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日本におけるインディーゲームの現在地とは。インディーゲーム開発者でもある一條貴彰氏が語る,投資や資金調達の課題とその打開策
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印刷2026/04/17 12:00

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日本におけるインディーゲームの現在地とは。インディーゲーム開発者でもある一條貴彰氏が語る,投資や資金調達の課題とその打開策

 インディーゲームが盛り上がりを見せているというのは,多くのゲーマーが肌で感じている事実だろう。経済産業省や文化庁などの公的機関も,ゲーム開発者への支援策を展開し,日本のコンテンツ輸出における重要なポジションの一つとして,インディーゲームが注目されている。

 日本のインディーゲーム分野における課題の一つとして,インディーゲームプロジェクトへの投資機会が,諸外国に比べ限られているという意見がある。その現状はどうなっているのか。そもそも個人や小規模チームの独立した開発者によるゲームへの「投資」とはどんなものか。
 インディーゲーム分野へ新規参入する企業に向け,日本におけるインディーゲームの現在地から,それを取り巻くイベントや支援活動などを整理し,開発資金調達の現状を解説するセッションが行われたので,レポートする。

セッションを担当した一條貴彰氏(@ttwcodeout)。ヘッドハイ代表として,「iGi」「創風」などのインディーゲーム支援活動や,インディーゲーム開発者向けカンファレンス「IDC」の主催に加え,自身でもゲーム開発をしている人物だ
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 インディーゲームの開発にはさまざまなモチベーションがあるが,本記事で紹介するセミナーは,「世界でヒットを目指す」ことをテーマにしている。
 ただし前提として,すべてのインディーゲーム開発者が成功を目指すべきだ,というようなことは一切主張していないと,一條氏は強調した。

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 本セミナーの目的が,成功を目指している開発者のチャンスを増やす目的に設定されているだけである。一條氏自身が開発しているゲームは,むしろ趣味としての面が大きいそうだ。

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 本セミナーにおけるインディーゲームとは,独立した小規模または少人数スタジオによる,オンラインストアで販売されるデジタルゲームとしている。
 一條氏は,インディーゲームとはゲーム産業の中での開発/制作スタイルの1つであり,「インディーゲーム業界」というものが独立して存在するのではなく,あくまで働き方のひとつであると考えている。

 その理由について,インディーは既存のゲーム会社と規模が違うだけで,プラットフォームも同じで,技術も同じ,「プロ」と「アマチュア」の明確な線引きというものはなく,グラデーションになっている,と付け加えた。

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 投資関係者に向けた重要な情報として,一條氏は,インディーの「小規模」は,成長過程ではなく,これを維持することが多いと説明した。基本的に会社を成長させて売却するといったことは目指しておらず,大小することはあるが,数名でずっと作り続けているような形だ。
 この点は,漫画家に近いともいえる。

 なお,同人ゲームについては,インディーゲームと基本的には同じという。強いて違いを挙げるとすれば,活動の中心としている場所だろう。同人ゲームがコミックマーケットなどの即売会であるのに対し,インディーゲームはSteamやコンシューマ機が中心ともいえるが,最近はそれすらも曖昧になりつつある。

インディーゲームの現在地


 グローバルのゲーム市場に目を向けると,2024年に前年比5.0%増の31兆42億円を記録し,2026年から2030年にかけて年平均6%で成長するとみられている。
 2030年には3500億ドル(約52兆5000億円)規模に達する見通しも報道されている。

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 とくにPCゲーム,Steamの躍進が寄与している。新作ゲームの収益は,過去10年間で約10倍に,Steam利用者数は年間約340万人ベースで増加した。
 年間10万ドル(約1500万円)以上の収益を上げるタイトル数は,2020年の約3000本から2025年には約5800本へとほぼ倍増している。

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 開発者会議「GDC Festival of Gaming 2026」で,Valveによる講演「Steam Annual Update: The Latest on Steam in 2026」が行われた。Steamの最新データや改善事例,そしてデベロッパへの具体的なアドバイスが語られた本講演の内容を紹介しよう。

