利擁護の活動に取り組んでおり,政界での存在感を急速に高めていることでも知られる。サウジ国内のスポーツを統括する組織に携わり,女性のスポーツへの参加促進に取り組んでおられる。

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Ward氏:
 そう,真のゲーム会社として運営することが,私たちの理念です。それは,世界中のゲーム会社で働く従業員にとって重要なこと,エンドユーザーやファン,プレイヤーにとって重要なことなど,業界の価値観や文化に忠実であることを意味しています。
 これらは,多くの重要な問題を含んでいます。私がこの仕事を引き受けるとき,Savvyが「普通のゲーム会社のように」運営できるかどうか,そのような理解を示してくれるかどうかを重要視していたんですが,それは可能であると保証されましたし,実際にそのようになっています。

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4Gamer:
 期待どおりのレベルでしたか?

Ward氏:
 ええ。この点で,私たちは期待通りのことを実現できています。リヤドに拠点を置いていても,東京やロサンゼルス,ベルリンに拠点を置いているときと,違うことをしているわけではありません。そして成功するためには,真のゲーム会社として認識されることが重要なのです。

4Gamer:
 先ほど開発会社を持っているとおっしゃいましたが,Steer Studiosのことですよね。

Ward氏:
 はい,そうです。

4Gamer:
 たとえば……これはちょっと表現が難しいんですが,日本の会社が「RPGを作っている」と聞いたら,世界のみんなが「あぁきっとこういう作品だろうな」というイメージができると思うんです。ドイツの会社が「シミュレーションゲームを作っている」といえば,同じように「あぁきっとこういう雰囲気だろうな」と。
 でも,サウジアラビアのゲーム会社が作っているゲームというのはイメージが全然湧かなくて,どんなゲームを作るんだろうと思っていたんですけど,今お話を聞いてちょっと納得しました。

Ward氏:
 なるほど,その視点はなかったです。

4Gamer:
 グローバルマーケットに向けた,なんていうか欧米的な……というと変ですけど,そういう作品が出来てくるという認識は正しいですか?

Ward氏:
 ある意味正しいですね。いまSteer Studiosが手掛けているタイトルは,モバイルのカジュアルゲームとハイパーカジュアルゲームです。その理由として,成功するために必要なスキルやツールを急速に進歩させ,デベロッパとして成長させるには,これが最良かつ最速の方法だからです。


4Gamer:
 分かります。知見を溜めるにも速度が速いからやりやすいですし。

Ward氏:
 そうですね,カジュアルゲームやハイパーカジュアルゲームでは,あらゆる面で迅速な反復が行われるので,スタッフは自分の技術を磨き,適切なツールを開発してテストし,それらのツールを洗練させることができます。これは,より複雑なジャンルに取り組むよりも効果的なんです。
 そのためSteerは,現在はこのようなゲームに注力していて,シンプルなカジュアルなゲームを作ることで,会社の規模をさらに速いペースで拡大しようとしています。このプロセスの中では,私たちのスキルを実践し,より速いペースでスキルを向上させることができるのです。

4Gamer:
 サウジアラビア発の作品としては,しばらくはあまりコアなゲームを選ばない感じですか?

Ward氏:
 そうですね……ああでも,コアであるかどうかははっきりとは言えませんが,コンソールゲームとPCゲームを作る予定はあります。現在,社内に小規模のコンソールゲーム開発チームがありますが,来年くらいには第三者とのプロジェクトを開始したいと考えています。もしそれが実現すればより複雑な開発に移行していく予定です。


でも一番気になる「投資」について聞いてみよう


4Gamer:
 会社の話になったところで,投資について聞いてもいいですか。

Ward氏:
 もちろん。

4Gamer:
 去年2023年は,そんなに動きが大きくなくて,ちょっと投資が落ち着いているかなというイメージでした。でも2024年には,多くの資本投下が行われる……みたいなことが書いてあったんですが,そういうときに何か投資に対してテーマはあったりするんですか?
 2024年はこういう方向で行こうとか,こういうジャンルを主にやろうとか,もしそういうものがあれば,聞かせていただけると。

Ward氏:
 うん,いい質問です。
 確かに昨年は,投資件数という点ではそれほど多くありませんでした。でも「Scopely」というとても大きな投資をしました。

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 任天堂の最大の外部株主に浮上したSavvy Games Groupは,サウジアラビアの石油に依存した経済から脱却し,産業の育成を図る“サウジ・ビジョン 2030”の一翼を担う企業だ。今回はサウジアラビアの国家プロジェクトに焦点を当ててみたい。

