アトラスのRPG「ペルソナ」誕生25周年企画。4Gamer掲載記事で振り返る，ペルソナシリーズのこれまでの歩み

　アトラスのRPG「ペルソナ」が，2021年9月20日で25周年を迎えた。

　「ペルソナ」は，特別な力“ペルソナ”に目覚めた主人公とその仲間たちが，さまざまな困難に立ち向かう物語を描く作品だ。「真・女神転生」シリーズの派生作品として，1996年9月20日に第1作「女神異聞録ペルソナ」が登場。2006年7月13日に発売された「ペルソナ3」以降の個性的でスタイリッシュなアートワークや音楽，演出でさらなる評判を呼び，同社を代表するゲームシリーズの1つとなった。

　さて，ペルソナシリーズと言えば，ナンバリング作品のRPG以外にも多くのスピンオフや派生作品があり，またゲームだけではなく，音楽イベントや舞台，アニメ作品などさまざまな展開も見せていることでも知られている。本稿では，そんなペルソナシリーズの歩みを，これまで掲載されたレビューやインタビュー，イベントレポートなどの記事で振り返ってみたい。

「ペルソナ」25周年記念特設サイト

25年の間に誕生したナンバリングタイトルや派生作品

　記事で振り返る前に，まず，これまで発売されたペルソナシリーズ作品をリリース順に並べ，ナンバリング作品（＋リメイクや新要素追加版）とスピンオフ / 派生作品に分けてまとめてみた。
　ここでピックアップしているのは，アトラスからリリースされたコンシューマ向けタイトルおよびそのPC版で，そのほか期間限定で配信された作品，アトラス以外のメーカーからリリースされたPC版やアプリ，アナログゲームなどは除いているが，それでもかなりのタイトル数だ。

ペルソナシリーズ一覧

▼ナンバリング作品（リメイクや新要素追加版を含む）

• 女神異聞録ペルソナ（1996年9月20日。PS）
• ペルソナ2 罪（1999年6月24日。PS）
• ペルソナ2 罰（2000年6月29日。PS）
• ペルソナ3（2006年7月13日。PS2）
• ペルソナ3 フェス（2007年4月19日。PS2）
※ペルソナ3の新要素追加版

• ペルソナ4（2008年7月10日。PS2）
• ペルソナ（2009年4月29日。PSP）
※女神異聞録ペルソナのPSPリメイクタイトル

• ペルソナ3 ポータブル（2009年11月1日。PSP）
※ペルソナ3に新要素追加や仕様変更を行ったPSP向けリファイン作品

• ペルソナ2 罪（2011年4月14日。PSP）
※同名タイトルのPSP向けリファインタイトル

• ペルソナ2 罰（2012年5月17日。PSP）
※同名タイトルのPSP向けリファインタイトル

• ペルソナ4 ザ・ゴールデン（2012年6月14日。PS Vita / PC）
※ペルソナ4の新要素追加版。PC（Steam）版は2020年6月14日発売

• ペルソナ5（2016年9月15日。PS4 / PS3）
• ペルソナ5 ザ・ロイヤル（2019年10月31日。PS4）
※ペルソナ5の新要素追加版

▼スピンオフ / 派生作品

• ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ（2012年3月1日。AC / PS3 / Xbox360）※コンシューマ版は2012年7月26日発売
• ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス（2014年6月5日。3DS）
• ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド（2013年11月28日。AC / PS3）※PS3版は2014年8月28日発売
• ペルソナ4 ダンシング・オールナイト（2015年6月25日。PS Vita）
• ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト（2018年5月24日。PS4 / PS Vita）
• ペルソナ5 ダンシング・スターナイト（2018年5月24日。PS4 / PS Vita）
• ペルソナQ2 ニュー シネマ ラビリンス（2018年11月29日。3DS）
• ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ（2020年2月20日。PS4 / Switch / PC）※PC（Steam）版は2021年2月23日発売

※アトラス以外のメーカーからリリースされたPC版やアプリ，アナログゲームを除く

さまざまな形で楽しませてくれるゲーム新作発表

ついに具体的な発売時期が明らかになるか？　「ペルソナ5」に関係する謎のカウントダウンサイトがオープン（2016年4月22日掲載）

　アトラスの公式配信やイベント。ゲームカンファレンス。謎のティザーサイト……と，これまでさまざまな形で新作が披露されてきたペルソナシリーズ作品。ファンの中にも，イベントや配信番組の告知があると，「ここでどんな発表があるのだろう」とワクワクしながらその日を待っていた人は少なくないはずだ。