[2026/03/11 19:42]

 インディーゲームはこの成長をけん引していて,2024年のSteamにおけるインディーゲームの収益は40億ドル(約6000億円)に達し,全体の48%を占めるまでに成長しているという分析も公開されている。


 ゲーム産業への投資も成長しているそうだ。2024年の投資総額およびM&Aは,175億ドル(約2兆6000億円超)に達し,前年比で投資額は39%増加,件数は16%増加と大きく伸びている。
 なかでもインディースタジオ向けが43億ドル(約6400億円)を占めており,ゲーム特化型のベンチャーキャピタルも登場している。

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 こうした成長市場のなかで,日本からも優れたインディーゲームが次々と登場している。
 一條氏は,「天穂のサクナヒメ」(売上150万本/テレビアニメ化/農林水産省とのコラボ),「PICO PARK」(海外中心に売上500万本),「違う冬のぼくら」(全世界売上100万本)などを一例として紹介した。

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 ここ数年の作品では,「8番出口」「都市伝説解体センター」「Öoo」が印象的である。

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 2024年11月30日にインディーゲームに関する知見やノウハウを共有するイベント「Indie Developers Conference 2024」が開催された。本稿ではその中で行われた講演のひとつ,「8番出口」の作者コタケ氏による「8番出口開発振り返り 短編ゲームを作るには」のレポートをお伝えしよう。

[2024/12/03 17:09]

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 2025年のインディーゲームシーンを語るうえでも欠かせない,墓場文庫のアドベンチャーゲーム「都市伝説解体センター」。広い層に受け入れられて高評価を受けた本作には,「誰でもクリアできるゲーム」として成立させるための設計思想があった。その“挑戦と結果”をテーマとしたセッションをレポートしよう。

[2025/11/21 17:00]

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 2025年11月15日,インディーゲーム開発者向けカンファレンス「IDC2025」が開催された。本稿ではそのセッションのひとつ,「ElecHead」「Öoo」などを手がけたインディーゲーム開発者・生高橋氏の「『Öoo』のつくりかた」のレポートをお届けしよう。

[2025/11/20 11:59]

 今後登場予定の「34EVERLAST」「グレイシャード」といったタイトルも紹介され,日本のインディーのほとんどは自己資本(投資用語的には,内部留保)で,リソースを工夫しながらハイクオリティなゲームを作っている,と一條氏は述べた。

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34EVERLAST(公式サイト
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グレイシャード(公式サイト


日本のイベント/コミュニティ/インキュベーションプログラム


 次に,日本のインディーゲームを支えるエコシステムの説明に移った。

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 日本の代表的なインディーゲーム展示会として,「デジゲー博」「BitSummit」「東京ゲームショウ(インディーゲームエリア)」の3つが紹介された。
 また,各地域のコミュニティ主催イベントや,Phoenixxの「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」やハピネットの「ハピネットゲームフェス」などパブリッシャ主催のイベントもある。

代表的なインディーゲーム展示会
・「BitSummit PUNCH」(公式サイト
開催日:2026年5月22日〜24日
場所:京都市勧業館 みやこめっせ

・「東京ゲームショウ 2026」(公式サイト
開催日:2026年9月17日〜9月21日
場所:幕張メッセ

・第14回「デジゲー博 2026」(公式サイト
開催日:2026年11月8日
場所:秋葉原UDX2階 アキバ・スクエア&4階 UDXギャラリー

各地域のコミュニティ主催イベント例
・[東京]東京ゲームダンジョン(公式サイト
・[京都]OPEN GAME FEST(公式サイト
・[大阪]ゲームパビリオンjp(公式サイト
・[仙台]INDIE GAME MARKET(公式サイト
・[札幌]SAPPORO GAME SPHERE(公式サイト
・[福岡]福岡インディーゲームエキスポ(公式サイト
・[兵庫]神戸ゲームラビリンス(公式サイト
・[愛知]愛知ゲームキャッスル(公式サイト
・[埼玉]ぶらり川越 GAME DIGG(公式サイト