[2023/04/17 11:00]

4Gamer:
 そうですよね。いま旬のScopelyを持っていたとは,実は改めて調べてみて初めて知りました。

Ward氏:
 Scopelyは4.9億ドル(約764.4億円)の買収価格で,ゲーム会社の投資において史上6番目に大きな投資でした。2024年は,Scopely再び……のような視点で,ほかの機会を探しています。

4Gamer:
 あの規模を再びやるんですね。

Ward氏:
 Scopelyについてはご存じのように,彼ら自身がやっているM&Aでもとても成功しています。私たちも,彼らがこのような活動を続けて成功することを願っていますし,もし彼らが今年何かを見つけるのであれば,私たちは彼らを投資で支えていきます。
 そして来年には,それをさらに,どのように発展させることができるかを見極めていく必要があります。

Savvy傘下になる前から,Scopelyは独自の投資活動を行っており,Scopelyエコシステムを構築するようにつとめていた
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Scopely invests $50 million in European game studios Omnidrone, Pixel Toys, and Tag Games(Scopelyブログ,2021)


セルラン常連の「MONOPOLY GO!」
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4Gamer:
 Scopelyは,日本ではたぶんそこまで有名じゃないんですが「MONOPOLY GO!」がびっくりするくらい売れてますよね。
 4Gamerの記事にセールスランキングを扱ったものがあるんですけど,「2023年最大のモバイルゲーム」とまで言われてました。いっときは世界のランキングがひたすら「MONOPOLY GO!」で埋められたりして。で,これはどんな会社が作っているのだろうと思ったら「サウジか!」と思ってびっくりした覚えがあります。

Ward氏:
 ありがとうございます(笑)。私たちのポートフォリオにこのゲームがあることを,非常に幸運に思っています。
 しかしあまり知られていませんが,このゲームはScopelyで7年間にわたって開発されてきました。7年ですよ! モバイルでカジュアルなのに,実に7年もの期間を使っていたんです。実際のところ,彼らはこのゲームを3回ほど開発停止にしそうだったのですが,どうにか続けられました。いまより,さらに良いものにできると考えて続けたわけです。さまざまなKPIを満たした時でさえ,彼らはさらに良いものにできると考えたのです。


4Gamer:
 マネタイズありきで作って出して,ダメならサービス停止して……みたいなものではなくて,そもそもの覚悟が違いますね。

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Ward氏:
 ですので,「MONOPOLY GO!」の成功の功績はすべてScopelyチームにあります。私たちはいいタイミングに投資をできて,この世界一のモバイルゲームに携われて,素晴らしい旅の一部になれたことを,本当にとても嬉しく思っています。

4Gamer:
 いやでも本当にすごいタイミングで投資しましたよね(笑)。

Ward氏:
 本当に良いタイミングでした(笑)。

4Gamer:
 しかしSavvyのことを投資の側面から見てみると,カプコンやネクソン,任天堂……任天堂の株を8%以上も持てるなんて思わなかったです,あとSNK,Activision Blizzard,Take Two,Embracer Group,Scopely……すごく多種多様にいろんな会社がありますよね。
 前回王子とお話したときに,王子は「投資を続ける目的は連携である」とおっしゃってました。ではその連携のために,お金を投資しようとする会社のどんなところを見て決定するんでしょうか。

Ward氏:
 まず一点説明させていただきたいのですが,いま言及された投資の中には,いくつかPIFによって行われた投資があります。
 PIFは,SavvyGamesが設立される前と後の両方で,カプコン,任天堂,ネクソン,NCSOFT,Take-Two,Activision,EA……あともう一つどこだったかな。それらに投資しています。これらの投資は「利益を上げる」という財務的なリターンを目的として,PIFが行ったものです。

4Gamer:
 お恥ずかしい……! 私は,PIFとSavvyの投資の違いを認識できてなかったんですね。Savvy自体がPIFによって作られたものだということもあり,全部Savvyが投資したものだと思い込んでましたし,実際にそう書いてある報道も多くありますよね。

Ward氏:
 いや,本当に分かりづらいですからね。
 一方でSavvy Gamesは,EmbracerやScopely,そのほかいくつかの企業に投資しています。先ほど名前が出たような,PIFが持っている大手企業の株式は,来年以降Savvy Gamesに移管される予定です。そうなったら,これらの企業とどのように協力していくかをSavvyが検討することになります。