　そんな新作発表を，4Gamerが初めてニュースとして取りあげたタイトルは，2009年2月に発表された「ペルソナ」だ。4Gamerは昨年（2020年）8月で20周年。ペルソナシリーズでいうと「ペルソナ2 罰」がリリースされたころにはあったのに，ではなぜそれまで新作発表のニュースがなかったのかというと，いまは知らない人も多いかもしれないが，もともと4GamerはPCゲーム専門の情報サイトで，コンシューマゲームのニュースの取り扱いがなかったからだったりする。

さらに調べてみると，「ペルソナ3」の発表に関するニュースはないけど，“「ペルソナ3」の世界観を体験できるWebゲーム”として公式サイトで公開されていた「ザ・ナイト・ビフォア」のニュースがあった（関連記事）。これもPCゲームサイトだった4Gamerっぽい事象（？）かもしれない（左写真が「ザ・ナイト・ビフォア」で，右写真がそののち配信されたブラウザベースの無料オンラインRPG「ペルソナ アインソフ」）

こちらは2015年2月の「PERSONA SUPER LIVE 2015」開催当日に届いた予告状。同ライブのラストには「ペルソナ5」のPVが初公開された（関連記事）

　“サプライズ発表”と言えば「ペルソナ5」とその派生作品だろう。“心の怪盗団 ”である主人公たちの予告状が届き，指定された配信番組や音楽イベントといった場所で最新情報が公開されるという，怪盗というテーマを生かした告知でファンを楽しませてくれた。
　なお，ペルソナ25周年を記念した1年となるという，2021年9月から2022年秋までの間に，ゲームの新情報の発表が予定されているとのこと。果たしてそれはどのような形で発表され，ファンを驚かせてくれるのか。そのあたりも楽しみな1年となりそうだ。

ちょっと変わった環境での試遊レポートに，作品愛にあふれたディープなレビューも

　格闘ゲームにリズムゲーム，クラシックなスタイルの3DダンジョンRPGと，ナンバリング作品以外にもさまざまなジャンルのゲームで楽しませてくれるペルソナシリーズ。4Gamerでもこれまで，多くの作品をプレイレポートやレビューで紹介してきた。
　「ペルソナ2の『罪』はあるけど『罰』がない!?」なんてこともあったが，「ペルソナ」以降の作品はほぼすべて取り上げてきている。

大スクリーンで行われた「ペルソナ4 ダンシング・オールナイト」試遊会をレポート。パセラコラボカフェが7月20日まで開催中（2015年6月22日掲載）

　発売前のプレイレポートでは，試遊用のデータや製品版を使用するだけではなく，先行体験会や試遊会に参加することもよくあるが，ペルソナシリーズはそれらの試遊イベント自体に趣向を凝らしているものが多く，ゲームのプレイ以外でも楽しませてくれるのが特徴となっている。
　ミラーボール輝くバー（コラボカフェ）で，日中ながらクラブイベントのような雰囲気でキャラクターたちのダンスが堪能できた「ペルソナ4 ダンシング・オールナイト」に，高級感ある会場にゲームが用意された「完成披露プレミアイベント」で試遊できた「ペルソナ5」。もちろん，同じゲームファンがたくさん集う店頭体験会も特別な空間だ。

画像は2016年8月に秋葉原で実施された「ペルソナ5」試遊イベント。試遊だけではなく，グッズや制服，リアル（？）モルガナカーなどの展示も楽しめた（関連記事）

ペルソナ4

　こうしてさまざまな形でゲームをプレイし，その特徴や魅力を届けてきたゲーム紹介記事だが，その中でもとくに一読してほしいのが，フリーライターのマフィア梶田氏が執筆した企画記事「疑似体験が現実を乗り越えるという奇跡。マフィア梶田が「ペルソナ4」の魅力を探る」だ。
　もう7年前の記事だが，「ペルソナ4」に限らない“ペルソナシリーズの根源にあるもの”が語られており，なによりいちファンとして熱量高めにその思いをつづった文章は，最近ペルソナシリーズのファンになったという人にも刺さるものがあるはず。一度読んだ人も初めての人も，シリーズ25周年の振り返りというタイミングで読んでみてほしい。