動画配信イベント
・INDIE Live Expo(公式サイト


 開発者同士のコミュニティも活発で,毎月秋葉原で開催されるTokyo Indiesや,京都のKYOTO PLAYROOMでは,開発者が作品をテストプレイし合ったり,技術やノウハウを情報交換したりしているという。


 オンラインではSlackやDiscordを通じて開発ツールごとに繋がっているケースが多く,Unityゲーム開発者ギルド,GameMaker日本語コミュニティ,Godot Japan User Communityなどが例にあたる。

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 一條氏が代表を務めるヘッドハイを含む3社が立ち上げたインディー開発者向けカンファレンス「Indie Developer Conference」は,300名から400名の開発者が集まるほどに成長もしている。

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 インキュベーションプログラムの「iGi indie Game incubator」(iGi)は,半年間400時間のメンタリングを非営利活動として提供している。
 そのため,iGiではパブリッシングは行わないが,最後にパブリッシャや投資家とのマッチングにつなげる取り組みも行っており,作品単体ではなく,チームやスタジオが持続的に開発ができることを目標にしている。

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 インディーゲーム開発者向けインキュベーションプログラム「iGi indie Game incubator」が,現在第4期生を募集している(2月15日まで)。そこで今回,このプログラムのキーパーソンに,これまでの成果と第4期への展望を聞いた。

[2024/02/09 12:40]

 さらに,政府による支援プログラムも登場している。経済産業省主催のアクセラレーションプログラム「創風」も,2024年に始まり,先日2026年度の実施と募集が開始された。補助金やメンタリングを提供し,メンターは海外展開を見据えた布陣となっている。

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 2026年2月20日,経済産業省のクリエイター・エンタメスタートアップ創出事業「創風」(そうふう)2025年度におけるゲーム部門の最終成果発表会が東京都内で開催された。発表会では,採択されたクリエイター20組のうち15組が,成果物のプレゼンテーションを行った。本稿ではその模様をお伝えする。

[2026/03/07 12:00]

 上記のようにインディーゲームを支援する体制や,それを取り巻くコミュニティにはさまざまなものがすでにある。これらを説明したうえで,今足りないものは,民間出資による支援である,と一條氏は説明した。

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インディーゲームの開発資金調達の現状


 インディーゲームの基本的なビジネスモデルは,ゲームを作って,それをSteamなどのストアで売り,収益を得るというものだ。グッズや追加パッケージなどの副次収入も挙げられる。
 発売後は,定期的なセールで売り上げの山を作りながら,次のタイトルへ開発資金を回していく。運営型であれば,ゲーム内アイテムの販売も含まれる。

 販売は主に2つのパターンに分かれ,開発者側が販売に関することをすべて行うセルフパブリッシングと,販売業務をパブリッシャに委託し,レベニューシェアで売り上げを分けるパターンだ。

 ここで一條氏は,インディーゲームパブリッシャと大手ゲームパブリッシャの違いに触れた。大手は自社開発チームを持っていたり,外部に開発委託をしたりするが,インディーゲームパブリッシャは開発者が自ら作ったゲームと契約して販売を行うため,開発委託をする業態ではないのだそうだ。

 完成が近いゲームに対し,ストア配信の作業や,開発機材の貸出,ローカライズ,品質チェック,マーケティング,カスタマーサポートなどでビジネスを支援する関係になる。この関わり方でレベニューシェアの割合も変化する。

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 日本では,上記のレベニューシェア型がほとんどで,パブリッシャが開発資金を提供する事例は少ない。

 海外では試作品のピッチを受けて開発資金を投じるパターンがあるが,日本で多いケースは,開発者が自力でほぼ完成させたゲームと契約し,売上をレベニューシェアする形だと一條氏は語った。