4Gamer:
 あ,移管されるんですね。それは意外でした。

Ward氏:
 なので私たちは,単に財務的なリターンだけでなく,例えばこれらの企業と共にeスポーツをどのように成長させていくかとか,これらの企業がMENA地域に進出してビジネスを拡大するためにどのように支援できるかなどを考えます。もしくは,もっとほかの素敵なアイデアがあるかもしれませんが。

※MENA(Middle East & North Africa):中東および北アフリカ地域の国々を指す略称。「ミーナ」と読む。サウジアラビアのほかに,アラブ首長国連邦(UAE),アルジェリア,エジプト,イラン,モロッコなど,22の国と地域が含まれている(外務省

4Gamer:
 MENAは「これから」のマーケットですしね。

Ward氏:
 最後に,M&Aにおける私たちの投資戦略としては主に,「MONOPOLY GO!」のような特別なタイトルや,なんらかのジャンルをリードするチームを見つけ,それが私たちに別のヒット作をもたらしてくれるようにすることです。
 Scopelyには,「Star Trek Fleet Command」や「MARVEL ストライクフォース」などのヒット作がいくつかあります。私たちの目標は,そのような特別なタイトルをさらに見つけ出すことだと思います。

「Star Trek Fleet Command」(邦題:スター・トレック:艦隊コマンド)
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4Gamer:
 Savvy Gamesは,副会長であるフェサール王子を始め,ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が会長であったり,サウジ王族とのつながりがとても強いですよね。そして一方で,サウジアラビアの政府系ファンドであるPIFが作った組織でもあります。
 サウジアラビアという国において,政府と王族が密接に結びついていることはもちろん知っていますが,Savvyという会社はどちらのミッションを達成することを目的としている組織なのでしょうか。政府系なのか,王族なのか,もしくはSavvy独自のミッションがあるのか。

Ward氏:
 なるほど。その質問に対しては「Savvyには独自のミッションがあります」とお答えします。
 PIFは,「ビジョン2030」の実現につながる投資を行う責任を負っています。ご存じのように「ビジョン2030」は,石油・ガスへの依存から脱却し,社会をより現代的な方向へと変革するための国家的なロードマップです。PIFは13の産業分野に投資することで,これを実現する責任を負っているのです。

4Gamer:
 はい,そこは存じています。石油からの脱却は,サウジにとって喫緊の課題であることも。

Ward氏:
 そうですね。そしてその13の産業分野のうちの1つのセクターに,エンターテイメントが含まれており,エンターテイメントの中で最も大きな部分を占めるのが「ゲーム」なのです。これが,PIFがSavvyを通じてゲームに多額の投資を行うことに関心を持っている理由です。
 そしてSavvyのミッションは,世界一のゲーム・eスポーツ企業を立ちあげ,サウジアラビアを世界的なゲームハブとして発展させることです。

4Gamer:
 Savvy GamesやPIF,そして皇太子のMiSK財団とかいろいろあって,日本人的にはちょっと難しいんです,そのあたりのボーダーラインが。

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Ward氏:
 あぁ,そこはとても簡単ですよ(笑)。
 PIFは,国家主権基金(Sovereign Wealth Fund)なので,さまざまな分野に投資を行っています。国内およびMENA地域に約75%……いや80%くらいありそうですね,80%を国内およびMENA地域への投資としていて,約20%くらいをグローバルに投資しています。
 グローバルでは,主に財務的なリターンを目的として公開株式に投資していて,MENA地域においては,過去5年間で200社以上の企業を立ち上げ,「ビジョン2030」の下で多様な分野に投資しています。
 MiSKは皇太子自身が持っている財団で,ゲームやアニメ,漫画など含め,彼自身の資金で多岐にわたる投資を行っているところです。そしてSavvy Gamesは,PIFのエンターテインメント部門の一部なのです。

4Gamer:
 なるほど,すっきりです。すごく分かりやすいです。

Ward氏:
 あはは,それはよかったです。どういたしまして。


日本のゲーム業界も,MENAを目指したほうがよい……というお話


4Gamer:
 時間も残り少ないですが,eスポーツの話題に移ってもいいですか。

Ward氏:
 もちろんです。

4Gamer:
 ESLやFACEITを買収したのは知っていますが,そういう「買収案件」以外で,Savvyがeスポーツ業界に貢献していることは何ですか?