開発者の思いやゲーム制作の裏側に迫るインタビュー

ペルソナ5

　開発者本人に作品に懸けた思いを聞き，その言葉を届けるインタビュー記事。2012年3月に「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」で，ディレクターの和田和久氏，共同で開発を担当したアークシステムワークスの森 利道氏と井口屋タクミ氏^※それぞれにインタビューをしているが（関連記事1，2），初めてナンバリング作品のインタビューを行ったのは「ペルソナ5」のリリース1か月前の2016年8月。このとき話をうかがったのが，同作品でクリエイティブプロデューサー / ディレクターを務めた橋野 桂氏だ。
※インタビューを実施した2012年3月当時


　「ペルソナ3」以降のペルソナシリーズの中心人物として知られる橋野氏には，その後もインタビューや企画に協力いただいており，2017年8月と9月に前後編で掲載したマフィア梶田氏との対談では，ゲーム制作者を志したきっかけやペルソナシリーズの制作秘話，新プロジェクト「PROJECT Re FANTASY」についてたっぷり語ってもらった。

貴重な資料や動画を見ながら「ペルソナ5」制作を振り返る場面も

　2019年には年末特集として，ペルソナチームの和田和久氏と伊東大輝氏，ペルソナシリーズのイラストやデザインでおなじみ，アートワークチームの副島成記氏のインタビューを掲載。現在のペルソナチームが，多くの派生作品のリリースやコラボを実施した「ペルソナ5」発売以降の3年にどんな挑戦をしてきたのかをたっぷり語ってもらっている。

音楽ライブや舞台，アニメで広がるペルソナの世界

　さまざまなイベントやアニメなど，ゲームを中心にあらゆる展開を見せ，ファンを喜ばせてくれるペルソナシリーズ。そのなかでも中心的な存在と言えるのが音楽ライブだ。
　ロックやヒップホップ，ハウス，アシッドジャズなど，さまざまなジャンルの要素を取り入れ，“Pサウンド”や“ペルソナサウンド”と呼ばれ親しまれている，ペルソナシリーズの音楽。それらをバンド演奏で楽しめるだけではなく，前述のとおり，シリーズの新たな展開を告げる発表の場としても欠かせないものとなっている。

毎回趣向の異なるテーマや演出で楽しませてくれる音楽ライブ。アリーナ，ライブハウス，生配信ありの発売記念イベントなど，会場規模や実施内容もさまざま

　1〜2年に1度のペースで開催されている大型ライブでは，川村ゆみさん，Lotus Juiceさん，平田志穂子さん，Lynさんといったペルソナ楽曲のボーカリストはもちろん，「ペルソナ3」以降のPサウンドを作り上げた目黒将司氏もバンドメンバーとして出演。さらに多くのダンサーやパフォーマーも参加し，回を重ねるごとにそのパフォーマンスや演出がボリュームアップしている。

ペルソナ楽曲のボーカリストたちと目黒将司氏（画像は2019年4月24日と25日に両国国技館で開催された「PERSONA SUPER LIVE P-SOUND STREET 2019 〜Q番シアターへようこそ〜」のもの）

　ほかにも，ライブハウスを会場とした東名阪ツアー，ゲームのリリースを記念した“前夜祭イベント”など，いろいろな形や規模での音楽ライブが開催されており，ここでもペルソナ楽曲のボーカリストやクリエイターが出演し，大規模ライブとはまた違った雰囲気で会場を盛り上げてくれる。

ペルソナの音楽ライブで欠かせない1人であるDJ WAKAさん。画像は「PERSONA LIVEHOUSE TOUR 2015」（関連記事）	「P3D」「P5D」のリリース時には，前夜祭としてオールナイトイベントが行われた。画像は「P3D＆P5D 前夜祭『Persona Show Case』史上最強の姉妹ゲンカ」（関連記事）
「『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』発売直前ニコニコ生放送」では，堂島菜々子役の声優・神田朱未さんがダンスに参加する場面も（関連記事）	「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」の発売記念ミニライブでは，同作品の楽曲を手掛けたアトラスサウンドチームの小西利樹氏がギタープレイを披露した（関連記事）
「ペルソナ5」オリジナル・サウンドトラックCDの発売記念インストアイベントには同作品のボーカル曲すべての歌唱を担当したLynさんが出演した（関連記事）	ゲームだけではなく，ライブBlu-rayとCDの発売記念イベントが行われることも。画像はトークイベント「ペルライはみなさんのおかげで“した”」（関連記事）

東京公演が開幕した「ペルソナ5」の舞台「PERSONA5 the Stage」の会見とゲネプロをレポート。見事な再現度にペルソナファンは注目（2019年12月20日）