 日本ならではの仕組みとして,ゲーム販売型コンテストも紹介された。主催企業がコンテストを実施し,入賞作品に開発資金を提供する。
 資金はマイルストーンごとの分割払いで,発売後に売り上げから回収するという仕組みだ。
 スタジオやプロジェクトへの直接的な投資がほとんどなかった日本で,こうしたコンテスト型の枠組みが生まれてきたのはユニークだ,と一條氏は評している。

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 資金調達の1手段として,クラウドファンディングも取り上げられた。開発資金をゼロから集める手段として考えると,かなり難しいというのが一條氏の見解で,現在はマーケティング手段として使われる形に落ち着いているという。

 ゲームの完成見込みがすでにある上で,Nintendo Switch版やVR版,豪華特典版などをストレッチゴールに設定するというのが現実的な使い方だと話した。

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海外の出資事例と日本国内の投資


 海外のインディーゲーム出資事例も紹介された。「Morbid Metal」は個人開発からUbisoft(フランス)の出資でスタジオ化,「Dinkum」も個人開発からKRAFTON(韓国)の出資でスタジオ化されている。

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 新作アクションゲーム「Morbid Metal」(モービッド メタル)は,もともと個人開発からスタートし,現在はインディースタジオScreen Juiceとして開発規模を拡大した。大学生時代から開発を続けているFelix Schade氏がTGS 2025で初来日していたので,これまでの開発経緯などを教えてもらった。

[2025/09/28 14:20]
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 全世界で100万本を超えるヒット作となり,パブリッシャとしてKRAFTONを得たサバイバル・クラフト&ライフシム「Dinkum」。作者のJames Bendon氏がたった1人で完成させた作品としても有名だ。夢の実現のためにこれまでどんな苦労があったのか,たっぷりと聞いてみた。

[2025/09/12 23:00]

 日本のスタジオでは,2人組のマルミッツゲームスがAnnapurna Interactive(アメリカ)の出資で「D-Topia」を開発している。

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 インキュベーションと投資が組み合わさった事例として詳しく取り上げられたのが「Clair Obscur: Expedition 33」である。
 開発チームはフランス・モンペリエのインキュベーションプログラム「Montpellier Game Lab」の卒業生で,コアメンバー4人からスタートした。

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 オクシタニー地域圏の助成金でプロトタイプを制作し,その後Kepler Interactiveから出資を受けている。チームは最終的に35人規模にまで成長し,大規模なマーケティング支援を得て,全世界で500万本を突破した。
 地域の助成金から始まり,インキュベーションを経て,VCからの出資という段階的なステップアップの例として,一條氏はこの事例を紹介していた。

 一方,日本国内の投資事例はまだ少ない。VRゲーム開発で,MyDearestがグロービス・キャピタル・パートナーズやSMBCベンチャーキャピタルなどから,Character BankがマネックスベンチャーズやTHE SEEDなどから資金提供を受けた事例を紹介した。
 こうした日本から日本への出資をもっと増やしていきたい,そのために開発者として何ができるかを考えている,と一條氏は語った。

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インディーゲーム投資の難しさ


 ただし,「ガンガン投資しましょう!」というわけにはいかないのが難しい点だ。
 Steamでは2025年に約2万本近いタイトルがリリースされており,そのうち資金回収+αができているのは10%程度とされている。

 新作でヒットしているのは全体の29%にとどまり,残り70%は過去の名作が売れ続けている分にあたる。
 Steamの表示アルゴリズムはプレイヤーの嗜好に基づいてゲームを表示する仕組みで,お金を払ってPR枠を買うことができない。一條氏はこの仕組みを「開発者にとっては嬉しいが,事業として見ると難しい」と評した。

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 日本国内では,ゲームスタジオ側がVCから出資を受けることを学ぶ機会自体が少ないことも課題だという。

 ゲーム開発からチームアップして法人化,というキャリアデザインがまだ一般的ではなく,投資を受けて作品を磨けるという実感も事例が少ないため,イメージを持ちにくい。

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 昨年一條氏は,1年間にわたりエンタメ系のピッチイベントに直接足を運び,技術系スタートアップにはVCとの接点があるが,ゲーム作品やゲームプロジェクトとなると一気に機会がなくなると感じたという。