Ward氏:
 ESLとFACEITから始まり,その後アメリカでVindexを買収し,中国のVSPOに30%の投資を行いましたが,これによって現在,グローバルマーケットの約40%のシェアを持っているわけです。
 そして我々は,サウジアラビアのエコシステム構築を支援することに注力するようになりました。現在では,EFG,ESL FACEIT Groupが過去2年間,リヤドで開催された大規模なトーナメント「Gamers8」の運営を担当してきました。
 今年はサウジアラビアのEsports World Cup Foundationのために,「Esports World Cup」を開催します。そしてほかにも「Counter-Strike」や「Dota」などのトーナメントも行われています。

2022年に発足した,超巨大イベント「Gamers8」は,今年から「Esports World Cup」に変わり,7月3日から8月25日まで,サウジアラビアのリヤドで開催される
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ESL FACEIT GROUP ACQUIRES VINDEX TO STRENGTHEN POSITION AS GLOBAL LEADER IN ESPORTS & VIDEO GAME ENTERTAINMENT(Vindex)


4Gamer:
 なるほど。ということは……

ーーーすみませんが次が最後の質問です。

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4Gamer:
 え,ラストクエスチョンですか……難しいな,何にしようかな……。

Ward氏:
 ハハハ! ゆっくり考えていいですよ(笑)

4Gamer:
 ちょっとだけ考える時間をください(笑)。
 ……ええとですね,最後の質問は,あなたの経歴をヒントにして一つ質問させてください。

Ward氏:
 どうぞ。

4Gamer:
 ご存知かもしれませんけれども,日本の多くのゲームメーカーは,伝統的にあまりグローバル展開を目指そうとしません。日本という国だけで,ある程度の規模のビジネスができてしまうからという理由もあると思いますが,さすがに昨今ではそれもだんだん厳しくなっている気がしています。
 これから日本のゲーム業界が,さらなるグローバル展開を見据えて動き出すとして,ゲーム業界のさまざな部分を経験したあなたから,何か日本のゲーム業界に対してアドバイスはありますか?

Ward氏:
 それについては,お伝えしたいことが2点……いや,3点ありますね。
 まず誰もが知っていることですが,過去30〜40年にわたり,日本企業のゲームは世界中で非常に人気を博してきました。特にMENA地域では,対戦型格闘ゲームや日本企業の象徴的なゲームが,過去から現在まで非常に人気なのです。
 2つ目は,我々の業界においては日本企業が,最も代表的な存在だということです。ゲームは日本から始まったのです!
 そして3つ目は,いま世界にはまだ開拓されていないポテンシャルのある市場が潜んでいるということです。例えば南米やMENAがそうです。MENAはまだ世界で19番目に大きな市場に過ぎませんが,この地域には22の国と地域があり,5億人の人口と,2億8800万人のゲーマーがいます。これは,北米や西欧よりも多いゲーマー人口なのです。

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4Gamer:
 データとしては見ていますが,本当にそんなにいるんですね。

Niko Partnersの2023年MENA-3のゲーム市場分析によると,2023年のMENA-3ゲーム市場は,前年比7.8%増の19.2億ドル(約2995億円)の売り上げが記録されている。ゲームプレイヤー数は前年比2.9%増の6840万人に達し,ゲーマーの76%は35歳以下だ。そしてサウジアラビア(KSA)はMENA-3のゲーム収益で最大の市場であり,2023年には地域の収益の半分以上を生み出している(nikopartners「MENA-3 GAMES MARKET REPORT」)
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Ward氏:
 そう。そして日本企業ブランドの認知度や,過去20〜30年間に諸外国で蓄積された日本タイトルのプレイヤー数をベースに考えると,日本企業がMENA地域でローカライズをすれば,大きなビジネスを展開できる可能性は非常に高いと思います。とても素晴らしい機会だと思いますよ。

4Gamer:
 なるほど。ありがとうございます。これをぜひ記事にして,日本のゲーム業界に知らせないと。

Ward氏:
 ぜひそうしてください(笑)。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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Savvy Games Group公式サイト




 というわけで割と早めにWard氏とのインタビューが終わってしまったのだが,ふと横を見るとフェサール王子が休憩されていた。「1年ぶりですね!」というご挨拶をさせてもらったあとで,「5分だけ時間をもらえませんか?」とお願いしたところ「OK,5分なら大丈夫です」とのことで,ほんのちょっとだけお話する時間をいただけた。
 いつも気軽にご登場いただいているが,正真正銘サウジアラビアの王子であってやんごとなき人なので,毎回のことだがキチンと紹介させていただきたい。