　ゲームの世界観や物語を現実に描き出してくれるのが，ペルソナの舞台化作品だ。少年少女たちの絆と成長の物語や強敵とのバトルなどが，ゲームさながらのスタイリッシュな演出とアクションで表現されている。2021年12月に第3弾が上演予定の「PERSONA5 the Stage」では，原作となる「ペルソナ5」のサウンドクリエイターの一人である喜多條敦志氏が舞台音楽を担当。ペルソナの発動や敵シャドウをプロジェクションマッピングで表現するといった演出も特徴的だ。


　ペルソナシリーズの人気を支えているものの一つがアニメ作品。2008年に「ペルソナ3」を原案としたオリジナル作品「ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜」が放映されているが，ペルソナのアニメというと，2011年に登場した「Persona4 the ANIMATION」や2018年放映の「PERSONA5 the Animation」，劇場版4部作として2013年から2016年まで上映された「PERSONA3 THE MOVIE」といった，ゲーム準拠の物語が描かれた作品を思い浮かべる人が多いだろう。


　4Gamerでは，テレビアニメ放映前の先行試写会や劇場版初日の舞台挨拶，主要キャストがそろって出演したスペシャルイベントの取材記事やキャストインタビューで，アニメ版の魅力を紹介してきた。アニメ作品はBlu-ray / DVDが販売中で，各動画配信サービスでも配信されている。アニメは未視聴という人はもちろん，また観たくなった人も，25周年のタイミングであらためて視聴してみてはいかがだろうか。

ディープな公式配信番組に潜入。連載では“肉丼”でペルソナをさらに掘り下げる

　イベントとは異なるが，この企画で触れないわけにはいかないものがある。
　それは，大のペルソナファンである声優の“イソッチ”こと磯村知美さんとマフィア梶田氏がMCを務めた「ペルソナストーカー倶楽部」。2014年2月にレギュラー化したのち，TGSで特別版が実施されたり，名前に“V”が付いたりしながら2017年3月までの約3年続いたアトラスの公式Web番組だ。


　MCが4Gamerとも非常になじみ深い2人ということもあって，収録現場を取材したり，企画に参加したり，最終回の収録を見届けたりしてきたが，“ペルソナに絡めれば何でもあり”な実験的かつ攻めた内容でペルソナを掘り下げる同番組の，“だいたい月イチ”の配信を楽しみにしていた人は少なくないだろう。
　ペルソナストーカー倶楽部はDVD化されているので，ディープな企画や二人の会話，“誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かに見たことある”ような内容の大人気コーナー「ペル空耳劇場」がまた観たいと思った人は，こちらでどうぞ。


　ほかにも，東京ゲームショウやセガフェス2019といったイベントへの出展やトークステージ，アートの展示会，リアル脱出ゲームなどの体験イベント，ファッションブランドやショップとのコラボと，この記事で取り上げられなかったものも多々ある。ほかにもどんなことがペルソナシリーズで行われてきたのか気になる人は，ゲームタイトルのページから，タグ「特集」「レビュー」やキーワード「イベント」「インタビュー」などで検索してみてほしい。

こちらはペルソナシリーズ20周年の2016年12月に開催された「ペルソナ20thフェス」の写真。あれからもう5年……月日が経つのは早いものである

　また，4Gamerでは，連載企画でもペルソナシリーズの魅力を掘り下げている。
　「ミュージック フロム ゲームワールド」や「そうだ アニメ，見よう」ではそれぞれ音楽CDやアニメを，クッキングエンターテイナーの大西哲也氏による連載「俺のコラボカフェ」では，「ペルソナ4」に登場する中華料理店「愛家」の人気メニュー「肉丼」をイメージしたレシピを紹介している。あの“思い出の味”を再現したいという人は，大西氏考案のレシピをチェックしてみよう。


　アトラスはこの25周年を記念し，2021年9月から2022年秋までの約1年間を“PERSONA 25th Anniversary YEAR”として，イベントやコラボ，そしてゲームに関する新情報を公開していく予定だ。
　特設サイトを見ると，25周年プロジェクトとしてどうやら7つの大きな情報を順次発表するようなので，こちらも楽しみなところ。4Gamerではゲームメディアとしてそれらの情報を発信するのはもちろん，さらなる企画でペルソナをより深く掘り下げながら25周年をお祝いする予定なのでお楽しみに。

「ペルソナ」25周年記念特設サイト