 ゲームプロジェクトの目利きの難しさも関係している。一條氏はインキュベーターやアクセラのアドバイザーとして,数多くのゲームプロジェクトの技術評価を行ってきた経験から,一見映像がきれいに見えたとしても,実際の完成可能性や技術力は測れないと話す。
 実際にプロジェクトデータを技術的に分析し,コードを含めた品質はどうなのかを評価する技能が必要となる。

 コーディングを外注している場合は,作業者が去ると完成ができない,といった問題もある。別の人に引き継いでとにかく完成させる,というのがゲームでは難しく,作品を完成させられるかどうかも確認する力を養う必要がある。
 また,投資家が注目しがちな技術と,インディーゲーム市場との相性は良いとは限らず,そのミスマッチも課題になりうると一條氏は指摘した。

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投資用語をゲーム開発に当てはめる試み


 今回のセミナーは,VC関係者も参加しており,投資用語をインディーゲーム開発で説明する試みも行われた。

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 まず,評価対象となるビジネスモデルは,ゲームプロジェクト自体の強み(USP:Unique Selling Proposition,独自の強みを説明したもの)と,開発チームの強みと置き換える。
 MVP(Minimum Viable Product,必要最小限の機能を備えた製品)は,ゲームのコアとなる体験を最初から最後まで遊べるバーティカルスライスにあたる。

 エグゼキューション(計画を実行するフェーズ)は,ゲームの面白さを追求し,物量を作っていく開発と量産フェーズといえる。物量については,プレイ時間と説明し,ゲームの満足感を高める以外にも,Steamでは2時間以上のプレイがないと返金リスクがある背景も紹介された。

 次に,トラクション(現状と今後の成長などを示す具体的な数値)については,Steamウィッシュリスト数や,Discordサーバーのメンバー数とアクティブ率といったコミュニティユーザー数が相当するであろう,と一條氏は順に説明した。


投資家・開発者・行政への提言


 セッションの締めくくりとして,投資活性化に向けた提言が投資家・開発者・行政の3者に向けて行われた。

 投資家に対しては,ゲーム展示会やインキュベーションプログラムのピッチイベントに足を運ぶことを勧めた。ただし,展示会に出ているゲームはすでにパブリッシャ契約が締結されている可能性がある点に注意が必要だという。

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 ゲーム開発者の信頼を得ることも重要で,ゲーム技術が現場でどう使われているかの肌感覚を持ってほしいとした。投資プロジェクトを立ち上げるなら,ゲーム産業の経験者をチームに加えてほしいとも述べた。

 投資の形態としては,ヨーロッパのHiro Capitalのような地域特化型のゲームVCや,ファイナンスや事業運営の人材をスタジオに送り込むハンズオン型が,インディーゲームの現場にあるといいのではないかと提案している。

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 開発者に対しては,投資家の言葉で自分のプロジェクトを説明できるよう,具体的な事業計画を作ることが必要だと呼びかけた。
 iGiや創風では,そうした訓練を行っている。エンタメ系のピッチイベントに参加して投資家との接点を持つことも勧めつつ,もっと多くの場で学べるようにと,今回のセミナーはその一環で開催したという。

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 行政に対しては,持続可能なエコシステム構築に向けた支援や,未来の作り手の創出に力を入れてほしいと思いを語った。

 投資家には国内開発者への出資を活性化させるような補助金を,開発チームにはコミュニティマネジメントなどを強化するプログラムを,そして将来の開発者の裾野を広げるために,プロを輩出するかもしれない少年野球大会のような活動を,と具体例を挙げた。

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 最後に,最近は日本風のゲームを作る海外のゲームスタジオが大きく注目を浴びているが,そういった作品こそ日本から発信していくことに意義があるはず,と一條氏は語り,日本の開発者と日本の出資者が出会って世界に発信していけるゲームコンテンツを生み出せたら素敵だ,とコメントした。

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