画像集 No.019のサムネイル画像 / [インタビュー]世界のゲーム業界で強い存在感を放つ「Savvy Games Group」とサウジアラビアは,何を目指しているのか。CEOであるBrian Ward氏とフェサール王子に,直接お伺いしてみよう
 正しい名前は「His Royal Highness (HRH) Prince Faisal bin Bandar bin Sultan Al Saud」。報道では普通「ファイサル王子」「ファイサル・ビン・バンダル王子」と書かれることが多いが,初めてお会いしたときに日本語での表記はフェサール王子で,と言われているので,そう記す。
 お父様は,スルタン(皇太子)家に生まれて長く駐米大使を勤めたことで有名なバンダル王子(HRH Prince Bandar bin Sultan bin Abdul-Aziz Al Saud)で,お母様は第三代国王(ファイサル国王)の娘であるハイファ王女。バンダル王子は,総合情報省長官,国家安全保障会議事務局長を歴任し,前国王の特別顧問として積極的に外交交渉を行ったことでも有名だ。そればかりか,お姉様であるリーマ王女は駐米大使で,お兄様であるカリード王子は駐英大使という,もはや庶民にはよく分からないレベルのご家庭だ。
 フェサール王子自身は米国で学んでいたが,2005年に米国よりサウジアラビアに戻り,2017年からはサウジアラビアeスポーツ連盟(SEF)の会長に就任,2023年末には,国際eスポーツ連盟(International Esports Federation:IEFS)の会長にも就任した。そして,ゲーム業界をサウジアラビアに立ち上げて,その開発力を世界レベルにしたいと願う若き王族でもある。
 そればかりではなく,「SASUKE」のアラビア語版(関連記事)を作ったり,「風雲!たけし城」のサウジ版(関連記事)を作ったり,日本大好き,和食大好き,エンタメ大好き,ゲーム大好き,の人でもある。

フェサール王子:
 またお会いできてうれしいです。

4Gamer:
 ちょうど1年ぐらい前に,小島監督のところにご一緒して以来ですね。

フェサール王子:
 あの訪問ができたのは,いまでもエキサイティングだと思っています。小島監督の大ファンですので!

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 ある日,サウジアラビアのフェサール王子が言った。「小島監督に会いたい」と。ダメ元でお願いしたら,なんと小島監督自ら,フェサール王子のためにオフィスツアーをやっていただくことに……!

[2023/05/11 12:00]

4Gamer:
 よく存じています(笑)。
 今日はSavvyのCEOのインタビューの時間をもらえたのでお伺いしたんですけど,王子にもいくつか聞きたいことがあるので,ちょっとだけお時間よろしいでしょうか。先ほどお付きの人に「5分ならいいですよ」と言われました。

フェサール王子:
 今日は5分しかなくてごめんなさい。

4Gamer:
 いえいえ,本来は今回お時間をもらえなかったはずなので。
 ……さて,今まで何度かお会いして色々なお話をさせていただいている中で,サウジアラビアという国がeスポーツやコンピュータゲームに注力する理由は,サウジの「ビジョン2030」に端を発すると思っているんですが,実際のところ当時,ほかの選択肢というのは候補に挙がらなかったのでしょうか。例えばそれは,映画であったり,アニメであったり。

※2016年4月に始まった,サウジアラビアの「ビジョン 2030」は,石油への依存を減らし,経済を多様化するための国家レベルでの戦略変革プログラムである(JETRO

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フェサール王子:
 あなたが本を読むとき,誰かが何かをした記録を読むことになります。映画を観るときも,誰かが何かをしたことを観るわけです。でもゲームをプレイするときは,違います。あなたがゲーム世界にいてプレイをしているわけで,プレイヤー自身がまさに主人公なんです。
 ですのでゲームは,ストーリーテリングとカルチャーを拡散するということに対して,一番エンゲージメントが高い媒体になるのです。自分自身がその世界を歩いているのであって,他人の道を歩いているわけではないからです。ゲームという媒体が好きな理由の1つが,それです。

4Gamer:
 なるほど,分かりやすい理由だと思います。サウジはストーリーテリングが得意だという,かつての王子のお話もありましたしね。
 そしてそのあと発表された「国家ゲーム・eスポーツ戦略」では,いつも王子が気にされている,主となる4つのKPIをはじめ,さまざまなものが掲げられたと記憶しています。

※2022年9月に,サウジアラビアが「国家ゲーム・eスポーツ戦略」を発表した。ゲーム開発やeスポーツなどの各分野で86のテーマが掲げられ,サウジのゲーム産業全体のKPIとして,サウジをeスポーツイベントの最も有力な拠点とすること,サウジ国内のゲーム会社の数を250社に増やすこと,2030年までにサウジ拠点のゲームスタジオから30以上のタイトルがトップ300に入ること,国民一人当たりのeスポーツ選手数を世界三位以内とすることなどが挙げられている。

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 2023年8月23日,「CEDEC 2023」にてアラブ諸国のゲーム市場・産業について知ることができるセッション「アラブ諸国のゲーム市場・産業,2023年の現状と将来 〜何故サウジアラビアは日本のゲーム会社の株を買い,ゲームに5兆円超を投資するのか?〜」が行われた。

[2023/08/24 14:42]

フェサール王子:
 そう……我々は,たくさんのKPIを持っています(笑)。
 その中で常に念頭に置いているのは,夜中に眠れないほど考えてしまうこともあるんですが……,
・サウジアラビアベースの会社を250社立ち上げること
・500億ドル(約7兆8000億円)のGDPを生み出すこと
・3万9000人の雇用を創出すること

ということです。

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 FIFAワールドカップで世界が盛り上がっている中,JOGA(日本オンラインゲーム協会)とサウジアラビアeスポーツ連盟(SEF)がMOUを締結するという情報が入った。eスポーツとは直接の関係はなさそうだが,なんの目的だろうか。

[2022/12/05 08:00]

4Gamer:
 はい,存じています。
 王子とお知り合いになれてから6年以上が経ちますが,いつもそのお話はお伺いしています。そしていま改めてお聞きしたいのですが,それらの達成度合いは何パーセントぐらいだと思いますか?

フェサール王子:
 おお……厳しい質問が……。ゆっくりではありますが,確実に目標に近づいていますよ。正確な割合はちょっと把握できていませんが,例えば会社数で言うなら,ここ2年間でおおよそ40〜45社ほどを立ち上げています。
 成長は予想通りで,これまでの努力が実を結んでいます。ただまあ,目標の数字に到達するまでは安心できませんけどね(と微笑み)。

4Gamer:
 でも「サウジをeスポーツの有力拠点にする」という目標は,ほぼ達成できているのではないでしょうか。

※2022年の「Games8」では既に,61の国と地域から約140万人がサウジアラビアを訪問し,オンライン配信の総視聴者数は1億3200万人を数えたことが発表されている

フェサール王子:
 そう願っています。
 いつかもお話しましたが,人々がeスポーツについて話すとき,日本や韓国,アメリカならカリフォルニア,あとカナダ……大体そういった場所を思い出すと思います。
 サウジもその中に加えたいですね。ゲームやeスポーツの話題になった時に、ほかの国々と同じように,サウジアラビアのことが自然と頭に浮かぶようになってほしいのです。

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4Gamer:
 最初にお会いしたときは,「来年は大きな大会をしたいと思っている」とおっしゃっていましたけど,もう世界の誰も追いつけない規模の大会を開いてると思うのです。

フェサール王子:
 まだまだですよ!

4Gamer:
 では最後の質問です。「日・サウジ・ビジョン2030」を改めて見てみたんですが,2国間協力のテーマとして「ゲーム産業」についての言及もありますよね。いままでの日本とサウジのゲーム業界は,企業レベルでの協業などがメインだったわけですが,今後はもしかしたら,企業レベルではなくて政府レベルでの協力が打診されるという可能性もあるということですか?

フェサール王子:
 その通りです。
 私たちのコラボレーションや関係性は,あらゆる場面で築かれます。政府レベルはもちろん,ビジネスやコミュニティに至るまで。特にゲーム分野においては,これらの関係性やコラボレーションを構築し,さらに拡大していくことを目指しています。そんな提携関係を,減らすのではなくて増やしていくことが大事なのです。

4Gamer:
 なるほど。おそらくですが,日本の政府はゲーム関係で協力を求められても受け入れが難しそうなので,国家レベルで準備しておかないとダメですね。

フェサール王子:
 ぜひよろしくお願いします(笑)。

4Gamer:
 お時間のない中,ありがとうございました。

――2024年5月24日収録
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